河馬は庇う、猿は去る
河馬は庇う、猿は去る
池山の特技の前に勇司と久信はなかなか手出しは出来ず、手に持つライターと特殊警棒を握り締める事しか出来ていなかった。
「気付いたんだが本物より、多少デフォルメされてるよな。道理で可愛いわけだ。」
「副業でイラストレーターをしているらしいですが、動物関連ばかり書いているみたいですよ。」
えっちらほっちら逃げていく池山を追おうとするが、その後ろに日本猿の大群が現れギョッとする二人の足はまたも止まる。鳴き声をうるさく上げながら走り寄るサル達の群れは、二人を素通りしてどこかに立ち去っていく。
構えた二人は呆然としながらサル達の背中を見つめていた。
「今のは私にも分かりました、ですが言いたくはありませんね。」
「猿が去るか・・・。言うと恥ずかしいな。」
いい加減に少し苛立ちを隠せなくなってきた二人は、少し強硬手段を取るべく走り出していた。
「とにかく止めます。少し気は止めますが、意識を奪わないと捕まえるのは無理のようです。」
「だな。悪気はありそうだけど、悪意はなさそうだし負傷者が出る前に止めたほうがいいな。」
勇司は走りながら煙草入れから白い煙草を取り出し、火をつける。
【白煙】
吐き出した白い煙は勇司の誘導により、前をドタドタ走る池山の顔周辺に集まり視界を白く染め上げる。一気に勇司は距離を詰め確保しようと掴みかかるが、池山による妨害が入った。
【河馬が庇う】
間に突然現れ大口を広げるカバを相手に、勇司は一応組み合ってみるが見た目通りのパワーにあっさり弾き飛ばされる。その間にも久信が違う方向からテーザーガンで電極を飛ばすが、それも池山の次の特技で塞がれていた。
【熊が匿う】
クマが身を呈して池山を抱きかかえ、分厚い毛皮の背中で電極を受ける。流れる電圧を受けてもクマは怯むことなく、池山を持ち上げると抱えたまま走り出していた。
カバに白煙を吐き掛け視界を奪うと、勇司はカバの脇をすり抜け二人の追跡が始まる。
「抱かれてるのがおっさんじゃなけりゃかなりメルヘンな光景だな。」
「あれはグリズリーですね。二足歩行は向いてないと思いますが。」
やはりスピードが出ていない中年男性を一人抱き走り続けるグリズリー相手に、追いつこうと思えば追いつけるものの無策では厳しいと二人は策を練りつつ追いかけっこを続けるのであった。
この内容で良かったのか?まあ、閑話ということでお許し下さい。
我ながら非常に巫山戯たお話しですね。




