41 古代の聖女の像の前で、口論。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
神殿では、呑めや歌えやの大騒ぎだった。
古代の聖女の生まれ変わりだともてはやされた。
…全然、嬉しくない。
神殿の偉い人からも頭を下げられてしまって、本当に居心地が悪い。
私が世界の果てに行くのは、1週間後となった。
本当に逃げようがない。
各国から、凄いものが色々と贈られていると聞いた。
ドレスも宝石も、お酒もあるらしい。
世界の果てに行ったら、1人で酒盛りでもしようかしら。
パンを焼いて、日がな一日、のんびり過ごす。
この国から逃げたとき、そんな日が続けばいいなと思っていたときもあった。
でも、今は。
アルト殿下に会いたい。
あんなに結婚を悩んで渋っていたのに、すごく会いたい。
最後のお別れすら言えないまま…このまま、たぶんもう二度と会えない。
でも、これは私が光の扉のことをペラペラしゃべってしまったからだ。
自業自得。
口は災いの元。
だから、誰を責めてもいけない。
受け入れよう…
手紙くらいは書いてもいいのかな。
そんなことを考えながら、ぼんやりと窓から外を見た。
光の扉…もう1度出てきてくれないだろうか。
夢のせいにして、アルト殿下に会いたい。
会いたい、会いたい…
でも、どんなに会いたいと願っても、光の扉が現れることはなかった。
きっとあれは、奇跡だったから。
奇跡は何度も起こらないから奇跡なんだ。
それがわかって、涙が溢れた。
そんなもののせいで、私はもうアルト殿下に会えない。
ふらふらと神殿を歩く。
また、逃げ出そうか。
今度はどこに…そこまで考えて、笑いが込み上げた。
逃げても逃げなくても変わらない。
どこに行っても…アルト殿下に会えないじゃないか。
そう思っていたら、いつの間にか礼拝堂のようなところに来た。
ここがどこなのか、結局神殿を案内されなかった私にはわからない。
と、目の前にミレイアが現れた。
「古代の聖女の生まれ変わり様は、古代の聖女の像に挨拶にでもきたの?」
そう言われて、ミレイアが見ているほうを見た。
女性の像のようだけど、これが古代の聖女の像なのか。
「散歩していたら、偶然…ここにいただけです」
言い争うのも疲れる。
適当に受け流して…部屋に戻るか。
そう思っていたら、ミレイアに頬を叩かれた。
パシン!と頬を打つ音が響く。
踏んだり蹴ったりだ。
私が何をしたと言うんだろう。
「あんたは、なんでもかんでも私から奪っていくのね!」
そう言って怒っている。
私はミレイアのものを奪ったことなどないじゃないか。
ふつふつと怒りが込み上げる。
いつだって私は、あなたに譲ってきたつもりだったのに。
どうして、そんなことを言われないといけないんだろう。




