プロローグ
初長編作品です。
どうぞよろしくお願いします!
それは、夏の日のことだった。
前日までのうだるような暑さはどこかへと行き、随分と暑さが落ち着いた涼しさの中、私は物置の整理をしていた。
そこで私は、ある2つの日記を見つけたのだ。
「……何?これ。」
白と黒1色に染まった日記。
その2つの日記には、それぞれ別の名前が書いてあった。
白い日記には“谷原”
黒い日記には“アリス”、と。
他には何も書いてない日記。中をみても真っ白で、私はあの日、何かのイタズラかと思ってその日記を片付け、その後すぐにその日記のことを忘れてしまっていた。
その2つの日記が、今私の目の前にある。
真っ白だったはずの中にはびっしりと大量の文字が書かれていた。
それは1日1枚のペースで書かれており、ときたま日付が飛んでいるが、ほとんど毎日書かれていた。
そしてその日付は、私があの日、日記を見つけた日から始まっていた。
パラリ……
「……えーっと、『小説を書き始めるにあたって、日記を書くことにした。一行でも毎日書く癖があれば、小説も続けられると思ったからだ。』……この谷原って人、小説書いてたんだ……」
白い日記をめくると、一番最初のページにはそう書かれていた。
谷原という人は小説家を目指していたらしく、小説を書き始めたのだと、書いてあった。
「じゃあ、次は黒い方……『わたしはアリス。サラク村のアリスだ。今日からわたしは勇者として魔王を倒すため、各地を回ることとなった。』………………は?」
黒い日記には、それこそ小説のようなことが書かれていた。
勇者、魔王、王族。
そんな単語が散りばめられていて、まるで下手なファンタジー小説のようだった。
「…………なんなの?この日記。」
白い方はまだいい。問題は黒い方だ。
もしかして、白い日記の持ち主のネタ帳だろうか?
それならまだ納得できるが……
「白い方に、黒い日記のことが書いてない……」
日記の最初のページに『私は、小説のネタはファイルに纏めて置いておくことにする。』と書かれた箇所があった。
……つまり、この黒い日記はネタ帳じゃない。
じゃあ、これは何?
「……先を読んでみたら、わかるかもしれない。」
そうして、私は日記を読み進めていった。
その日記がなんなのかを知るために。
その選択が間違いかどうか知るのは、さらに先の話である。
『私はこの小説に、ありきたりな名前をつけた。ありきたりでも、たくさんの小説の中に埋もれても、誰かがみて楽しんでくれるような、そんな小説が書きたいから。』
『わたしは勇者として各地の人々を助けたい。王に命ぜられたからではなく、わたしの意思で。片田舎の小娘であったわたしを信じてくれる仲間達のためにも。』
『この小説の名前は、』
『わたしはこの世界を、』
『“ユーフォリア英雄記”』
『ユーフォリアを、救いたい。』




