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破滅エンドが確定しました。悪役令嬢ですが知ったこっちゃない、逃げる。  作者: 西園寺百合子


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30/50

30 いい夢が見られて、幸せ。

悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法

皇太子  アルト・アズリオン    水魔法

皇太子弟 シエル・アズリオン    風魔法

婚約者  リリアーヌ・マーロウ   雷魔法

ヒロイン ミレイア・ノクス     光魔法

先生   カサンドラ

たくさん泣いて、たくさん話したら、疲れた。

さて困った。

「…どうやったら、夢から覚めるのかしら」

疲れたから、もうそろそろ寝たい。


ん?なんか変だ。

「寝たらいいんじゃないかな。夢の中で寝ると、現実では起きるっていうし」

アルト殿下がそう言った。

それは、聞いたことがある。

「そうですね。では、部屋に戻って休みます。アルトもしっかり寝て…ってなんか違うか。でも、明日も夢で逢えたら嬉しいです」

夢だと素直になれる。


「…夢なんだし、ここで寝ていけば?」

アルト殿下がポンポンと自分の隣を叩く。

「…なんてね」

アルト殿下がいたずらっ子のような顔をした。

「そうですね。夢だし、ここで寝ちゃお」


私がそう言ってベッドに飛び乗ると、アルト殿下がビックリしている。

「え?…ほんとに…本気?」

アルト殿下が驚いているの、面白い。

「はい、本気ですよ。こんなふっかふかのベッドでなんて寝られないもの。私の部屋のベッド、使用人の部屋のものと同じなんです。あ~、硬いベッドが嫌いってわけじゃないんですよ。それはそれで好き」

私が一気にしゃべると、アルト殿下がポカンとした顔で私を見る。


「でも、今、本当に寝不足で。それもこれも、アルトが怪我をしたからなんで。今日はこのふっかふかベッドでぐっすり休ませていただきます。あ!久しぶりに、アルト抱き枕、してもいいですか?」

久しぶりというのは、異世界にくる前のお話だけど。

我が家にあった、アルト殿下の抱き枕。

この世界には抱き枕という文化がなくて、抱き枕自体久しぶりなんだけど。


「え?ダキ枕って?」

アルト殿下がきょとんとしているから、抱きつく。

「抱き枕は、抱き枕ですよ~。アルト~、久しぶりに一緒に寝ようね~」

抱き枕にしてはややゴツゴツしているけれど、まあ仕方ない。

私の想像力が足りないんだろう。

「え?え?…え?」

アルト殿下があたふたしているのが面白いから、それでいい。


なんていい夢なんだろう。

今日はとてもぐっすり眠れそうだ。

「アルト…明日には目を覚ましてね。どうか、幸せになって…」

アルト抱き枕をぎゅっと抱きしめる。


私の最推しには、幸せになってほしい。

もう、処刑でもいいや。

どうせ、1度死んでるんだもん。

私の命をあげるから、クソ神、どうか、アルトの怪我を治してください。

そう思ったのか、口にしたのか。

そのまま眠りに落ちていった。


ずっと見ていたい夢だったのに、こんなに簡単に眠れてしまうのね。

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