いっこめ
「今日は、星の絵を描いてみましょう」
さくら幼稚園の、ある日のこと。
「はーいっ。ルウ、かけるー!」
私は意気込んで、紙に五芒星を描いた。
「上手だねー」
笑顔で先生が褒めてくれる。私は嬉しくて上機嫌になった。
「ほかのこにもおしえたげるのー」
私はみんなの星を見てまわった。もはや、「ちょっとルウちゃん、席から降りちゃダメ!お願いだから戻ってぇ〜」という叫びも聞こえてはいなかった。
私は意気揚々と画用紙を覗き込む。ほとんどの人が、私と同じ五芒星を描いていた。大きかったり小さかったり、線が曲がって変な形になっていたり。個性はあるが、みんな何かしら描いていた。
しかし、何も描いていない子が、一人いた。
「なんで、なんにもかいてないの?おえかき、きらいなの?」
私はその子に問うた。
「ううん、すき。」
なら、なんでーと首をかしげた。
「なんにもかいてないわけじゃない。ほら、ここに。」
そのこが指差した先には、小さく一つ、点が打ってあった。
「……あぁ」
星だ。
見た途端にそう思えた。
そうだ、お空に、あんな尖った真っ黄色のモノはない。あるのは、白く小さくまるく、綺麗に瞬く星だ。
「どうしたの?」
今度はその子が首をかしげる。気づけば私は点に見入ってしまっていた。
「ううん、なんでも、ない。」
私は首を振る。そしてもう一度、その子の顔を覗き込んだ。
「ねぇ、おなまえ、なに?」
「…イリス」
「かわいいなまえだね、わたしはルウ」
「しってる」
「⁉︎なんでっ」
「さっきから、せんせいがルウ、ルウって」
私は耳を澄ました。
「……おぉう。おこってる…」
そこで私はイリスに向き直る。決して怒っている先生から目を…耳を逸らしたかったわけではない。イリスに素敵な提案をするためだ。
「くろいかみ、もってこようか?」
途端、それまで暗くどこか虚ろだった瞳が輝き出したのだった。
そらにかがやくおほしさまみたいに。
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