狂犬
狂犬
勢い良く飛んできた飛び蹴りを躱し、着地した途端に再びその場から飛んで勇司に襲い掛かる。
放たれる拳を勇司はガードするが、華奢にも見えるその肉体からは想像も出来ない程ガードしている腕の骨まで衝撃が届く。
まだ高校生であろう男への攻撃を躊躇っていると、綺麗ではないが早い蹴りが勇司の腹に真正面から打ち込まれる。
身体を捻りなんとか前蹴りを避けるが、体を浮かせ逆の足が勇司の側頭部を刈り取るように勢い良く振りぬかれていた。
ガードする事も出来ずにまともに蹴りを貰うが、意地を見せるとふらつくだけで根性のみで耐えていた。
「ナイスな蹴りだ。今まで食らった中で185番目くらいにいい蹴りだな。」
「チッ、誰だよお前?女子高生の尻を追いかける変態のくせに根性みせやがって。」
「怒るぞこんにゃろ。誰が変態だ?教育的指導が必要みたいだな。」
「やれるもんならやってみろよっ、この変態野郎がっ!」
上着の中に手を入れ、中から木刀を取り出すと走り出していく。明らかに上着の長さより長い木刀を握り、飛び上がると一気に振り下ろすが、その攻撃は勇司の手に出現した銀色に輝く喧嘩煙管によって受け止められる。
両腕で握り力強く振り回される木刀を、勇司は喧嘩煙管を片手で時折もてあそびながら、攻撃を捌き続け目の前の男を観察していた。
(これはなかなか単純に強いな。少し長く伸びた犬歯に、強靭な肉体。猫?いやっ、どっちかというと犬だな、野良犬っぽい。)
「くらえっ、このボケッ!」
木刀を横から勢い良く振り、その勢いのまま同じ軌道を蹴りが通り過ぎていく。下がりながら攻撃を避ける勇司は、少しずつテンションが上がってきていた。
「くらうか、こんガキがっ!」
喧嘩煙管で乱雑に振られる木刀の軌道を変えると勇司はローキックを放つが、男は跳躍して躱すと真上から木刀を振り下ろす。
喧嘩煙管を削られるように上からの打ち込みを受け流すと、二人は一旦距離を取っていた。
「やるじゃねえか、変態の割には。」
「お前さんもワンワンの癖にやるじゃないの。」
男が木刀を捨てると勇司も手から煙管を消し笑顔を見合わせる展開を、少し離れた場所に到着した久信が、少し首を傾げながら眺める。
「あのお二方は何をしているのでしょう?少々気持ち悪いですし、高校生と張り合っていますね。もしかしてそちらの趣味の方でしょうか?」
冷静な眼差しで見つめられている事に気付くこともなく、なぜか無闇にテンションの高い二人は無手のままