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1-8 来て
『こ、こんにちは。』
いくつかあるであろう仕切りカーテンの類は全て畳まれていて、部屋の様子が一望できる状態だった。だからすぐ、窓際にあるベッドに、半身起き上がって恐らくファッション雑談を見ている二ノ宮と目線があった。
『あ、あのさ、担任の奴からプリント持ってけって言われて。なんか、保健委員だからとかお前か行けって事になって。』
彼女の表情を間近で確認する勇気なんか持ち合わせていないから、目線をすぐに逸らしてカバンの中から預かってきたプリントの束を取り出すと、
『ど、どこに置いておけば良いかな。』
と、恐る恐る差し出して見せる。さて、どんな怒号で迎えられるのだろう。内心のビクビクはきっと彼女には見透かされていることだろう。
『ねえ、こっちに来て。』