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世界樹と、とある悲劇

梢は目覚めるとシルヴィーナ達と共に世界樹の苗木を植えたところへと向かった。

すると二つの苗木は立派な木に生長しており、梢は安堵する。

そして帰路につくと、森の入り口が騒がしい事に気づきクロウとシルヴィーナと共に向かうと──





「んー……」

 夕方目を覚ました。

 まだ、リサさんの会話が頭に残るが隅っこに追いやった。

 外に出ると、夕焼け空が綺麗だった。

「さて、畑仕事とか、頑張ろう!」

 果実が実りに実る季節。

 日ごとに、実る作物。

 夏の暑さが残る。

 聖獣達のお世話も、収穫もすんだから、久しぶりに世界樹の苗木を見に行きたくなった。

「と、言うことでシルヴィーナさん、同伴してくれる?」

「はい! 勿論です!」

 と言うことで、世界樹の苗木を植えたところへ行こうとすると──

「コズエ」

「コズエさん」

「アインさんとティリオさん、どうしたんですか?」

「何処に行かれるのですか?」

「世界樹の苗木がどれくらい生長しているのか見に行くんです」

「同伴してもいいですか」

「私もです」

「んーいっか、でも遠いですから」

「そんな予感はしてます」

「はい」

 と言うわけで、四人で世界樹の苗木を植えた場所にいった。


 まずは一つ目。


「うおーあんなにひょろひょろだったのに立派にそだってるぅ」


『僕達がお世話したよ!』

『頑張ったよ』

『植えてくれてありがとう』


 妖精と精霊の声、それと苗木だった立派な木の声を聞いて、私は木を撫でる。

「よしよし、大きくなるんだよ」

 と言ってから振り向く。

「じゃあ、次の場所行こうか」

 三人は頷き次の場所へ。


「うお、デッカ!」

 先ほどの木に負けてないというか、さっきの木よりも大きく育った苗木があった。


『ここは水はけがいいからねぇ』

『それに儂らも頑張ったしのう』

『ぼく、こんなにおっきくなった!』


 うーん、向こうに少し肥料とか多めに与えるべきかなぁ、とか色々考えている私。


「どちらも立派にこの一年で育ちましたね、コズエ様の加護のおかげでしょう」

「ならいいんだけど、あと私だけじゃなくて妖精と精霊もね」


 私は苦笑してそう答えた。


「じゃ、さっきの木の所に行ってくるから先に帰っていいよー」

 と言って三人と別れると、先ほどの木の所へ行って、肥料を上げ、良い土を与え、水をやった。


『おいしい、おいしい』


「精霊さん、妖精さん、こっちの木の事も宜しくね」


『任せてなの!』

『勿論!』


 妖精さんと精霊さんにお願いしたし、木も美味しいといってくれてるし、大丈夫だろうと思う。

 私はそのまま、帰路についた。


「ただいまー……ん?」

 森の入り口が騒がしい、何かおかしい。

「クロウ! シルヴィーナ!」

「分かっている」

「はい!」


 急いで森の入り口に行くと、フードつきのローブを纏った人物が赤子を抱えながら戦っている。

 だが割り込む前に、フードを被った人物の心臓を剣が貫いた。


「貴様らああああ‼」

 同じような格好だが、胸元に太陽のシンボルをつけている男達を私はなぎ払った。

 血しぶきが舞う。

 怒り任せに殺そうとすると、クロウに止められた。

「お前は其処までやらなくていい、後は我がやる」

「……」

 私は少し冷静になり、クロウに任せた。

 私は赤ん坊をだいた人物に駆け寄る。

 シルヴィーナが介抱をしていたが、首を振っていた。

 フードの下は女性だった。

「しっかりしてください!」

「愛し子様……お願いです……私の赤ちゃんを……サフィロをどうか……」

「貴方の名前を! 気をしっかり!」

「……イリス・ローレンス……」

 女性はそう呟いて反応しなくなりました。

「っ……」

 助けられなかった事が悔しくて仕方なかった。


 ほぎゃあほぎゃあ


 赤ん坊が泣いている。

 私は赤ん坊を抱き上げた。

「よしよし、良い子、良い子」

 すると赤ん坊は目を潤ませてぐずっていたが、次第に泣き止んだ。

 きゃっきゃと私に手を伸ばす。

「人見知りしない子なのかしら」

 と思い、亡骸を運ぶためシルヴィーナに預けると


 ほぎゃあほぎゃあほぎゃあ!


「た、助けてくださいー!」

「……シルヴィーナさん、亡骸運んでくれます?」

「は、はい!」


 シルヴィーナさんの腕の中で大泣きしている赤ん坊を抱っこすると、泣き止んだ。

「なんやねん」

 思わずツッコんでしまう。


「こちらは終わったぞ」

「クロウ、有り難う」

「礼には及ばん、さぁ、村へ戻るぞ」


 村へ戻ると、リサさんとアルトリウスさんが珍しく村の人達と話をしていた。

 リサさんはよく話すけど、アルトリウスさんは珍しいなー。


「コズエ様……あら、その赤ちゃんは?」

「実は……」


 私は事情を話し赤ん坊の名前と、母親らしき女性の名前を語った。

 するとリサさんは驚愕の表情をした。


「ローレンス様の⁈ 彼もまた飲まずのローレンスと言われて、血を口にしない吸血鬼よ‼」

「イブリス教の信者共、夜しか動けない事を逆恨みして各地の吸血鬼達を襲っているようだ」

「イブリス様、もう、イブリス教の信者家からでれなくした方が良いんじゃ無いですか? 無くなったほうがいいですよ」

 と呟くとスマホが鳴った、赤ん坊をリサさんに預けて慌てて出る。

「はい、もしもし!」

『イブリス神です。貴方が言うことも最もなのでネロ神と力を合わせて夜もまともに歩けなくしました』

「マジかー」

『いやはや、こうも迷惑をかけて申し訳ない』

「本当ですよ、被害者出てるんですから」

『申し訳ない』

 そこで通話が終わる。

「イブリス教終わったわ」

「か、神とお話されてたのですか⁈」

「まーそんな感じ。イブリス神とネロ神の協力で夜にもイブリス教徒は呪われたらしい」

 その言葉にクロウ以外が顔を引きつらせた。

「二つの神から呪われるとはイブリス教も愚かな……」

 クロウが呆れたように言う。

 スマホをしまって、赤ん坊を預かる。

「……と言うことはこの子ダンピール? 何を飲むの」

「母親の乳以外では、ブラッドフルーツを搾ったものを飲みます」

「じゃあ、絞るか……」

 リサさん達と自宅に行き、ブラッドフルーツを搾ったものを作る。

 それを哺乳瓶に入れて、口に運ぶと赤ん坊はんくんくと飲み始めた。

「かわいいねぇサフィロ……性別どっちだ?」

「後で私が確認しておきます」

「リサさん、頼みます」

 流石に確認する勇気はない。

 経産婦じゃないから気が引ける。

 赤ちゃんの面倒みたことないからまだ無理だ!

 とは言えず、どうしていいのか悩んでしまった。





世界樹の苗木は立派な木へと一年で生長を遂げていました、これには梢もびっくり。


そしてイブリス教信者のあまりにも愚かな行動。

イブリス教の信者達はイブリス神とネロ神両方に呪われてしまいました。


また、森の入り口で女性が亡くなるという被害が出てしまいました。

赤ん坊と女性の亡骸を梢達はどうするのでしょうか。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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