雷門
大園寺高校は県内一の馬鹿高校だ。
ヤクザ就職率70%を誇り、生徒はみんなナイフを舐めまくる。
その近くのゲームセンターともなれば、チンパンジーの住処のようなものだ。
「ははは! うんちー! うんち!」
「でへへへへ!」
クレーンゲームやゲーム台が並んでいるところで不良たちが騒ぎ立てる。
まさに動物園だ。
いや、どちらかといえば幼稚園?
「少しよろしいでしょうか?」
とはいえ、同じ人間に違いは無い。
わたくしはクレーンゲームの近くにいた金髪の不良に近づいていく。
しっかりとした対応をすれば――。
「ひゃははは!」
不良はゲーム機の前で狂犬病に侵されたように涎を撒き散らす。
「もし――」
「げはははは! うひょーーー!」
根気よく――。
「ぎゃははは」
「聞いてください」
わたくしは丁寧に相手の頭を勢いよくクレーンゲームの台に叩きつけた。
「ぎゃあああああ!」
不良が勢いよく血を噴出しながら悶絶する。
「なんだぁ! てめぇ!」
「やる気かぁ!」
不良たちがわたくしに詰め寄ってくる。
「聞いてください。わたくしは無益な喧嘩は好みません」
「人の頭をかち割っておいて何言ってやがる!」
「今のは礼儀知らずを修正しただけです。ただわたくしはランキング八位の雷門という方と勝負を望んでいるだけです」
「要は喧嘩じゃねぇか!」
「そうだそうだ!」
浅慮な不良たちだ。
同じことしかいえないのだろうか。
「違います。喧嘩はなんでもありですが、勝負は正々堂々としたものです」
「……要は喧嘩じゃねぇか!」
「そうだそうだ!」
話を聞いてたのか?
「いや、待て!」
「なんだよ、ホモヒカン」
ひどい名前だ。
「てめぇ、まさか! あいつの関係者か!?」
……あいつ?
「この制服! 間違いねぇ! あいつと同じ高校のやつだ!」
「助けに来たなんてなぁ! へへ、やるじゃねぇか!」
「ああ、大したもんだぜ!」
「認めてやるぜ! お前の根性をな!」
不良たちが拳を突き出す。
わたくしはそれを無視して睨みつけた。
「よーし、じゃあ、宴だぁぁぁぁ!」
「うおおおおおお!」
不良たちが騒ぎ出した。
なんで海賊漫画みたいな感じになってるんだ。
「いえええ――ぎゃああああ!」
わたくしは近くにいた不良の顔面を殴りつけた。
吹き飛んでクレーンゲームに顔面から激突した。
「まだ何も終わっていません。そして、あなたたちの言っているあいつとは何も関係ありません。わたくしは雷門と戦うためだけに来たんです」
一瞬で場が静まり返る。
「ふざけやがって!」
しかし、次の瞬間、場が殺気立つ。
「くくく、面白ぇやつが来たじゃねぇか」
不良たちをかきわけて金髪のモヒカン男が前に出てきた。