50 頑張った結果、幸せ。
王妃 ヴェロニカ・アズリオン 炎魔法
国王 アルト・アズリオン 水魔法
王弟 シエル・アズリオン 風魔法
王弟妃 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
罪人 ミレイア・ノクス 光魔法
「お、ヴェロのパン屋さんが開店だね」
アルトが仕事を終えて足を運んでくれた。
「ええ、久しぶりに焼いてみたけど。できるもんですね」
炎魔法を使うのも久しぶりだけど、できるもんだ。
「母上~!パンを1つくださいっ」
そう言って駆け寄ってきた男の子は、アルヴィン。
アルトによく似たこの子は、もちろん私とアルトの子だ。
「あらあら、どこでこんな石…ん?」
これは、水晶。
お金になるやつじゃん…
「ははうえ~、僕も、パンくださぃっ」
そう言って遅れて近寄ってきた男の子はヴァレウス。
この子も、アルトと私の子だ。
「この水晶…おじい様とおばあ様のお庭に勝手に入ったの?…ちゃんと後で、ごめんなさいするのよ?」
そう2人に言っていると「いいんだよ」と王と王妃…今は、退位して先王と先王妃になられたお二人がやってきた。
先王の腕の中には、これまたアルトによく似た女の子、エルゼが抱かれている。
「私たちにもパンを売ってくれるかな?」
そう言われて恐縮してしまう。
「ははうえ、僕も…」
そう言って近寄ってきて私に手を広げて虫を見せた男の子はルシアンだ。
この子も、私とアルトの子…。
ポンポン産むつもりはなかったのだけれど、男の子3人と女の子1人を授かることができた。
側妃をという声はあったけれど、3人目の子が生まれたとき、シエル殿下がリリアーヌ嬢と結婚されて、いつの間にか側妃を求める声もなくなってしまったのだ。
アルトは結婚前に宣言したとおり、側妃をとらなかった。
「あらあら…これは…幼虫さんね。土から掘り出してしまったの?」
虫が嫌いだから、本当は飛び上がって叫びたい。
それをぐっとこらえる。
「うん…僕も、パンほしいの…」
「パンを食べたいから、土から幼虫さんを出しちゃったの?寒い寒いって震えて、可哀想じゃない?」
私がそう言うと、ルシアンはまた幼虫を土の中に戻す。
「寒くしてごめんね。バイバイ…」
そう言って、優しく土をかぶせている。
いい子に育っている…と思う。
「幼虫さんに優しくできたルシアンも、みんなで一緒にパンを食べましょう。…さあ、皆、手を洗ってきてくださいね」
そう言って、手を洗いにいく私の家族を見送った。
幸せだ。
乙女ゲームに悪役令嬢として転生したときは運命を呪った。
努力して、逃げて、どうしてヒロインじゃなくて悪役令嬢なのかと嘆いたことは1度や2度じゃない。
でも、悪役令嬢だったから今の私がいる。
もしも私がヒロインとして乙女ゲームの世界に転生していたらどうなっていただろうか。
何もかもうまくいって、みんなからチヤホヤされて、特別扱いされて、それが当然になる。
もしかしたら、ミレイヤのように勘違いしてしまったかもしれない。
私が世界の中心なのだと…。
だから、悪役令嬢などに転生させたクソ神様に、感謝しておこう。
一応ね、一応。
「ヴェロ…息子たちは父と母に任せて、今夜、もう1人、作っちゃおうか」
そう言って、アルトが私にキスをする。
「産むのは私なのよ。ちょっとは…加減しなさいっ」
ペシっとアルトの額を叩いて、キスをした。
愛する人のために諦めて身を引く愛もある。
それが必要なときもある。
思えば私はそういう恋愛しか知らなかったように思う。
そんな私にアルトは、愛する人のために諦めない愛を教えてくれた。
最推しは、私が思っていた人とは…設定とはちょっと違ったけど。
「アル、愛してるわ」
アルトにそう伝えると、顔を真っ赤にして微笑んで、私を抱きしめてくれた。
私は目の前にいるこの人を、私は愛していくんだろう。
これからも、私の物語が続くかぎり…
「破滅エンドが確定しました。悪役令嬢ですが知ったこっちゃない、逃げる。」、完結となります。
こんな自慰小説を、多くの方が目にとめてくださるのが嬉しくて、本当に執筆の励みになりました。
読んでいただいた皆さま、ありがとうございます。
普段は18禁の小説をメインで書いております。
18歳以上の方はよければ、のぞいてみてください。




