01 頑張った結果、破滅。
『蒼い誓いと紅い秘密、その扉の向こうで』
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
異世界転生なんて、小説とかゲームとか、そういう世界の話よね。
多くの人がそう思ってる。
私もその1人だった。
死ぬまでは…
「いや~。めんご、めんご。君、まだ死ぬ順番じゃなかったんだよ~」
いまや、死語となっている言葉を使う、この白いやつ。
どうやら、神様らしい。
で、なぜか、異世界転生してしまった。
私が熱心にプレイしていた乙女ゲームの世界に。
ヒロインに転生させてくれればいいのに、なぜか悪役令嬢として。
「めんご、めんごじゃねーよ、あのクソ神めっ!」
怒りをあらわにしたところで、どうにもならない。
あらためて。
ここは乙女ゲーム「蒼い誓いと紅い秘密、その扉の向こうで」。
ヒロインは光の聖女で異世界からやってきたミレイア・ノクス。
攻略対象は皇太子と騎士と隣国の皇太子の3人だけというちょっと変わったゲームだ。
実は、私は皇太子ルートしかプレイしていない。
皇太子は、アルト・アズリオン。
そして、悪役令嬢のヴェロニカ・ルージュリス。
魔法技術が発達したルミナリス王国の学園に通い、勉強に恋にと頑張るゲームだ。
隣国はセレネイド王国。
歴史はあるものの、魔法技術は発達していない。
隣国の王子は魔法技術を学ぶためにルミナリス王国に来ている、という設定だった。
私は、ヴェロニカ・ルージュリス。
炎の魔法を得意とする。
皇太子の婚約者という設定だった。
でも、水魔法を得意とする皇太子とは、敵対するために生まれてきたような役柄だ。
ゲームの内容を知っている私は、頑張った。
皇太子とはできるかぎり距離をとった。
ヒロインと仲良くなろうとした。
イジメないようにした。
できるだけ、この2人と距離をとって学園生活を送ったのだ。
ただ、このヒロインというのが曲者だった。
ゲームの中では「性格のいい、可憐な女性」として描かれていたはずなのに。
別の意味で、性格がイイ。
周りに敵を作るタイプで、多くの女生徒から嫌われていた。
で、イジメられる。
私がイジメたわけじゃないのに、なぜか、私がイジメたことになってしまっていた。
物語の強制力か…
無駄な努力をして3年。
明日は、いよいよ、断罪イベントが行われる卒業式である。
私なりに頑張ったけど、破滅エンドからは逃れられないようだ。
これが、修道院へ送られるとかなら、まだいい。
なんと、処刑…ギロチン台へ一直線という、まさかな展開なのである。
いやいや。
あまりにもひどくないですか?
私、本当に何もしてないのに…
それに…どちらにしても、この国で私に未来はない。
そんなわけで、逃げることにした。
ゲームは卒業式、つまり、悪役令嬢が断罪されると終了する。
その後はエンドロールで、悪役令嬢が処刑されて、ヒロインと皇太子が結婚しましたとさ、めでたしめでたし、というような文章が流れるだけ。
だから、明日1日、逃げきれればいいんじゃないかと思ったのだ。
ともかく、逃げよう。




