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黒の日記❬4月7日❭

わたしはアリス。サラク村のアリスだ。今日からわたしは勇者として魔王を倒すため、各地を回ることとなった。


わたしが勇者となった理由は、いまだにわからない。

王は女神の導きと言っていたが……

とにもかくにも、片田舎の小娘だったわたしが運良く世界を回ることができるんだ。

これも女神の導きだと思って様々な人を救っていきたいと思う。



王には歴代勇者が使ってきたという聖剣を授けられた。

王妃には旅の資金を。

王子には旅の仲間の斡旋を。

王女は見聞を広めるために、わたしの旅に同行することとなった。


王族の皆様の援助を受けて、わたしの旅は始まった。



それを受けて、わたしは日記を書き始めることにした。

別に歴代勇者達の武勇伝という名の日記に触発されたわけではない。……ほんとうだ。

ただ、わたしがいつか挫けそうになったときに、少しでも支えになったらいいと思ったのだ。

例えその時のわたしが今のわたしを大嫌いでも、それでも少しは考えることができると信じたいから。


あとは……わたしのことを知ってほしいから。


わたしは、勇者達の物語をよく読んでいた。

勇者クリスフォード、英雄マルタスト、魔女メリック、聖女サファ、大魔法使いエメリ。

様々な物語を聞いた。知った。そしてこう思った。


『本当の勇者達は、いったいどんな人達なのだろう』


と。


勇者達の武勇伝の多くは口伝だ。

歴史の中でいいように改訂されたものもあるだろう。

しかし、それらの多くは勇者達の残した爪痕によって否定された。

その中に日記があったのだ。


わたしに歴代勇者達ほどの力は無いだろう。

この世界にどれだけのことが残せるかもわからない。

だが、それでも。

わたしがここにいたという証を。

後世への証明を。

残しておきたかった。


たとえ未来で歴代最弱の勇者と罵られていても構わない。

わたしがここにいて、世界の安寧を祈っていたことを証明したかった。


……ただのエゴだ。わかっている。

それでも筆を取りたくなった。

勇者と聞かされて、旅に出ることになって。

ふと思い付いたのだ。理由なんてほぼ後付けで、この日記に書きながらただのエゴだと笑ってしまったよ。

それでも、譲れないものはある。





わたしは勇者として各地の人々を助けたい。王に命ぜられたからではなく、わたしの意思で。片田舎の小娘であったわたしを信じてくれる仲間達のためにも。




わたしはこの世界を、












ユーフォリアを、救いたい。

 

 

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