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破滅エンドが確定しました。悪役令嬢ですが知ったこっちゃない、逃げる。  作者: 西園寺百合子


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16/50

16 夜になるとネガティブで、泣く。

悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法

皇太子  アルト・アズリオン    水魔法

皇太子弟 シエル・アズリオン    風魔法

婚約者  リリアーヌ・マーロウ   雷魔法

ヒロイン ミレイア・ノクス     光魔法

先生   カサンドラ

それからときどき、図書室でアルト殿下に会うようになった。

特段、なんの会話もない。

挨拶をして、私が着席して本を読み始めると、その後ろの席でアルト殿下も本を読む。

最初は中途半端な距離に困惑したけど『いつもの席』になってしまうと、不思議と違和感も無くなった。


それにしても、アルト殿下があんなに本がお好きだとは知らなかった。

ゲームの設定にも読書好きなんて情報はなかった気がする。

でも、私が時間をずらして図書室に行っても、だいたいいらっしゃる。

私が熟読している間にいらっしゃることもあるけど、帰るときにはいつの間にか後ろで本を読んでいらっしゃるのだ。


「学園では、一度も会わなかったんだけどな…」

これも、強制力というやつなんだろうか。

アルト殿下は読書好きという設定がゲーム上ではなかったから、本当は読書好きだったのに図書室に行けなかった、とか?

ありえなくはないか。


小説が面白くてついつい図書室に通ってしまったけど、今読んでいる小説もそろそろ終わる。

シエル派の私がアルト殿下の近くにいるのはよくないだろうから、あの本を読み終えたら図書室には行かないようにしよう。

そう思って、自分の部屋の窓から外を見た。

「…読み終えたくないな」


気がついてた。

小説を読みに行ってるなんて、言い訳だ。

最推しの顔を見に行ってた。

チラッとでも見れたら嬉しくて、今日も会えるかなと期待して、図書室に足を向けている。

「最低だ、私」


シエル殿下にも、アルト殿下にも失礼なことをしている。

でも、もう少しだけ、最低な私を許してほしい。

あと数ページ分だけ。

それが終わったら、ちゃんと気持ちを切り替えよう。


お飾りであっても、私はシエル殿下の側妃となるのだから。


お城にいたら、どこかでアルト殿下と会うかもしれないとわかっていた。

会っても平気だと思っていたのに、これほど揺さぶられるなんて。


図書室から部屋へ戻るとき、挨拶した後のアルト殿下を思い出す。

毎回「ああ」と言って、すぐに視線を本に戻してしまわれる。

あれが、私とアルト殿下との関係を物語っている。

アルト殿下は、私にはもう興味がない。


それでも、あと数ページ分だけと思ってしまう自分が、女々しくて本当に嫌だ。

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