必殺技
「……我が命に代えてもこの戦いに勝利してみせよう」
誰だよっていうくらい態度変わったな。
「……ふぅん、秘蔵ね」
たんぽぽがサリユリを睨んだ。
「別にいいじゃん。全裸くらい」
「ぜ、ぜ、ぜ、全裸!? マジで!? うひょー! うっほっほ!」
男の中の男が猿みたいに興奮してる。
ある意味、男の中の男か。
「……あなたの前で全裸になったことあった?」
「ほら、あのときに……」
お姉さまが考え込む。
「……なるほどね」
お姉さまがサリユリに向き直った。
「しょうがないわね。面白くなりそうだから今回だけは許容してあげる」
「じゃあ、場所はこっちが用意してあげる」
「面倒くさがりのあなたにしては珍しいじゃない」
「お金になるからね。ネット配信の準備するから二時間後に近くの公園でいいかな?」
「いいぜ!」
「もうちょっと早くしてくれ」
こうしている間にも義則が心配だ。
「落ち着きなさい。焦ってたら勝てる勝負も勝てないわよ」
「だけど」
お姉さまがやれやれと肩をすくめた。
「……あなたそんな状態で雷門に勝てると思う?」
お姉さまが顔を近づけて耳打ちする。
お姉さまの香水のような甘い香りが鼻孔をくすぐった。
「オレが負けるってことか?」
「その精神状態だとね」
「俺は……負けない」
好んで喧嘩してきたわけではないが、それでも喧嘩はかなりの腕前だと自負している。
「実は不安なんでしょ。隠さないでいいわ」
なんでわかったんだ。
「見たところ雷門と戦っても六対四で負けてるものね」
「それは……」
お姉さまの言う通りだ。
雷門と戦うと決めた瞬間、体がこわばった。
そして、負けを意識してしまう。
こんなこと初めてだ。
「ねぇ」
お姉さまの声が弾む。
このいたずらっ子が新しいおもちゃを見つけたような表情に見覚えがある。
「必殺技教えてあげようか?」
オレに催眠術をかけるときの顔だ。




