潜入! 盗賊の根城 後編
盗賊……元は農民だったがなんらかの生活苦から人から奪った方が暮らしやすい事に気づいた、あるいは追い込まれた、盗人。
つまり元農民で落ちぶれたイメージ……。
そんなイメージを固めて俺は盗賊になりきった。
「皆…皆やられちまっただぁ〜」
俺はそう叫んだ。
「おいおいどうしたってんだぁ一体!」
盗賊達が俺に心配そうに群がってくる。
疑われないようだ良かった。
なかなか仲間内の結束はあるようだな、盗賊達よ……。
俺はロールを続ける。
「罠だったんだなぁ。オラはなんとかこの馬車ひいて逃げてこれたが、皆やられちまっただぁ!」
ちょっとロールがアレかなと自分では思ったけど特に疑われる事はなかった。
ゲームの判定的にはセーフみたいだな。
「するってぇとぉお前は仲間を置いて逃げ出してきたんかぁ? つけられてねぇか!?」
おっと、まずい。
「皆の犠牲を無駄にしたくないって思っただぁ! 皆この馬車奪う為に時間を稼いでくれただぁ! 追手はいないはずだぁ! この馬車の中身であの国ぶっ倒せるんだぁ!」
「そうか……じゃああの火薬を奪えたんだな! やったな、でかしたぞ!」
なんとかなったな。
易々と俺は盗賊の根城の中に入ることが出来た。
火薬の樽を手に入れられたことがそんなに嬉しいのか宴が始まり、さらには盗賊は味方だと思ってる俺を褒美をとらすとかなんとか言って宝物庫へ案内してくれるようだ。
今までの潜入は一体なんだったのかと思うように楽だな。
まぁこれが攻略法だったのかもしれんな。
「これで俺たちぁ、あのゴブリンキング様と一緒に国に復讐ができるなぁ!」
ん、やはりキングとの繋がっていたのか。
適当に相槌を打っておく。
「そ、そうでげすなぁ!」
一体こいつらに国はなにをしたのだろうか……ただの逆恨みかもしれないが、そこら辺はまた別のクエストで明かされるのだろうか。
あとこういう潜入でリアルタイムで普通に会話するの凄く緊張してキャラが壊れる……そうでげすなぁとか言っちゃったよ。
でも凄い楽しい。
ー盗賊の根城宝物庫への侵入を確認!クエスト完了、お疲れ様です。帰還しますー
俺の体と周囲の財宝が光に包まれる。
到達だけでクエスト完了のようだ。
「あ、お、おめぇ仲間じゃなかったのかよぉぉぉぉ!」
俺は金銀財宝と共に気づいたらギルドの地下にいた。
「あの盗賊の頭、なんだか申し訳なかったな……」
「あら、お帰りなさい。商人達の荷物をチェックしたら報酬を渡すわ。それまでユーカが仲間と待ってるから話しておいで」
そうゴメスさんに迎え入れられた。
仲間とは一体? その前にゴメスさんには伝えておこう。
「やはりキングとあそこの盗賊は繋がっているみたいです。あの盗賊達は火薬の樽を手に入れて、これでゴブリンキング様と一緒にあの国に復讐できるとかなんとか言っていましたよ」
「あら……そうなの。教えてくれてありがとう。火薬にキングとの繋がりもわかれば、この国の騎士が盗賊退治に動くでしょうからもう安心ね」
「それは良かったです」
ゴメスさん嬉しそうだ。
「それにしても盗賊から宝を奪い返してこれたなんて、あなたは善良な真の盗賊としての第一歩を踏み出せたわね」
「真の盗賊……そ、そうですか〜嬉しいですね! ありがとうございます!」
キング繋がりの進展に凄い嬉しそうなゴメスさんから離れて俺もまたウキウキでユーカの元に向かった。
「真の盗賊の第一歩……第二歩、第三歩〜っと」
こうして俺の初めての潜入ミッションは終わったのだった。




