37 学園時代の思い出話で、涙涙。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「…は?」
アルト殿下が眉間にシワを寄せている。
「その…学園にいるときは最後まで、アルト殿下のことを考えていたそうなんですけど」
なぜか私、ミレイアのために言い繕っている。
こんなことする義理はないのに…
「ですから、アルト殿下ももし悩まれているなら、1度、ミレイアさんと…」
そこまで言って、ベッドに押し倒された。
「怒るよ。…いや、もしも、ヴェロがその…学園時代のことを怒ってて、こんなことを言ってるなら、土下座して謝ってもいい。だから、そんなこと言わないでほしい」
ベッドの上で、固まる。
アルト殿下って、やっぱり男性なのね…
話している内容とは全然違うことを考えていた。
「ヴェロ?」
アルト殿下の声が上から聞こえる。
「あ…え、あ…お、怒ってません。あれは、強制力が、あれでしたし…その。とりあえず、座ってもよろしいですか?」
押し倒された経験がないわけじゃない。
でも、推しに押し倒されるという夢のようなシチュエーションに心臓がもたない。
「強制力…そう、それのせいだったんだね。ずっとヴェロのことが好きだったのに、なぜか嫌いで。すごくモヤモヤしてたんだ」
アルト殿下がそう言って、私に抱きつくように横になった。
これは、私が以前、アルト殿下を抱き枕にした仕返しだろうか?
「よく、図書室にいただろう?窓の下から、ヴェロが本を読んでいる姿を見るのが好きだったんだ」
アルト殿下にそう言われて、ドキっとした。
見られていたとは…
「廊下で転んだ人に手を貸していたり、困っている人がいたら率先して助けにいくヴェロの姿を目で追ってた。素敵な人だなと思っていたのに、どうしてだか、ヴェロが目の前にくると嫌悪感があって…」
困っている人を助けていたのは、破滅ルート回避のためです、ごめんなさい。
…って、そこも見られていたとは。
「ヴェロは優しい人なのに、なぜだか悪い噂ばかりが流れて。あれも不思議だったんだ。だいたい図書室にいるのに、階段で誰かを突き飛ばしただの、広場で暴れていただの。誰と勘違いされてるんだろうって思っていたんだよね…」
それは、私にもわからない。
火の無いところにドンドン煙が上がっていくのは、たしかに変だったけど。
あれも、強制力だったんだろう。
悪役令嬢である私は、誰からも嫌われていなければいけなかったから。
「でもね、俺はずっと、ずっと、ヴェロが好きだったんだよ」
アルト殿下にそう言ってもらえて、泣いてしまいそうになった。
誰からも愛されていないと思っていたけど、私を好きでいてくれた人がいたんだ。




