プロローグ (語り手大聖女)
この物語はフィクションであり、登場する団体・地名・人名などは存在するか分かりません。
麗らかな日差しの中毛布にくるまれ籠の中に一人の子どもがいた。
大聖女の仕事は、まず神様へのお祈りから始まります。この教会には3人の神様しか崇めていませんが、もう1人神様がいます。その方は、あまり人々に知られていないからなのか教会の人も存在を知りません。でも、その方に会ったことがある人はこの世に何人かいるはずです。
さて、次の仕事に参りましょう。お祈りの後は、大事なお話をします。集まるのは基本大聖女である私と、13人の聖女です。内容は、いつも今朝のお祈りの内容が主になります。神様からのお話ですね。ただ、申し訳ないのですが、神様とのお話はいつも9割程が井戸端会議のようなもので、あまり重要な話をしないのですよね…。たまに重要なことしか話さないことがありますが、それは一大事の時だけなのでギャップが凄いのです。なので、今日話す内容はいつもと変わらずですね、
「『今日も切に悩みを聞きなさい』とのことです。」
その後は、教会のお掃除をして、教会に参拝される方のお話を聞きます。今日は特に面会の予定もないので気が楽ですね。
さて、参拝しにこられる方ももう居ないみたいですし、そろそろお昼休みとさせていただきましょう。
「すみません、休憩に入らせていただきます」
「はい、気をつけてくださいね。」
教会を出ると、とある男性を見つけました。
「あなたの様な方とこの様な場所で会うとは思いましませんでした。参拝に来られたのですか?」
「いえ少しあなたとお話がしたかったのです。明日時間を頂けますか?」
「明日は大丈夫ですよ」
「それと、そこに子どもがいるのですが見てみてください。俺は、ダメらしいので」
「子どもですか?」
辺りを見回して見ると、近くに籠があり、中には毛布にくるまれた赤ちゃんがいました。ただ少し違和感を感じました。
(頭の部分に毛布がかけてある。それと…)
手紙が毛布の上に置かれていることに気づきました。
「『大聖女レイリス様この子を助けてください。私は恐らくもうこの子に会うことができません。』つまり、私宛ですね。でも、まだ教会ですることもありますし…ヴィーチェ様この子を預かっててくれませんか?」
「…」
振り返るとそこには誰もいませんでした。
「仕方ないですね…あの人に頼みますか…」