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契約と贖罪の神森

始祖の森に戻り、マリアと別れた梢。

神様に報告し、色々と事情を聞く。

そこで、新たな神森を作って欲しいと言われ──





 始祖の森の村に帰り、マリア様達と別れ、私は自宅の自室にこもり神様に連絡を取る。

「もしもし、神様ですか?」

『おお、儂じゃよ。神様じゃよ』

「あのーなんかあっさり終わって拍子抜けしてるんですが……もしかして第二、第三の愛し子もどきいたりしません?」

『それはない、あやつらが愛し子もどきを作れるのは一人分くらいじゃし、その力も全部お前さんが吸い取ったからお前さんはちみっとだけじゃが愛し子として強化された』

「はぁ」

 ちみっとか、まぁそれくらいしか力無かったんだろう。

「他の下級神達はどうなってます?」

『最初は文句を言っておったが、儂等に逆らった神達の末路を知って恐怖して逆らいません、愛し子もどきは作りませんって一人残らず誓約書にサインさせたわい』

「その誓約書効果あるんですか?」

『あ、言っとらんかったな。イブリスもう一つの役割の神としてミスラという契約の神の側面を持つ。太陽神であり、契約の神じゃ彼奴は』

「ははぁ」

『彼奴はお前の全面的な味方じゃからな、安心じゃ』

 そう言えば、そんなのどっかのサイトに載っていたような……まぁいいか。

『おお、イブリスの奴がきよった』

「へ」

『はいはい梢さーん! ご機嫌よう!』

「よ、夜なのにハイテンションですね……太陽の神様なのに」

『夜だからハイテンションなんですよー! あ、そろそろビールかお酒お備えしてくれません?』

「はい、いいですよ。タルでいいですか?」

『いいですよー!』

 何で太陽の神様が夜ハイテンションになるんだ、分からん。

 タルのビールとワインをアイテムボックスから取り出し、お備えモードで写真を撮る。


 タル達は無くなる。


 よく分からない技術だ。

『ありがとうございま~~す‼ いやぁ、梢さん大好きです!』

「ははは、そりゃあどうも」

『って何するんですかぁ!』

 何か奪い合う音が聞こえる。

『すまんの、彼奴イブリス教の連中がまともに外に出られない体になって以来あの調子で夜はハイテンションなんじゃよ』

「なんでですか?」

『イブリス教は夜のうちの悪さをすると別の神の庇護にある連中に頭が上がらず胃を痛めておったからの、とは言え大義名分は必要じゃったそこへお前さんが出て来た』

「はぁ」

 私って大義名分になるのか?

『神々の愛し子だけでなくその関係者にも危害を加えたとなれば問答無用で呪うことができる。六百年間にできた契約だ』

「……六百年前って愛し子が処刑された時ですか?」

『そうじゃ、儂等は愛し子が捕まってもなーんもできなかった、せめてできたのは愛し子を安楽死する程度じゃった』

「……」

『それ以来、愛し子は守るべき存在。愛し子に危害を加えたり侮辱したらその輩を呪って良い存在とするようになった』

「ずいぶん変わりましたね……」

『そうじゃな』

「……それまではそういうことは起きなかったんですね」

『そうじゃな、愛し子は神々に愛されし者、大切に扱うようにという認識だけだったからのカインド帝国ができるまでは』

「できるまでってことはカインド帝国は比較新しい国だったと?」

『そうじゃよ、だからあんなことになった』


 私はしばし無言になる。

 今までは問題が無かったのに、突如問題が生まれ、どうしようとしている矢先に愛し子は処刑されそうになった。

 だから雷で神の元へ行かせることが最善だった。

 周りは皆敵だから、逃げたら追われる。

 そして、神々の怒りを知らしめる為に、カインド帝国の末裔達──ロガリア帝国は呪われ続け他の国々からも拒絶され、結果他の国々から子どもを誘拐するなど愚行を行ったのだ。

