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80話 ハオチー

「「「いただきます」」」


ビリーさんが作ってくれたのは。味付けは塩胡椒のみのシンプルなステーキ、薄切り肉を茹でてそこにレモンを垂らしたアッサリ冷しゃぶ風の2種類。


ジョーさんは朝も食べてなかったのでガツガツと肉を掻き込んでいく。俺とトリーネもジューシーなステーキとアッサリ爽やかな冷しゃぶに舌鼓を打っていたのだが気付けば皿の上の料理が綺麗さっぱり消え去っていた。

3人で1kgもあれば十分だと思うのだが3人共まだ食べ足りず、特にジョーさんは足りなかったようで。


「ナギト、悪いんだが・・・」

「はい。ビリーさん申し訳ないんですけど、これでまた作って貰えませんか?」


と、アイテムボックスからボアファングの肉を取り出す。


「あれだけあってたりなかったの?」

「はい」

「「ブラッドさんが」」「ブラッドが」

「あぁ、なるほどね」

「すまん。見てたら旨そうでな。つい」

「つい。で、あんなに食わねぇだろ」

「ブラッドさんが1番食べてませんでした?」

「すまん・・・」

「すぐ作ってくるから待ってて」

「お願いします」



「ブラッドさんに話があるんです」

「いや、だから、すまんって」

「肉の話じゃないです」

「お、おう」

「これを見て下さい」


とアイテムボックスからボアファングの肉を5個取り出す。


「まだ、そんなにあるんならいいじゃねぇか」

「いや、じゃなくて。アイテムボックスの容量の話です」

「ほう」

「ナギト話しちゃうの?」

「うん。折角パーティを組むんだから、そこまで隠す事もないかな?って」

「そっか」

「俺のアイテムボックス。ちょっとしか容量無いって言ってましたけど、実はかなり大きくて」


更にボアファングの肉を10個取り出す。


「凄ぇな」

「これでも、まだまだ余裕があります」

「ほぉー」

「皆さんの荷物までは無理だと思いますけど、ダンジョンでドロップした物を預かるくらいは出来ると思います」

「なるほどな。ジョーの目に狂いは無かったって事か?」

「まだ分からんがな」


容量に制限は無いと思うんだけど、レベル99だし。流石にそこまで言う気にはなれない。


「お待たせ~。って、まだそんなに食べる気なの?」


と、テーブルに積まれたボアファングの肉の山を見てビリーさんが驚く。


「これはナギトのアイテムボックスに入ってたやつなんだ」

「へ~。そんなに容量あるんだ」

「しかも、まだ入るらしいぜ?」

「へ~。ポーター要らずね。冷めないうちにどうぞ」


「「「「いただきます」」」」

「お前もまだ食うのかよっ」

「見てるだけだと辛いじゃねぇか」


ブラッドさん、ダンジョンの時もこんなに食べるんだろうか。携帯食じゃいくらあっても足りない気がする。


「俺のアイテムボックス。そこそこ容量が大きいんですけど、この事はパーティ外には内緒でお願いします」

「さっきも言ったが俺は構わねぇ」

「パーティメンバーの個人情報をわざわざ言い触らすようならリーダーなんてやってねぇよ」

「私も別にかまわないわよ」

「だが、スティーブンのヤツはどうする?」

「それだなぁ」

「え?何か問題あるんですか?」

「あいつは口が軽い」

「あぁ・・・でも、メンバーなんで言わない訳には・・・」

「いや、言わなくていいんじゃねぇか?」

「え?」

「わざわざ言わなくて良いわよ」

「マジか・・・」

「聞かれたら、その時に教えればいい」

「分かりました」


このパーティにおけるスティーブンさんの立ち位置がほんのりと見えてきた。



「いい事思いついたわっ!」

「いきなりどうしたの?トリーネ」

「ちょっと出てくるわねっ!すぐ戻るからっ!」

「え、うん。いってらっしゃい」

「どうしたんだ?ありゃ」

「うーん。あのテンションの上がり方は、最近のパターンだとオセロっぽい気がするんですけど」

「オセロ?なんだそれ?」

「盤上ゲームですかね?」

「ふ~ん。それにトリーネは最近ご執心な訳か」

「そうですね」


5分程でトリーネは戻ってきたのだが、行きと帰りでテンションが違いすぎた。


「どうしたの?トリーネ」

「工房に行ってオセロをもう1個貰えないかお願いしてきたんだけど」

「うん」

「商業ギルドに確認を取ってからじゃないとダメだって」

「あぁ・・・」

「それと、商業ギルドが販売する前に関係者に言うのも控えた方がいいって怒られたの」

「まぁ、もうじき販売も始まるだろうし。そしたら、ここでも出来るよ」

「うん・・・」

「そんなに面白いのならどんなのか聞きたかったけど、聞くのもダメみたいね」

「そうですね。すいません」

「関係者以外って、お前らも関係者なのか?」

「俺が考えたというか。アイディアを出して、それを商業ギルドが今度販売するみたいなんですよ」

「へ~。容量の大きいアイテムボックスに鑑定もあって、そんなのを思いつくとか。冒険者よりも商人の方が向いてるんじゃないの?」

「たまに言われます・・・」

「本人がやりたいっつってんだから水差すんじゃねぇよ」

「その発想力なり知識を私達のパーティで発揮してくれればいいのよ」

「頑張ります」




たぶん、トリーネを窘めたのはフィリップさんだろう、親方はそうゆうのを気にしなさそうだし。

ここを出て行った時と同様に満面の笑みで工房に入り、フィリップさんに窘められみるみるうちに笑顔を失っていくトリーネ。

絵が思い浮かぶ。そして、それをちょっと見てみたかった気もする。



お読み頂きありがとうございます。


サブタイトルは80話だからです( ´ー`)

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