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ネイムレスの蝶系統動物効果  作者: 水色十色
世界史の塗り替え任務
25/25

《☆~ 蝶の守護省壊滅作戦 ~》

 富子の「足がだるいわ」や「疲れて、もうくたくた」などという愚痴を繰り返し聞かされ、三十分ばかりで目的の場所に辿り着いた。

 銀色の丸い容器キャプスルが置いてあり、津田大佐がそれを見ながら話す。


「きさまらが乗るミクロ宇宙船ネイムレス号だ」

っこ!」


 さすがに()()()という言葉がついているだけあって、片手で容易く持ち上げられるくらいだった。

 パンナコッタが怪訝そうな表情で話す。


「こんなのには、一人も乗れませんよ」

「問題ない。きさまらの身体を、この寸法に合わせる」

「え??」


 錬金術者のパンナコッタですら驚かされた。

 津田大佐が懐から銃のような道具を取り出し、まず三休さんに向ける。


「うわ、なにすんねん!」

「気にするな」

「いやいや、気にするって!」

「これは人をあやめるために使う銃ではない。人体の大きさを自在に変化させられる特別な道具だ。身に着けているものも一緒に小さくなる」


 津田大佐が銃についている赤いボタンを押すと、銃口から赤い光線が放たれ、それを浴びた三休さんが、見る見る小さくなってゆくのだった。


ч(チェー)т(テー)о(オー)


 小型の三休さんが叫んでいるけれど、声も小さいため分からない。

 他の者たちも光線を浴びせられた。

 ミクロ宇宙船ネイムレス号に乗り込み、宇宙の遥か遠くへ旅立つ。揺れも騒音もなく、快適だった。航行時間のほとんどは、歪み(ウォープ)の中を進むけれど、この高度な技術について四人は知る由もない。

 次の日、目的の惑星に到着できた。船渠せんきょに入港してきたミクロ宇宙船ネイムレス号に、蝶系統動物の技師が無線通信で呼び掛けてくる。


》合言葉を言え《

「?」


 パンナコッタが困惑した。どう答えてよいか分からず、黙っていると、相手はまた催促してくる。


》合言葉だ、まさか忘れたのか?《


 三休さんが咄嗟に応答する。


「はい。なにしろ九百年も昔に教わったもんやから、綺麗に忘れてもうた」

》ネイムレス、感じが変わったなあ《

「そうでっか? ずっと地球とかって辺鄙な土地におったからなあ」

》なるほど、仕方がないから中に入らせてやる《

「済んまへん」


 三休さんが頓智で乗り切った。

 しかしながら、四人が蝶の守護省に入るために宇宙船から出たところ、すぐ正体がばれてしまう。

 先ほど無線通信で話していた技師が怒り心頭に発する。


「お前ら地球人だな。ネイムレスに成り済ますとは小癪な!」

「あんさん、ジパング語うまいなあ?」

「違う! なに者かが勝手に翻訳して、お前らの鼓膜に送っているらしい。お前らの発する言葉も、私たちが分かる蝶系統動物バタフライ語に変換されるのだ」

「なかなかに興味深い技術ですねえ」

「パンナコッタはん、感心しとる場合やないで」


 三休さんの言う通り、異変を察知した蝶系統動物たちが大勢集結してくる。


「戦いの開始じゃ!」


 後土御門天皇が伝家の宝刀を抜いた。

 迫りくる敵をばっさばっさと斬り捨てる。富子も木刀で戦う。二人の強さで、最初は優勢だった。

 喜ぶのも束の間、数百の蝶系統動物に囲まれ、地球人たち猿系統動物にとっては有毒な神経ガスが撒かれ、四人は駆除される。

 あらゆる宇宙の隅々まで、全世界管理者の視聴覚と呼ぶに値する「量子波」が広がっており、この酷い状況を漏れなく観測できていた。


「室町カルテットの力が及ばなかったか。儚く命を散らした四人は、せめてどこかの全世界へ転生させてやるとしよう。彼らに再起を図らせ、蝶系統動物どもに一矢報いてやらねば、我らも立つ瀬がないというもの」


 全世界管理者は自らを納得させた上で、全世界の監視を続ける。

《ネイムレスの蝶系統動物効果》完結!

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