105話 相談
「それじゃあ、ここに出しとくれ」
「はい」
最初にジョーさんとトリーネと3人で行った時からの分が溜まりに溜まっている。いや、貯まっている。か?
多いので買い取って貰えるなら蜂蜜や肉など食料品以外は出してみよう。
輝く石に勾玉にラーウルフの牙に毛皮、溶解液にアグリーキャットの毛皮にモスビーの繭など、その他多数を出していく。
「あぁ、そうか。ナギトのアイテムボックスがあるからドロップを片っ端から拾ってきたんだね」
「はい」
「これだけの数になると今日中には査定は無理だね。急ぎなら明日の昼ぐらいまでには終わらせるけどどうする?」
「ブラッドさんどうします?」
「いやぁ、まさかこれだけの量が入ってるとは思わなかったな」
「いや、じゃなくて。今日中に査定は無理らしいですけどどうします?」
「あぁ、別にそこまで急いでないから2-3日中に終わるならそれでいい」
「あいよ。査定が済んだら知らせに行った方がいいかい?」
「いや、また顔を出すからその時に言ってくれ」
「うん、助かるよ。それじゃあダンジョンお疲れさん。次に潜るまで英気を養いな」
「あぁ」
「はい、査定よろしくお願いします」
次は受付カウンターへ向かい。
「シフさんこんばんは」
「サカグチ様。ユーダリルはいかがでしたか?」
「はい、大きな問題も無く安全に狩れましたし。ドロップも大量でした」
「そうですか。怪我をせずに無事に帰って来る事が冒険者にとって1番大事な事ですからね」
「はい」
「それで、ご用件の方は」
「あ、ギルドカードの更新?パーティに加入したんでそれの更新を俺とトリーネの分お願いしたいんですけど」
「はい、承りました。ギルドカードの提出をお願いいたします」
「「はい」」
「それでは更新をしてまいりますのでしばらくお待ち下さい」
「はい、お願いします」
「お待たせ致しました。こちらが更新されたギルドカードになります」
「はい、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「今回でサカグチ様はギルドランクDに昇格致しました」
「おぉ、意外と早かったですね」
「そうですね。以前、買取させて頂きました宝石類による貢献度が高かったのが大きいでしょうか」
「なるほど」
「ギルドカード受け取ったなら帰るぞ」
「はい。シフさんありがとうございました」
冒険者ギルドを後にし、ロックスのホームへと帰ってきた。
「帰ったぞー」
「ただいま帰りましたー」
「ただいま~」
「おかえり~。ナギト君、食材出して~」
「あ、はい」
「えー、今から作るのー?」
「そうだけど?」
「アイテムボックスの中にもう出来てるやつあるんじゃないの?それで良くない?」
「俺、今から作ってくれたやつ食べたいです」
「俺もだな」
「私も」
「やっぱりそうよね。それじゃあ作るからもう少し待っててね」
「えー・・・」
ビリーさんが食材を抱えてスキップ1歩手前といった感じでキッチンに消えていった。
「スティーブン。今のビリーはジョーに色々してやりたい気分だろうから察してやれ」
「あー、そーゆー事かー」
「ちょっとお前らに相談があるんだがいいか?」
「これから結婚するってヤツがそんな辛気臭い顔してどうした?」
「うるせぇ。いや、結婚に当って何かビリーに贈った方がいいか?」
「どうなんだろうな。貴族なら何か決まりがあったりするんだろうが・・・」
「ナギトの居た国だと何かなかったの?」
「あー、俺の居た所だと指輪を贈る習慣がありましたね」
「ほう。それはどんな感じでだ?」
「俺もそんなに詳しくはないですけど、婚約指輪と結婚指輪があったと思います」
「「「???」」」
「どう違うんだ?」
「婚約、プロポーズをした時に月収の3ヶ月分ぐらいの豪華な指輪を贈って」
「お、おう・・・」
「結婚指輪は同じデザインの指輪を夫婦で薬指にするんですけど、こっちは日常的に着ける物なんで値段は安かったと思います」
「ほう」
「あー、あと。結婚指輪は内側に相手の名前を彫ってたりとか」
「ふむ」
「ナギト君ってやっぱり貴族の出だったりするの?」
「いやいやいや違いますよ」
「俺らの知らない事ばっかり知ってるからな」
「風習とか文化が違う所で育っただけですよ」
「ふむ、まぁそうゆう事もあるか」
「3ヶ月分かぁ・・・蓄えが無い訳じゃねぇが指輪にってなると。な・・・」
「もし旦那さんの身に何かあった時、それを売って生活費にしてくれって意味もあったと思います」
「あぁ、なるほどな。冒険者なんていつ何があってもおかしくないからな」
「意外と夢の無い理由だったのね」
「うーん。もし良かったらですけど」
「うん?」
「これを加工して指輪にしてみたらどうです?」
アイテムボックスから入れっぱなしになっていた柘榴石を出してみた。
透き通った赤色で、価値は分からないけどアクセサリーにすれば映えそうな感じで良いんじゃないかと思って。
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