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暇人、魔王の姿で異世界へ 番外編  作者: 藍敦
後日談

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35/59

書籍版二巻特典SS2

(´・ω・`)リュエさん視点です

『◯◯◯が侵入しました』




 こう見えても私は、行動力がある人間だと自負している。

 なにか新しい事を学べばすぐにそれを実践しようと動き、慎重かつ大胆に物事を運ぶ。

 もちろん、結果だってしっかり残す。

『夜部屋に遊びに行く』というカイくんと仲良くなるための新しい方法。

 首都に向かう途中に立ち寄ったこの村で、久々にカイくんと別の部屋を取った私は、早速隣の彼の部屋へと向かうのだった。

 ふふ、オインクさまさまだね?

 扉を軽くノックする。さて、まずはどう声をかけようか?

 シンプルに『遊びに来たよ』でもいいけど、オインクみたいに『リュエリュエきたわよー』というのはどうかな?

 第一声をどうしようか考えているそんな時に、ふと気がつく。ノックをしたにも拘わらず、まだ返事がない事に。

 もう一度強めにノックをしてみても、一向に返事がなく、少しだけマナー違反ではあるけれど、ドアノブに手をかけてみる。

「あれ? 鍵が閉まってる」

 おかしいな、さっき部屋に入ったばかりなのに……。

 これじゃあ私の計画がパーになってしまうじゃないか。

 折角トランプやボードゲームをアイテムパックに詰め込んできたというのに。

 ここで諦めるのは私のプライドが許さない。有言実行のリュエさんはこの程度で計画を頓挫させたりはしないのだ。


「店主さん、連れが部屋に入ったきり出てこないんだ。様子を見たいから合鍵を貸してくれないかい?」

「ん? さっきのお客さんじゃないか。ただ寝てるだけなんじゃないか?」

「それでも心配だから貸して欲しいんだ。最悪、扉を破ってでも確認するつもりだよ」

 少しだけ脅すようにして店主さんから合鍵を借りた私は、足取り軽く彼の部屋へと向かう。

 なんでだろう、入れない場所に入るのってワクワクしてしまうね?

 念のため、もう一度扉をノックしてみても、やっぱり返事はない。

 仕方ないよね、じゃあ解錠解錠、開けさせてもらいまーす。

 カチャリとロックが外れる感触を感じながら、ゆっくりと扉を開くのだった。

 部屋に入ると、小さな寝息が聞こえてきた。

 ベッドの上には、毛布をかけず身体の下に敷いて眠っているカイくんの姿。

 ……着替えもしていないし、よほど疲れていたのかな?

「……さすがに起こすのは悪いよね」

 そっと、足音を殺して近づく。

 仰向けの彼の身体の両脇から、長い髪が横に広がっていた。

 私と同じくらい長い髪を持つ彼。

 私はそっとそれに触れ、さらさらと指の間で感触を楽しむ。

「可愛いなぁ……大人しくしてると、すごく可愛いのになぁ」

 起きているときは、私の前を歩き先導してくれるしっかり者。

 いつも私をからかい、まるで面白いものでも見るような眼差しを向ける人。

 色んな表情を持つ、少し難しい、けれども私が大好きな人。

 ……仲良くなるため。そう思ってこの部屋に来た。

 けれども、そんな目的でここに来る必要なんてなかったのかもしれない。

 私は、カイくんと遊びたいから遊び、一緒にいたいから一緒にいるんだ。

 ふふ、なんだか意気込んでいたのがちょっと馬鹿みたいかもしれないね?

 ただ、一緒にいるだけでいい。それだけで満たされている今の関係が、私には丁度いいのかもしれないね。

 今は、まだ――

「……んん」

「ふふ。少し寒そうだけど、毛布は下になっちゃってるし、どうしたものかな」

 その時、彼が少しだけ寒そうに体を震わせ身体を丸めた。

 すると、少しだけ彼の服がめくれ、お腹が見えてしまった。

 ……どれどれ、ちょっとお姉さんがお腹なーいないしてあげようか。

 私はめくれ上がった服に手をかけ、ゆっくりと――さらにめくり上げる。

 そこに現れたのは、綺麗に割れたお腹の筋肉。

「いち、にい、さん……六つに分かれているね」

 指でトントントンと数えると、くすぐったかったのかさらに彼が身じろぎする。

 おっといけない、早くお腹を隠してあげないと。

 季節はまだ冬、このままなにもかけずに寝たら身体を悪くしてしまうかもしれないね。

 ……しょうがないなぁ、じゃあここは――

「“ウォーム”」

 私は、自分も寒がりだった事もあって生み出した、防寒用の魔術を彼に施す。

 すると、少しだけ身体に入った力が抜けたようで、心なしか表情もやわらかなものになっていた。

「ふふ……もう少しこうしていようかな」

 床に座り、私はベッドに頬杖をつき彼の寝顔を眺める。

 自分の顔のすぐ側にあるカイくんの寝顔に、少しだけ胸が高鳴る。

 ふふ、今どんな夢を見ているのかな? それともなにも見ていないのかな?

 私も、彼の顔を見つめながら思いを巡らせる。

 まるで夢のように、まるで白昼夢のように。

「おやすみ、カイくん」

 次第に私の瞼も重くなり、最後に見た光景――彼の寝顔を目に焼き付けながら、ゆっくりと彼と同じ世界へと旅立っていくのだった。

(´・ω・`)もしもここでケダモノのようにカイヴォンを襲っていたら……

((´・ω・`))

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