 運良く生きられたのはティリオとアイン、他の子ども達は皆死んだ。

 仮に生きてたとしても、帰る場所がどこか分からない子ども達がほとんどだろう。


 そして、ネヴィアさんとランスロットさん。

 瘴気まみれの呪われたロガリア帝国人の中で唯一瘴気にまみれず、呪われずにいた二人。

 妖精と精霊の庇護と加護もあったが、二人がロガリア帝国の成り立ちに疑問をもったのも大きいかもしれない。


 呪われた国ロガリア帝国。


 今はどうなっているか私も知らないが。

『梢や、今のロガリア帝国がどうなってるか気になっているようじゃの』

「まぁ、そうですね」

『城があった場所は何もかもなくなっておる、と言うことでじゃ』

「?」

『世界樹の苗木を植えて神森を一つ増やすのじゃ!』

「え? いや、良いんですけど、神森ってそんなほいほい増やせるもんなんですか?」

『世界樹ユグドラシルからの苗木があれば増やせるんじゃぞ』

「では……明日行きます」

『うむ、急がなくてよいぞ』

 通話を終了すると、寝室に向かう。

 皆眠っていた。

 それを見てなんかほっこりした気分になり、私は棺桶に入り、眠りについた。





 翌日、畑仕事とか聖獣のお世話を終えて世界樹ユグドラシルの元へ行った。

「ユグドラシル、貴方の苗木が欲しいの」

『新たな神森ですね、分かりました』

 地面からにょきっと苗木が出る。

『なるべくお世話しにきてね?』

「妖精さんと精霊さんにも頼むし、私も行くから大きくなってね」

『うん』

 苗木を掘り起こし包むと、ユグドラシルに礼を言ってその場を後にした。


「クロウ!」

『分かってる、ロガリア帝国だな』

「うん。お城あったところに植えたいの」

『神も面倒なことを指示なさる』

「そんなこと言わないのー」


 そう言って元ロガリア帝国の帝都へ向かった。

 帝都は破壊されきっており、誰もいないのが明らかだった。

 そして城のある場所は城があったと言われても分からない位に平地になっていた。


「えーっとどこら辺がいいんだろう」

『こっちこっち』

 苗木が指示し始めるので其処へ向かった。

 そこは廃墟と化した場所で唯一果物の木が実り、塔らしい建物が残っている場所だった。


『ここここ!』

「はいはい、ちょっと生長したらを換算して……此処に植えるのが良さそうね」

 瓦礫を退かし、穴を掘り、苗木を植える。

 堆肥をやり、水をかけながら言う。

「大きくなぁれ、健やかにそだぁて♪」

 と言って居ると、振動が聞こえた。

 思わずクロウに抱きつく。

「なななな、何⁈」

 するとあちこちから木々が生えてきて気がつけば周囲は木だらけになっていた。

「名前のない神森の誕生だ、名をつけてやっても良いぞ」

「じゃあ……贖罪の神森」

「カインド帝国とロガリア帝国の罪を洗い流す意味合いか」

「まぁ、そんな感じ」

「よいでは無いか、さぁ帰るぞ」

 私はクロウの背中に乗って飛び立った。

 クロウの背中から見ると、帝都全てを木々が覆い尽くしていた。

「やべぇな、これ」

 思わず本音がポロリ。

『六つしか無かった神森が七つに増えたのだ、妖精と精霊達が飛び交っているだろう』

「うん」

 妖精と精霊の光が森中を飛び交っているのが見えた。

『新しく生まれたのだ』

「へーええ⁈」

『妖精と精霊は自然の中で生まれる、特に神森の中でな』

「ほへー……」

 私はぽかーんとする。

『まぁ、良いか細かい話は、さっさと帰るぞ。今日も宴なのだからな』

「はーい」

 私達は元ロガリア帝国を後にした。





「──と、言う訳だ、ロガリア帝国に贖罪の神森が誕生した」

「コズエ様すげー!」

 ルフェン君止めて、私苗木貰って植えただけ、苗木がやったの。

「コズエ様凄いです!」

 イザベラちゃんも、勘弁して。

「これで、神森が一つ増えましたね! 元の神森の数には遠いですが梢様、頑張ってください」

「いや、それは流石に……」

 一二三ちゃんプレッシャーかけんといて。

「それにしても、今日の宴も盛況ねぇ」

「凍る程冷やしたビールのシャーベッドができたから大人達はそれで盛り上がっているんだよ、特にドワーフのおっさん達が」

「あー……」

 さすがドワーフ、酒関連には五月蠅い。

 それとルフェン君口悪いよ。

「ルフェン君口がわるいよー」

「だってドワーフのおっさん達俺のこと子ども扱いするんだぜ!」

「ドワーフは長生きですからねぇ」

「あ、そうなの」

「ええ、めちゃくちゃ長生きですよ、ハイエルフ程じゃないですが」

「すごいね」

「さぁ、それはそれとして梢様、食事にいたしましょう! 兄様が作った『エルキャラット・ブース』のスープと麺を入れたものを用意しました」

「え、マジ! 食べる食べる」

 私はシルヴィーナについていき、小屋で一人ラーメンをすすっているレイヴンさんの隣に座り、シルヴィーナがマジックバックから出したそれを啜る。

「からうまー!」

 やみつきになるこの辛さ、たまらない!

 私は辛い「ラーメン」を堪能したのであった。







贖罪の神森が生まれました。

これでその土地には梢達以外誰も入れなくなりました。


イブリス神は自分の教徒のすることが頭にきていたのでしょう。

だから開放されて酔っ払ってます。


梢自分はたいしたことしてないと謙遜してますが、かなり凄いことしてますよ。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

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