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伐採日和とイザベラからの手紙

森の部分が妖精と精霊の所為で木だらけになった結果その部分を伐採し隙間を作った梢。

疲労困憊の梢の元に、イザベラからの手紙が来る。

どうやらイザベラ、兄であるマルス王子、正妃マリア、側妃クレア、そして祖父である前フローリア公爵が始祖の神森を訪ねてくるとのこと。

だが、梢は何故か嫌な予感がしていて──





「コズエ様! コズエ様!」

「んあ?」

 どうやらかなり寝ていたようだ、慌てふためいて棺桶を叩いているシルヴィーナさんの声で目が覚めた。

「も、森が!」

 森がどうしたんだ?

 と起きて、ジャージに着替えて外に出る。


「んぎゃー‼」


 木々が密集して生えていた。

 ぎっちぎちだ。

 どうしてこうなった⁈

 と、悩んで居ると妖精と精霊がふよふよと飛んできて。


『愛し子様ーたくさん木を生やしたよー』

『これで資材がたくさん手に入るでしょう?』


 お前らか‼‼

「資材が増えるのは嬉しいけど限度ってものがあるでしょう……」


『あれー?』

『駄目だったー?』


「……取りあえず森を整えるか、どのくらいの範囲こうした?」

 そう言って神様に頼んで貰っておいた地図の一つを見せる。


『このくらいー』


「村の周辺で三周り広がってるじゃないか……うへぇ」

 げんなりしつつ斧を取る。

「伐採して整えてくる」

「い、行ってらっしゃいませ」


 伐採できるの私だけだしな、トホホ。

 それから二日かけて密集していた木々に隙間を作り、資材がたんまり集まった。


「づがれ゛だ」


 私は棺桶に顔面から突っ込みそのまま横になった。


『ごめんなさい、愛し子様』

『愛し子様、ごめんなさいー』


 妖精と精霊達が謝る。

「ううん、次からは気をつけてちょうだい……」

 私はそのまま棺桶の蓋を閉めた。



「ふぁ~~あ」

 翌日、起きて良い夕日だなぁと外を眺めていると──

「コズエ様──!」

「ど、どうしたのシルヴィーナさん!」

 勢いよく入って来たシルヴィーナの手にはドミナス王国の印璽がされた封筒が。

 私は慌てて封筒を開けて、手紙を読む。


 内容を要約すると。

 近日中にイザベラちゃんとマルス王子と、側妃クレア様と正妃マリア様、それからフローリア前公爵が訪ねるので宜しくね。

 的な内容でした。


 フローリア前公爵元いフローリア公爵家というのは側妃クレア様の実家。

 つまりクレア様は公爵家のお嬢様だったと。


 マリア様はどうかはしらない。


 だが分かる。


 何故かトラブルの匂いがする‼


「なぜだか分からないが強烈なトラブルの匂いがする」

「ど、どうしてですか⁈」

「何でかだけどわかんないー!」


 私は猛烈な不安を抱えながら数日間を過ごすこととなった。





 数日後──

 入り口に馬車が複数やって来た。

 私はシルヴィーナと共に入り口に向かい出迎える。


 迎えに出るとイザベラちゃんが泊まった馬車から飛び出して抱きついてきた。


「コズエ様‼」

「イザベラ様」

 私は抱きしめ返す。

「まさかこんなに早く再開できると思いませんでした」

「私もよ‼ お祖父様がお会いしたいって」

「お祖父様?」

 奥の馬車から、背筋をピンと伸ばしている老齢の男性がいた。

 カツカツとブーツを鳴らして歩いてくる。

 緊張感が私に走る。


「初めまして、愛し子様。私はロッズ・フローリア。フローリア前公爵です」

「前公爵ということは、今は息子さんに家督はお譲りに?」

「ええ、今は隠居の身ですとも」

「なるほど……」

「それと──我が孫イザベラを助けてくださり有り難うございます」

「いえいえ」

「ところで、貴女は吸血鬼だと聞きますが……」

 あーあんまいいイメージ持ってないなぁ多分。

「ええ、その通りです。神様からこの森の開拓の許可をいただき、開拓しているしがない血を吸わない吸血鬼ですよ」

「……外に出ようと思ったことは?」

「いいえありません、森の入り口が精々。出不精と言いますか、余計な争い事は避けたいといいますか。殺すとか嫌いなんですよね。一応住居者とは交流はしてますが、あまり人付き合いといいますかそう言ったものが苦手で」

 其処まで言うと、ロッズさんははぁとため息をついた。

「イリスもこの方やクレアのように大人しい方だったら良かったのに」


 ん?


「すみません、今イリスって仰いました?」

「ええ」


 まさか


「──どのような御方でしたか?」

「文武両道と聞こえは良いですがやんちゃでおてんばでそれでいて正義感が強くて、血を吸う吸血鬼がいるという森に行った時に、血を吸わない吸血鬼──確か名前はグレイス・ローレンス。その男に恋をしてせっかく正妃候補の座に居たのにその座を捨てて家出をしたのです……『惚れた男と添い遂げれない家になんざいれるか!』と書き置きを残して……」


 はい、やっぱりー!


 私は冷や汗をだらだらかいた。


 どうしよう。

 その惚れた相手が奥の方だけど住んでいる。

 しかも、娘さんは殺されて赤ん坊を残して!


 どうしよう、地雷臭しかしない。





「愛し子殿、サフィロがぐずってミルクを欲しがっている。ブラッドフルーツが底を尽きたので分けてほしい」


 バッドタイミング。


「お、お前は‼ 何故此処に居る⁈ 儂の娘はどうした‼ イリスはどうした‼」

「お父様落ち着いて‼」

「お祖父様落ち着いてください」

「ロッズ様、落ち着いてください」

 家族と従者総出でロッズさんを止めている。


 グレイスさんは目を見開き唖然としているし。


 赤ん坊は関係なく泣いてるし。


 もうカオス。


「ロッズさん、落ち着いてください。事情は赤ん坊の世話を終えてから聞きましょう、ね?」

「し、しかしですな……」

「今興奮していては事情も何も聞けないまま終わりますよ」

「そこの老人、梢の言う通りだ。大人しくしておけ」

 クロウがやって来た。

「梢、早く赤ん坊を」

「はーい、ちょっと待っててねー」


 私はブラッドフルーツを取りに戻り、煮沸消毒した哺乳瓶にブラッドフルーツの液体を入れて、戻る。

 それをグレイスさんに渡す。

 グレイスさんはそれを受け取り、サフィロ君に飲ませる。

 んくんくと飲んでいき、空っぽになると、飲むのを止め、グレイスさんはゲップをさせてあげた。


 その後リサさんに預かってもらい、来賓の館で話合うことに。


「……」

「……」


 さて、どうなることやら。


 悪い方向にだけ進まないでほしいと私は願うばかりだった。






梢は肉体労働と精神労働させられるはめになりました。

森の木がめっちゃくちゃ増えて肉体労働、そしてグレイスの奥さんイリスさんがイザベラの伯母に当たり、イザベラの祖父がかなり激怒しているからです。


梢はこの修羅場をどう切り抜けるのでしょうか。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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