裏切り...
「あ~い~な~!」
「うわっ!?何?急にどうしたの?」
流利香が急に愛菜の後ろから抱きついてきた。
いつもこう言う行為をする流利香に愛菜は飽き飽きしていた。
どうして人目を気にせずにこう言う事が出来るのだろうか...?
恥ずかしくはないのかといつも思う。
だが今日はまた別の条件だ。
今は誰も居ない放課後...。
静かに静寂が響く時間だが...流利香の声の大きさはその静寂を打ち消す。
「ちょい聞きたいんだけど~」
「宿題なら自分でやりんさい。」
「ちょっ何それ!?ヒドッ!!」
また宿題をしていないのだろうと愛菜は思った。
しかし今日は違うようだった...。
「宿題のコトじゃないのよ?!」
「じゃあどうしたの?」
他人が聞いていると実につまらない会話だ。
しかし愛菜はそれを楽しそうに聞いている...様に見えた。
「あのねェ~愛菜は、好きな人いるの?」
「えぇっ?!!」
呆れた...。
それが愛菜の本心。
そんな事聞いて楽しいのだろうか?
それにどうせ、流利香みたいなタイプは他人に直ぐバラすだろう。
これは既に......決まっていた事なのだから...。
それに...私はもう直ぐ......
---流利香を消すだろう---
「ねぇ~愛菜~。」
「い~やぁ~。」
「なんでぇ~!?私誰にも言わないよぉ~?」
嘘くさい...。
それにしつこい...。
どうしてこの手のタイプはこんなにしつこいのだろうか...?
「お願い!!ホントに誰にも言わない!!」
「...はぁ...しょうがないなぁもう...。」
「えっ!教えてくれるの!?」
「しゃーなしでね。」
「やったぁー!!」
何がそんなに嬉しいのか、廊下でぴょんぴょんと跳ねる流利香は、まるで子供のよう...。
馬鹿馬鹿しい...。
「流利香、耳貸して...」
愛菜は流利香の耳元でコソコソと言った。
「へぇ~意外な趣味。」
「だ、誰にも言わないでよ!?」
「はいはい。」
にっこりと笑う流利香。
「約束だよ?」
「うん。約束。」
「絶対だよ!...もしバラしたら ?」
「え......?」
シーン...と、廊下に静寂が戻る。
その静寂を破ったのは愛菜だ。
「クスッ」
「へ?」
クスクスと笑う愛菜に、流利香は状況が掴めなかった。
「吃驚した?」
「ぁ...っ当たり前でしょ!!?もぉ~何言いだすかと思ったじゃん!!」
「きゃあ~ごめんごめん」
頭を手で覆いながら流利香から逃げる愛菜と、両手を高く上げながら愛菜を追いかける流利香。
一見仲の良い姉妹にしか見えない程だ。
「あっやば!」
「どしたの?」
「私今日塾だったの忘れてたー!ごめん愛菜!先に帰るね、ばいばい!」
「ばいばぁい。」
勢いよく手を振る手を振る流利香に対して、軽く振る愛菜。
..........
再び静寂の中に...ポツリと、愛菜が一人で立っている。
少ししてから、愛菜は妙な行動をとった。
親指と中指を合わせて、一言呟いた。
「Au revoir.」
一瞬にして愛菜の姿は消えていた。
そして、漆黒の羽がヒラリと舞い落ちた...。




