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ウェイン・アポカリプス  作者: 佐々木 英治
ウェイン・アポカリプス

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神殿にて

 一時間もすると、皆起きてきて(あるいは寝れなかったのかもしれないが)、6人は宿の外に出てきていた。互いの装備のチェックもする。レーンが色々と言っている。

「あー、マントはいらないぞ。即、遭遇戦の可能性がある」

「帽子は?」

「布一枚の防御って結構ありがたいんだがな。視野が狭まるから、いらないだろう」

 頭部の防御はレーンは王冠のような、サークレットのような兜で、ディアはバンダナを巻いている。

「水とか治療パックとかは?」

「まあ水は持って行っていい。チャポチャポ音がするから、満タンに詰めとけ。治療パックはエルのものだけでいいだろう」


 ラグトが声をかけてきた。

「出発ですか?」

「はい」

「村から若い男を何人かつけましょうか? なに、我々の世代は皆、普通学校で軍事教練は受けています」

 ラグトの若い時代は、レオン王国にも徴兵制度があった。いや、今でも(形骸化していなくもないが)あるにはある。学校にいながらにして、軍籍を得ることができるのだ。

 だが所詮は即席だ。その力量は志願兵に遠く及ばないのが普通だ。

「いえ、村で戦える男たちは、村を守っていてください」

 レーンはそう言うと、皆に出発を促した


 6人はカドニ村の外に出る。

 案内役はモニカだ。そもそも数日前モニカが、神殿の水晶球に封印を施したのだ。


 外に出てすぐ、林や森などが目立つようになってきた。


 そこから10分程歩いただろうか。周囲は森や崖などで視界があまりよろしくない。

 最初に、異変に気付いたのはウェインだった。

「皆、注意して。『瘴気』を感じる。悪夢の草原の時みたいに、悪魔が出てくるかもしれない」

「ああ……ヤな雰囲気だな」

 6人は並んで前へ進む。

 先頭はモニカだったが、レーンの目のほうが先だった。

「みんな、止まって姿勢を低くしろ。ヤバい……『悪魔』だ。いっぱいいる」

 林を壁にしながら、レーンが指差す。そこには、開けた土地に沢山の『悪魔』たちが存在していた。

 視認できるだけで、グレーターデーモン5体、レッサーデーモン10体以上、ミニデーモンが数えきれないくらい。まだこちらには気づいていない。

 全部が、ほとんど動いていない。眠っているのと同じような状況なのだろう。『悪魔』はこの状態で周囲の魔力を掻き集め、分裂して増殖するタイプが多い。

「どうする? 神殿の水晶球までは、あとどれくらいだ?」

 レーンが言う。モニカが答えた。

「神殿までは、あと5分ぐらいです」

 ウェインも言った。

「ここで戦ってもいいが、見た感じ魔界へのゲートがない。ゲートを先に破壊しないとどんどん増殖するぞ。乱戦、消耗戦になると、こちらが不利だ」

「魔界へのゲートは、どこにあると思う? まずはそこを叩きたいが」

「流れで考えれば神殿だろうな。水晶球も怪しいし、わざわざ村からこんな遠くに建てた神殿だ。何かしらの魔力の歪みは生じやすいんだと思う」

「戦力を分けたくはないな。全員で神殿まで行きたいところだが……あの悪魔たちのリーダーが組織だった作戦を取れば挟み撃ちにされる可能性もある。さて……」

「グレーターデーモンが5匹ってのがマズい。アレを倒すには上級魔法が必要だが、それの準備には時間がかかる」


 そこでモニカが言った。

「ウェインさん、皆さん、実は私、言ってないことがあるんですが」

「なんだ?」

「私は水晶球をただ封印したって言いましたけど、実際はちょっと違います。水晶球の中から繋がっている暗黒空間に、実際に足を踏み入れました」

「一人でか? 危険なことを」

「危なければ、すぐ逃げればいいかな、と。ただその中は牢屋のような部屋があって、そこに異界へのゲートもありました。『悪魔』たちはそこから現れたのかもしれません」

「そうか……」

「それで、です。水晶球の封印を確認しに、あるいは再度封印しに、私とウェインさんで神殿まで行きましょうか? ゲートごと封印し、急いで帰ってくるというのは」

 レーンは答えた。

「悪くないな……むしろエルもアヤナもついていくといい。ここは俺とディアとで見張ってる」

「二人で大丈夫なのか?」

「いざとなったら自力でバラバラに逃げられるからな」

 ウェインとレーン、顔を見合わせ、肯いた。

 レーンとディアがここを見張り、魔法学院組はこのまま神殿まで行って調査や封印をして急いで帰ってくる。この計画になった。


 林や茂みを突っ切り4人で進んでいく。瘴気が濃い。

 モニカ、ウェイン、エル、アヤナの順番で進んでいる。ウェインは後ろの二人に声をかけた。

「二人とも、大丈夫か? もし封印作業になるなら、戦闘よりラクだぞ」

「大丈夫、頑張ります」

「私も平気よ」

 エルもアヤナも肯いた。特にエルは魔力がウェインに次いで高い。封印作業を行う際には貴重な戦力だ。

「着きました、ここです」


 そこは林に囲まれた、古びた洋館のような神殿だった。

 扉は開いている。中を覗くと、ここにも悪魔たちが発生していた。

 入り口から正面に、台座に置かれた水晶球がある。


 敵の発見は互いに同じくらいだった。悪魔の集団が、戦闘態勢を取った。



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