潜入! 盗賊の根城 前編
「ユーカ! 俺に力を貸してくれぇぇぇぇーー」
俺は盗賊の根城の周囲を探り、古くなって穴が空いていた壁から内部に潜入したのだが、正門前で騒ぎが起きたようで騒いでいた盗賊の1人に見つかってしまった。
そう言うわけでMPはすぐに無くなり、集まってきた盗賊達にリボルバーを発射してたのだが。
「ここまでか」
結局直ぐにリロードが追いつかなくなって短剣で突っ込んだがあっけなく死んだのだった。
ー始まりの街で蘇生されましたー
「もう一回だ! チクショー超面白いじゃないか」
ーインスタンスエリア 盗賊の根城に入りましたー
「ふっ、だが大体掴んできたぞ」
数回死んで大体の事は把握した。
この盗賊の根城は潜入クエストになっている。
それも俺には難しいけどチュートリアル用のやつだ。
裏側には潜入してくださいと言わんばかりの隠し道があるし、正門でしばらく待つとどこかの商人を襲ったのか戦利品の馬車がボロボロの盗賊達とやってくるようだし、どうやら色々と潜入の仕方がちゃんと用意されているみたいだ。
「思い返せば俺は昔ながらのステルス系のゲームも手に汗握ってヒヤヒヤチキンなプレイをしていたんだったな。忍者……俺には向いてないかもな。楽しいからやるけどな!」
思い返せばセーブアンドリロード、いちいち敵兵殲滅は当然だった。
全くデスペナがなくて良かった。
俺の目指す、魔法と盗賊の融合、マジックシーフへの道は遠いのである。
「さてどう潜入するか」
裏の壁から潜入したが表から戦利品の馬車を引いた増援のせいで潜入がバレてさっきは失敗したから今度はこの正門の場所で馬車を待ち、その馬車を奪って変装して乗り込んでみる事にする。
さっきはお宝だぁと騒いでいた盗賊のせいで見つかったわけだし、どんなお宝なのか気になったのもある。
というわけで根城から少し離れた森の中に潜んでいると、馬車と負傷している数人の盗賊が器用に森を抜けやってくる。
馬車を引き連れて森の中を行くなんて現代人の俺には出来無さそうだな。
「今回は苦戦したなぁおい。俺たちしか残ってねぇぜ」
背後に周りこもうとしていると盗賊達の会話が耳に入ってきた。
「あぁだがこんなお宝を集めたんだ、俺たち幹部も夢じゃねぇぜ」
「ここまで俺たち長かったなぁ! こいつがあればアイツらに目にもの見せてやれるってもんだ」
なんと生活感のあるNPCなんだ。
感動しつつも背後からサクっとやる為短剣を振りかぶる。
この瞬間がとても緊張する。
今にも振り返るかもしれない。
逸る気持ちを抑えながら静かにスキルを使いながら接近する。
「あぁ! あの国をぶっ壊してやる」
ドサッ!
しまった。
国をぶっ壊すという発言に驚いて盗賊の体をうまく支えられずに落としてしまった。
刺しただけだから力が抜けたNPCの体が音を立てて倒れ、光の粒子となって消えていく。
うまく支えて倒さないとこうなる。
下手に支えようとすると刺す前に気づかれて対応されるしなかなか難しいのだ。
だがこんな発言を聞けるとはなかなか穏やかではなかった。
こいつらあのゴブリンキングと繋がってる可能性も高くなったな。
なんて考えてる場合じゃない!
「うん? おい! お前はな……」
他の盗賊達がこちらを向く。
「木遁! 金縛りの術」
ゴブリンを縛ったあの魔法を盗賊達に使う。
仮称ウッドタイ、ユーカに名前を変えさせられた魔法である。
うん、なんだか忍者っぽい。
って見てる場合じゃないな。
「う、なんだこれ、はなせぇ!」
周りの木々や草花から枝やツタが伸び盗賊達を拘束し、しばらくして魔法が解かれた。
ドサッ! ドサッ!
「ブルヒィ……」
「どうどう、落ち着いてくれるか?」
ふー、馬が少し騒いだがなんとかなった。
逃げない堂々とした馬だな。
ドロップアイテムとして『盗賊の衣服』を入手したのでこれを着る。
変装アイテムのようだ。
見た目的には少し小綺麗な皮鎧からめっちゃ汚くボロボロの皮鎧にクラスアップである。
効果があるかわからないが念のため何度か寝転びさらに汚れておく。
顔とかも汚しておこう。
汚れ方は流石にそのままというわけではなく、説明が難しいが若干のタイムラグがあるような少し違和感を感じる汚れ方だな。
まぁこれでも十分凄いわ。
もうちょっと転がって汚しておこう……。
「で、馬車の中身はなんだろなっと。おぉーなるほど、そりゃあぶっ壊すなんて言うよな」
ー火薬の樽ー
火薬が詰まった樽。様々な材料となるがこれだけで強力な武器ともなる。火気厳禁。自爆注意。
馬車の積み荷の樽を鑑定するとこう表示された。
インベントリに入れたかったがデカすぎて入れられないと出た。
樽の蓋をあけるのも怖かったのでそのままにした。
そのままどうにかこうにか馬を引き、正門前の森が抜けるあたりに来て俺は声を張り上げた
「はぁはぁ、助けてくれぇ!」
ここから、盗賊として潜入だ。
待ってろ金銀財宝。




