35 元ヒロインの言い分はめちゃくちゃで、暴走。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「しかも、あんた、アルト殿下の婚約者に返り咲いたんですって?ずうずうしいのよっ!悪役令嬢のくせに!」
そう言われて、困惑する。
「…悪役令嬢って」
私はもう、ルージュリス家とは関係ない。
だから、令嬢という言葉はピンとこない。
「私も最後まで悩んだのよ。隣国の皇太子か、アルトか。でも、アルトは最後まで好感度がマックスにならなくて…まあいいかって隣国の皇太子にしたら、戦争で負けちゃうし!」
まあいいかで選んだの?
「え…好きだから、結婚したんじゃないの?」
激昂しているミレイアから少し距離をとりつつ、疑問に思ったことを尋ねてみた。
「はあ?皇太子妃になりたかったから結婚したのよ。だって、攻略対象3人なのよ?」
攻略対象は皇太子と騎士と隣国の皇太子の3人だけ。
乙女ゲームとしては、攻略対象が少ないのは確かだ。
でも、だからこそ、1人1人とじっくり話せるし、じっくりじっくり相手を観察できる。
眼福…
「私はね、誰からもチヤホヤされるお姫様になりたかったの。だって、ヒロインなのよ?」
そう言われて、引いてしまった。
たしかに乙女ゲームのヒロインだったけど、もうゲームのストーリーは終わった。
終わってもう、何年も経ってるのに。
「だいたい、アルトの好感度が上がらなかったのは、あんたのせいなのよっ!」
ミレイアにそう言われて、ますます戸惑った。
「私?…私は、なにも…」
「そう!あんたは何もしなかったの!悪役令嬢なのに、なんで私をイジメないのよ!」
そう言われても。
「ミレイアさんをイジメる理由が、私にはなかったので…」
私がイジメなくても、私がイジメたことになっていたし。
ちゃんと悪役令嬢の役割は果たせていたと思うけど。
「挙句!卒業式、来なかったでしょ?!あそこが見せ場なのに。あそこで、あんたがギャフンってされないと、私が幸せになれないの!現に、私、修道女になっちゃったんですけどっ?!」
そう言って怒られた。
それは、私のせいなんだろうか。
「ミレイアさん、落ち着いてください。あの…神殿を案内いただけないなら、今日は帰ります」
ここは逃げたほうがよさそうだと思った。
「ちょっと待ちなさいよっ!話は終わってないんだから」
そう言って、ミレイアが私の腕を掴む。
「あんた、アルト殿下と婚約破棄しなさい。もともと、アルト殿下と結婚するのは、ヒロインである私の役目なんだから」
ミレイアが自信満々にそう言った。
アルト殿下との結婚には、まだ悩んでいる。
それは事実だ。
でもどうしてだろう。
こいつにだけは、アルト殿下を譲りたくない。




