43 アルト殿下が提案する作戦に、絶句。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「何言ってるのよ!ここは…私がヒロインの『アオチカアカヒミ』なの!私がチヤホヤされて、私が幸せになる世界なのよっ!」
ミレイアがそう叫んだ。
本当に、ミレイアが何を言っているのかわからない。
そしてたぶん、ミレイアには私が何を言っているかわからないんだろう。
「そういうことか…」
声がしたから驚いて振り返ると、アルト殿下が歩いて近づいてきていた。
「やだぁ!アルト殿下、どうされたんですか?」
コロッと態度が変わったミレイアが、アルト殿下に近づいていく。
なんとなく居づらくて、そこから立ち去ろうとして、腕を掴まれた。
「お二人に、提案があります」
アルト殿下がそう言って、ニッコリ微笑んだ。
なんか…目が笑ってない…?
怒ってる雰囲気がするけど、なんだろう。
「ミレイア…さんは、チヤホヤされたいんですよね」
アルト殿下が敬称を悩んで、『さん』で落ち着いたようだ。
ミレイアは少し面白くないという顔をしたけど「…そうね」と認めた。
「そうして、ヴェロは…ヴェロニカ嬢はそっとしておいてほしいと思っている」
アルト殿下にそう言われて、少し悩んで「そうですね」と答えた。
「ほら、利害が一致した!」
アルト殿下が、私とミレイアの手をとって重ねた。
「つまり、ミレイアさんが古代の聖女の生まれ変わりになればいいんです。そうすれば、ミレイアさんは古代の聖女の生まれ変わりとしてチヤホヤされます」
そう説明している。
だいたい…あってはいるけれど。
「でも、それだと…」
私が続けようとして、アルト殿下が止める。
「そうなんです。古代の聖女の生まれ変わりとなると『祈りの島』に行かなければいけません。ですが、『祈りの島』では一生、生活に困りません。そのうえ、未来永劫、称えられます」
そう言って、アルト殿下がニッコリ微笑んだ。
プルプルとミレイアが震えている。
「…なにそれ、最高じゃない!そうよ、私はヒロインだもの!みんなにチヤホヤされて、贅沢して暮らさなきゃ!それで、どうしたらいいの?」
ミレイアが快諾している。
私が何か言おうとすると、アルト殿下に止められる。
「恐れ多くも、古代の聖女の生まれ変わりだとヴェロ…ニカ嬢が偽ったと私が皆の前で断罪します。そうして、ミレイアさんを紹介して、一件落着という筋書きです」
「まあ!卒業式でできなかった、ギャフンじゃない!そうそう!これよ、これ!」
ミレイアが興奮している。
色々と誤解がある。
ミレイアが思っているほど、祈りの島はいいところじゃないのに。




