ランキング
「と、いってもこのランキングをまとめてるのは一人なんだけどね」
「……そいつを脅せばそのランキングもやめてくれるんじゃない?」
「それは駄目」
お姉さまがじっと見つめてきた。
「わかってるよ。どうせ面白くないからとか言うんだろ」
ため息を吐きながら肩をすくめた。
お姉さまが表情を和らげた。
「さすが妹ね。わかってきたじゃない」
断られるとわかっていたが半分は本気だった。
「だったら――」
その時、校舎からチャイムが鳴り響いた。
「続きは放課後ね。近くの駅に集合でいいかしら」
「ああ」
「じゃあね。今から行っても遅刻だけど学校には必ず出るのよ」
お姉さまが踵を返した。
なんだかほんとの姉っぽい言い方だ。
放課後、駅前で待っているとお姉さまが悠々と歩いてくる。
五分ほど遅刻してるのに全く悪びれた様子がない。
「随分と早く来てるわね。そんなにお姉さまに会いたかったの?」
軽口を叩きあう余裕はない。
「……義則が襲われた」
「あら、やっぱり」
「今日だけで三回だ。このままじゃお姉さまが鍛える前にやられちまう」
「よく無事だったわね」
「たまたまオレが近くにいたからよかったものの、離れてる間が心配だ」
「結局、助けたのね。駄目じゃない。それじゃあ前と変わらないわよ」
「だけど!」
つい体が動いてしまったんだ。
「……確かにここから面白くなってきそうなのにこんなどうでもいいところで終わるのもつまらないわよね」
オレの内心の葛藤を見抜いたお姉さまはしょうがないというように肩をすくめた。
いろいろと言いたいが、今はそんな場合じゃない。
電車に乗り、向かった先は隣町だった。
隣町は不法滞在している外国人が多く潜んでおり、非常に治安が悪い。
東京のスラムとも呼ばれている。
こんなところにランキングを作るなんて真似ができるやつがいるだろうか。
歩いているだけでじろじろと見られている。
襲い掛かってこないだけ本物のスラムよりはマシかもしれない。
「ここよ」
お姉さまが廃墟の前で立ち止まる。
元々は三階建てのオフィスビルだったのだろう。しかし、天井は崩れて壁にも大きな穴が開いている。
人が住める場所とは思えない。
お姉さまは構わず鉄製のドアを開けて中に入っていった。
しょうがない。
行くしかない。
続いてオレも中に入る。
「なんだこりゃ」
教室くらいの広さにびっしりとパソコンや配線が通ってる。
時折、脈動するようにパソコンがついたり消えたりしていた。
床にはペットボトルやカップラーメンの空などが散乱していた。
「汚ぇな」
まるで生き物の体内にいるみたいだ。
「全く相変わらずね」
お姉さまは構わず進んでいった。
部屋の中央には黒い物体が放置されていた。
お姉さまはそれを蹴り飛ばした。
「痛い……」
物体が起き上がる。
よく見たらそれは女性だった。




