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プロローグ:記憶
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ゴーンゴーンゴーン…
重低音の鐘が鳴り響く。
辺りは焦土と化し、どこからか煙が上がっている。
火の粉が舞い、頬をじりじりと熱くさせる。
目の前の黒いフードを被った人間とヒカル以外誰もおらず、殺伐とした世界。
建物が静かに燃える音だけが聞こえ、
さっきまでの闘いが嘘であったかのように沈黙が訪れる。
木々が、道が、草原が何もかも戦火に巻き込まれ、辺り一面真っ赤な景色になった。
疲労で膝をつき、荒く呼吸をする。
フードを被った人間がゆっくりとこちらへ向かう。
フードに隠れ、表情は分からない。
動向を見るため、残りの少ない力で顔だけを上げる。
そいつは悠々と歩いたのち、目の前で立ち止まった。
何かを思い出すかのようにじっとヒカルを見つめる。
ヒカルの呼吸音だけが響く。
そしてゆっくりと両腕を動かし、
分厚い黒革の手袋がヒカルの頬に触れる。
そして男かも女かも分からない声で、こう囁やいた。
「私を___見つけ出してね」
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