新たな移住者~誤解から始まって~
ダンピールの赤ん坊サフィロが母親が居なくなったことで一人になったのではと悲しくなる梢。
そこへ神様の電話をしてきて、父親は生きていると告げる。
翌日、皆で父親を待つが勘違いした父親らしき吸血鬼はサフィロを抱いたリサに襲いかかり──
私がもんもんと悩んで居ると──
「ちょっと確認しますねー」
と、部屋の奥へ行くリサさん。
戻って来た。
「男の子です」
「可愛い男の子だねぇ」
「イリスさんがお母さんと言うことは、この子もダンピール?」
「でしょうね。吸血鬼の匂いを纏っている人じゃないと安心できないのでしょうね」
「吸血鬼の匂いを纏う……あ、だからシルヴィーナさんが抱っこしたら大泣きしたんだ」
「私は夫と長い間連れ添っていましたから……」
「うーん、なるほど……一緒に居ると吸血鬼の匂いが付くのか……」
吸血鬼臭ってなんだ?
加齢臭とは違うっぽいけど……
「それにしてもこの子、独りぼっちになっちゃったのか……」
そう言うと部屋の空気が重くなる。
そんな中、またスマホが鳴った。
「なんですか⁈」
『儂じゃよ、神様じゃよ』
「あ、神様、どうしたんです」
『その子の父親は生きておるぞ』
「マジですか⁈」
『エンシェントドラゴンのアイテムボックスに母親の亡骸の保管を頼んでおけばよかろう、それまでは赤子の世話を宜しくじゃ。そうそう、多分明日頃この森に来るじゃろ』
「はい!」
通話を切り皆に言う、何故クロウのアイテムボックスに亡骸の保管を頼んでおけば良いのか知らないまま。
「この子の父親は生きているそうです!」
「本当?」
「はい、だからクロウ、あの女性の亡骸の保管をお願いします」
「分かった、どれくらいで来ると神は?」
「明日だそうです」
「了解した」
それまでこの子をしっかり育てなければ。
それからリサさんと私が交代で赤ちゃんの世話をしつつ、畑仕事などもやっていた。
正直めっちゃ大変。
おんぶ紐購入して良かった。
あと、抱っこ紐も。
ダンピールだけど赤ちゃんの頃は排泄するらしい。
……そう言えば、私吸血鬼になってからトイレいってねぇな、と今更ながら気づいた。
マジ今更すぎるな。
そんなこんなで一日を私達はせわしなく過ごしていた。
そして夜──
「なんかいつもより静かね」
「そうだな」
そして森の入り口に気配を感じた。
「行きましょう」
「はい」
「ああ」
リサさんにサフィロ君を抱っこして貰い、そのまま森の入り口に行く。
入り口では空気がひりついていた。
吸血鬼がいる。
目を血走らせて、理性ではなく本能で動いて居る。
「サフィロを返せぇえええええ‼」
リサさんに襲いかかった。
私は攻撃を防ぎ応戦する。
心臓を的確に狙ってくるからそれを狙い、私の心臓を掴む手前で手を掴みそのまま。
ガツン‼
頭突きで昏倒させた。
相手は鼻血を出して倒れた。
「イケメンが台無しになってるわな」
文字通り鼻血でイケメンが台無しになっていた。
「取りあえず村に連れて行こう」
「そうですね」
「俺の出番は無かったな」
クロウが少し不満げ。
クロウが男性を抱えて、医療院に行く。
ベッドに寝かせて鼻血も吹いて、目覚めるのを待つ。
三十分程してからうめき声を上げた。
「う……」
目を明けると飛び起きた。
「起きましたかー?」
「お前達は……あ、貴女は⁈」
「お久しぶりです、グレイス・ローレンス様。リサ・ミストリアです」
「ミストリア夫人でしたか……これは失礼しました、ところでこの者達は」
「我はクロウ、エンシェントドラゴンだ。今は人の姿だがな」
「え、エンシェントドラゴンだと⁈」
男性──グレイスさんは驚いている。
