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わっちの彼ピは、最強ヴィラン  作者: 弥馬田 ぎゃん


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天上の民編

出所後の天条 誠人は、自ら、芸能活動を自粛した。

が、一方でラノベ作家としての執筆活動は、継続した。

天条のライトノベルは、一作、発売するごとに、発売日中に2500万部を突破した。

天条に生き返らせてもらった2500万人以上の人々が買い求めたからである。

天条は、そうやって得た莫大な印税のほとんどを地元・大阪でのこども食堂の経営に費やした。こども食堂を利用する貧困世帯の親への職業案内、仕事の斡旋。こども食堂を利用する子供達に年三回の高級フレンチを体験する食事会。奨学金の設立。ホームレスへの炊き出し、弁当配布。フードバンク経営。

年収のほとんどをボランティア活動や慈善活動に費やす彼をあからさまに大量殺戮犯の偽善者と毛嫌いする者もいたが、彼は、それに物怖じせず、堂々としていた。

「元々、金持ちになったら、こういう活動をしてみたいとずっと思ってたからね。海外では、慈善活動せな、本物のセレブとは、認めてもらえんし、人助けって余裕がないとできんことやから。金持って、溜め続けて、金銭的に豊になるんと、金使って、人助けて、心が豊になるんと、どっちがええんかっちゅう話やね」

とメディアに話す天条 誠人の活動をボランティア活動員として、支えたのも、天条に生き返らせてもらった2500万人以上の人々だった。

無償で天条に尽くし続けるその人々のことを他の日本国民の多くが、不気味がって、「天上の民」と呼んだ。

集団で天条に催眠にかかってるのは、あきらかだったが、宗教法人化するわけでもなく、反社会的活動をするわけでもなく、やっていることと言えば、慈善活動なので、国は何の対応もしなかった。

何より生き返った彼ら彼女らの家族が彼ら彼女らの味方についていたし、天上の民に救われた貧困世帯の人々が味方についていたので、選挙を見越して、どの党の政治家も敵対的に手を伸ばすことは、できなかった。

それどころか、関西が地盤の最大野党の日本自由革新党は、天条 誠人に我が党から立候補してほしいと打診した。

これに対し、天条は、

「政治家になったら、人生のほとんどの時間、食われて、好きなことできんよーなりますから、えーですわ。つまらん裏金、知らん間に掴まされて、こき下ろされんのが、どうせ、オチですから。阿保らしい」

と言って、断った。

が、その一年後、天条 誠人は、自ら「ジャパニーズユニオン党」という新党を作って、選挙戦に出る。

日本国民のうち2500万人以上の選挙民が味方についているのだ。落ちようがないし、負けようがない。

その選挙のあった年のうちにジャパニーズユニオン党は、日本自由革新党にかわって、最大野党となる。

そして、五年後、ジャパニーズユニオン党は、与党日本自由共和党と連立を組み、総理大臣指名で天条 誠人が選出される。

「これで本当に良かったんでしょうか?」

と総理大臣に指名された天条を見ながら、ぼやく竹之内豊之助議員。

その隣で天条に向かって、他の与党議員と共に拍手している羽瀬川金之助議員は、

「これで良かったんだ。我々は、有能な独裁者と核爆弾を超える強力な武器を同時に、一番、平和的な手段で手に入れたのだ」

と言う。



これに憤慨したのが、アメリカのジョージ・ラスベガス大統領である。

「日本は、いったい、どうなってるんだ!!日本人は、正気なのか!?よりにもよって、大量殺戮犯の催眠術師を国のリーダーに選出するなんて!!エージェントチャールズ!何か手を打て!」

大統領の前に一人、立っている老齢の男性は、頭の毛量が薄かったが、身長が2メートル近くあり、若々しい締まった肉体をしていた。黒の汚れ一つないスーツを着ており、まさにエージェントと呼ばれるにふさわしい見た目をしていた。

「手を打つとは?」

「決まってるだろう!天条の奴を始末するんだ!三ヶ月後のG20までに奴を始末しないと、世界中の国のリーダーが日本みたいに奴の操り人形にされてしまうぞ!」

ジョージ・ラスベガス大統領は、赤鬼のように顔を真っ赤にして、細かい唾を周りに飛ばしながら、エージェントチャールズに怒鳴りつけた。

「アメリカ大統領に日本の総理大臣を殺害する権限は、ないはずですが?」

チャールズに言われ、ジョージ・ラスベガスは、

「あぁん!?」

と眉尻を上げる。

「何を言っている!?アメリカは、世界の警察だ!世界を守る為なら、何をしてもいいんだ!本当なら、日本に核爆弾を落としてやりたいところだが、天条一人の命で済ましてやろうというのだ!寛大だろうが!」

「では、やり方は、どうなさいますか?ベーシックにスナイパーを使って、暗殺させますか?」

チャールズに訊かれ、ジョージ・ラスベガスは、少し笑みを漏らす。

「いや、ここは、アメリカ式でいこう。相手が超能力者なんだ。こちらも奴に負けない超能力者を世界中から集めて、チームを作り、圧倒的、力で叩き潰してやろう。すぐ候補者のリストを作れ。まさか、世界中に超能力者が奴一人なわけがあるまい。世界のアメリカの諜報部を使って、見つかりませんでしたじゃ済まないぞ、チャールズ」

「いえ、すでに候補者には、何人か心当たりが、ありますが」

「さすが、チャールズ」

「しかし、世界中のとなりますと、各国に協力をあおぐということで、よろしいでしょうか?」

「いや、ダメだ。極秘裏に行え。どこから、天条の奴に伝わるか、わからん」

「その条件ですと、おそらく、集められるのは、5人ほどになるでしょう」

「それで奴を仕留められるのか?」

ジョージ・ラスベガスは、疑り深い目でチャールズを見つめる。

「充分かと、存じます」

「おし、なら、それでいけ」

ジョージ・ラスベガスは、どっさとアメリカ大統領の椅子に腰を落ち着かせる。

「かしこまりました。すべて、このチャールズにお任せください」

こうして、アメリカ最高のエージェント、コードネームチャールズは、動き出す。


最強ヒーロー集結編 開幕

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