絵心
絵心
病院から出てくる久信を出迎えたのは、シャワーを浴びすっきりしている勇司と少し暇を持て余し、ぬいぐるみと戯れて情報室から抜け出してきた雪であった。
「久信くーん、大丈夫?あと最近あられちゃんが冷たいんだけど何か知らない?」
「大丈夫ですよ、ご心配おかけしました。ちなみに霰さんが冷たいのはあられちゃんミュージアムと記念館、そして資料館の建築がバレたのが原因ですね。」
「まっ、まずいよそれっ。せっかく一ヶ月分の予算それに全部使ったのに。」
二人の他愛のない会和を聞きながら勇司は少しの疎外感と寂しさを味わっていた。
(あんまりカップルらしくないけど羨ましいなこれ。それにしてもミュージアムに記念館、資料館ってあられ二千本安打か六場所全勝優勝でもしたのかね?そりゃあ多少怒るか。)
勇司の存在感は希薄なことこの上なしに、二人の会話は続いていく。
「でもね、頑張って頼んで表面上は普通の石油備蓄タンク基地とかに偽造したんだよ。どうしてバレたんだろ?」
「やはり完成の際にCMを打ったのが原因ではないでしょうか、フォローは考えておきますので。頼んでいた物は?」
「もってきたよー、はいこれっ。」
「ありがとうございます。」
久信は受け取ったロングコートに袖を通し、首元までしっかり前を閉じると少し微笑みを見せる。
「では行ってきます。」
「いってらっしゃーい、あられちゃんのことよろしくねー。」
満面の笑みで手をブンブン振る雪に見送られ、久信と勇司は車に乗り込むと移動を開始する。
少しカップルの会話を聞かされ続け、空気を演じていた勇司がようやく口を開いた。
「なかなか仲のよろしい事で。妬いてるわけではないぞ、俺にはあのファンタジー感を受け止める器量はない。だけど、なんかいいよな。」
「ファンタジー感ですか・・・、言い得て妙ですね。人間慣れると不思議なもので、全てが日常に溶け込むのに時間は掛かりませんよ。」
久信の言葉に半分ほど納得した表情でハンドルを握る勇司は、行き先をどこに向けていいのか悩んでいると久信がナビを操作し行き先を提示する。
「ここに行きゃいいのか?よく容疑者の居場所分かったな。」
「居場所ではなく住所ですからいるかどうかは分かりませんが、とりあえず行ってみましょう。」
「了解っと。それにしてもどうやって身元判明させたんだ?」
すると久信がノートとペンを取り出し、特技を使うとペンを猛烈な勢いで走らせる。
【思金神の眼鏡・最適化】
するとノートには写真と見紛う程の、勇司が自分の原付きに頬擦りをして恍惚の表情を浮かべる様子が描かれていた。
「私自身に絵心はないですが、特技を使えば一度見た物はこうして再現は可能です。先程の容疑者の顔を描き特局に送ってようやく正体が掴めました。」
「もう少しいい構図選べよ。その姿見られた時は、さすがに少々恥ずかしかったんだぞ。」
「勇司さんにも恥じらいはあるんですね。一つ知識が増えました。」
「昔から人一倍あるわっ!」
二人がくだらない会和を繰り広げている間にも車は順調に進み、目的地であるアパートに到着するのであった。
とりあえず久信にも活躍の場をと考えてこの事件を書き始めましたが、これ活躍できるのか?イマイチ思い付かずに書き連ねていきます。