「して、其処の吸血鬼はまさか……」
「コズエ・ミサカ様。始祖の森を開拓している愛し子であり、グレイス様の仰る通り吸血鬼です」
「なんと……‼ 失礼致しました……‼」
「いやぁ、我が子のことしか考えれなかったらしゃーないよ、でも私居なかったら大惨事だったから勘弁してね頭突きしたのは」
「……サフィロは」
「こちらに」
リサさんがサフィロ君をグレイスさんに抱かせる。
サフィロ君を抱いたグレイスさんは泣きそうな顔をしていた。
「妻は、妻はどうなった……?」
「我が話そう」
私が話辛いことを、クロウが代わりに話してくれた。
我が子を守ろうとしこの森に来ていた事、森の入り口でイブリス教徒と遭遇し、我が子を守るため、死去したこと。
死体はクロウが保管していること。
「お前はここから何処へ帰る? イブリス教徒はもう終わりになったらしいが、それでも吸血鬼は住みづらいし、夜の都で暮らすにはお前の財が持たんだろう」
夜の都って金持ちしかおらんのか。
「……」
「だったら、ここで暮らします? リサさんも居ますし、知り合いがいた方が気が楽でしょう」
「だが……」
「あ、住む場所なら私が作りますので、でもそろそろお屋敷も作れそうなので」
資材もたっぷりたまっている。
これなら作れる。
「良ければリサさんのお家も作り直せますよ」
「いいえ、私はもう十分です」
「なら我の家を作り直せ」
「へいへい」
私達はまずクロウの家に行った。
「クラフト、作り替え! どうりゃああ!」
斧やら何やら振り下ろすと立派な屋敷ができていた。
「ふむ、良いな」
「こんな感じの家になりますがいいですか」
「本当に、良いのか? 愛し子様……」
「子育ては一人じゃ大変でしょうから」
私は笑った。
「……すまない」
「じゃあ、少し開墾するんで待っててください」
と村の奥をへと開墾しそこに桜並木も作り、石畳を敷き、そして屋敷を作った。
「ふぅ」
そして村に戻る。
「できました」
グレイスさんはサフィロ君を抱っこし、私の後に付いてきた。
「これは立派な……!」
「どうか、ここでゆっくりと棲んでください。サフィロ君のことがありましたらすぐにリサさんを呼べるよう、魔導器を購入しておいたので」
実は今日この家に遠距離連絡ができる魔導器をレイヴンさんから仕入れたのだ。
高かった。
白金貨500枚は……
こつこつ貯めておいて良かったよ……
「こんな高い物まで……」
「いえいえ、では」
「何かあったらすぐ駆けつけますね、アルトリウスに頼んで」
「有り難う、ミストリア夫人」
「リサ、でいいですよ」
「リサさん……」
「グレイス様」
リサさんはにっこりと微笑んで私と一緒に帰路につき、別れ、私は自宅を見る。
「……改築するか、クラフト!」
そう言って選び、作り直す。
「ふぅ、でけた。後で、来賓の館も作り直すか」
私は斧とハンマーを持って来賓の館へと向かった。
結果、医療院と貯蔵庫も作り直すことになり、資材が結構減った。
また、貯めないと。
「林業とかも始めようかな」
と呟いて疲れたので棺桶で昼寝ならぬ夜寝をすることに。
『よぉし、木をたくさん生やすぞ!』
『やるぞぉー!』
『えいえいおー!』
こんな事を言っているのを勿論梢は知るよしもない。
さて、サフィロは無事父親の元へ帰ることができました。
しかし、謎として何故母親の遺体をクロウがアイテムボックスで保管を神様が頼んだか残ります。
埋葬まだしてないんですよね。
そして最期の妖精と精霊の言葉、どうなるんでしょう。
ここまで読んでくださり有り難うございました!
次回も読んでくださると嬉しいです。




