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白兎と始めるアポカリプス世界冒険譚(闘神と仙術スキルを携えて)  作者: クラント


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5話 想定外

 

 破壊された人型ロボットらしき物体を前にしばし呆然と立ち尽くす。


 頭に思い浮かぶのは、人型ロボット兵の砲撃で吹き飛ばされる武将の姿だ。


 現代兵器ですら、戦国武将の軍団を小隊クラスの装備で蹴散らせるのではないだろうか?

 目の前のロボットの技術レベルは明らかに現代を上回っているように見える。


 ショックのあまりか、ややふらついた足取りで大破したロボットに近づく。


 全体的に白系統のボディでSFチックなデザインだ。

 フルプレートメイルで身を包んだ騎士にも見える形状。

 残っている左肩の部分を右手で掴んでみる。


 鉄ではない。どちらかというとプラスチックに近い材質のように見える。

 思いっきり指に力をこめると、ビキビキと音を立ててめり込んでしまう。


 意外に脆いな。

 いや、熱か何かで材質が劣化したのかも。


 ロボットの横に屈みこんで、もう少し状態を詳しく調べてみる。


 上半身部分の焼き切れたところから機械っぽいコードや部品がはみ出ている。

 右腕の大砲らしき筒は、近くで見ればヒビだらけでとても使えるような状態ではない。

 足の方に回り込み、比較的破損していない左脚部分の装甲を剥がす。

 どこかに格納スペースはないかあちこちを探ってみる。


 結果、しばらく弄り回していたものの、他に武装のようなものは見つけられず、成果は得られなかった。


 ただ、破損した装甲の一部が鏡のようになっており、ようやく自分の顔を確認することができた。

 やはり自分の顔だ。それも中学3年生から高校1年生くらいだと思われる。

 何か変わってしまったところはないか、自分の顔をチェックする。

 可もなく不可もなく。

 稀に優しそうと言われるくらいで、これといった特徴もない。



「最後の願いで美男子にしてもらった方が良かったかな」



 ついそんな言葉をこぼしてしまう。






 結局、自分の顔を確認できたということが唯一の成果だ。

 さすがにこのロボットの遺骸を持っていくという選択肢はない。

 最初は換金目的に部品の一部でも持っていこうかとも思ったが、どの部品が金になるのかもわからない。

 第一、今の俺はカバンも袋も持っておらず、手で運ぶには嵩張りすぎる。


 これ以上ここに留まっても意味がない。

 走ってきた道へ戻ろうとする。


 少し歩いた後、ふと後ろを振り返り、横たわるロボットの遺骸を見つめる。


 もし、ロボットがここまで完全に壊れていなかったら、ここでイベントが起こっていたかもしれない。敵として立ちはだかったのか、それとも仲間になる展開があったのか分からないが。


 このロボットはいかなる存在なのか?

 この世界にはこのようなロボットが一般的に普及しているのか、それとも非常に貴重なものなのか。

 ひょっとしたら世界に唯一残ったロボット兵で、俺が何日も早くこの場に着いていたら、このロボットを相方に世界を回る日々が始まっていたかもしれない。



 なんて妄想しながら、道を進んでいく。

 今までよりスピードを落とし、周りを警戒しながら薄暗くなり始めた道をひたすら走る。


 「闘神」スキルでは対処できないかもしれない敵の存在を確認してしまったので、今まで以上の慎重さが必要となるだろう。


 しばらく走り続けていると周りの景色も変化していく。

 木一つない荒野から、まばらに木の生えている林に、視界を全く遮らない平原から、起伏のある丘陵地帯へ。


 遮蔽物が多く、どんな危険が潜んでいるか分からない状況となり、さらにスピードを早歩き程度にまで落とす。


 完全に日は暮れてしまい、辺りは真っ暗になっているようだが、なぜか昼間と変わらないくらいの視界が確保できている。


 これは暗視能力だ。「闘神」のものなのか「仙術」のものなのかは分からないが、これは非常にありがたい。周りが全く見えなければ道半ばで立ち往生していただろう。



 夜空を見上げれば、月と星が見える。


 良かった。月は一つだ。


 ここで月が7つも8つもあったら、かなり動揺していたかもしれない。

 元の世界と変わらない大きさの月にほっと安堵する。



 ドン ドン ドン ドン ドン――!



 遠くから花火が鳴るような音が聞こえた。



 ドン ドドドン! ドン! ドン――!



 しかし、しばらく耳を澄ましていると、どうやら銃声のような気がしてくる。



 うーん………

 これは間違いなく銃声だろう。

 アクションものや戦争物の映画でよく聞く音だ。


 進んでいる道から少しずれた方向から聞こえてくる。

 距離的にはかなり離れていそうだけれど………


 

 もっと近くでバンバン鳴っていたなら、ビビッて逃げ出していたかもしれない。

 でも、流石にここまで遠いならそこまで怯えることも無い。



 しばし足を止め、この状況への対応を考える。



 銃声の発生源はおそらく大分先の方だ。関わらないようにするのであれば、避けるのは容易だろう。

 しかし、ようやく現地人に会えるチャンスかもしれない。

 先ほど考えていた「馬車強盗イベント」ということであれば、得られるものも大きいはずだ。

 ネット小説では、このあたりで発生する「馬車強盗イベント」で現地に詳しい人物と出会い、初めて世界についての情報を得ていることが多いからな。


 もちろん、ここで出会う女性はかなりの高確率で物語上のヒロインとなる。

 ここは多少のリスクを負ってでも近づいてみる必要があるだろう。



 グンッとスピードを上げ、銃声が聞こえる方向へ走り出す。



 おそらく現場は1,2キロ先ではないかと思われる。

 ただ、その方向は今まで進んできた道から外れており、まばらだった木々が森として立ちはだかっていた。

 薄暗い森の中へこのまま無防備で突っ込むのは、やや躊躇いを覚える。



 いや、多少のリスクを負うと決めた以上、ここは進むべきだ!



 通せんぼするかのような生い茂る枝を腕で払いながら、森へ突入する。



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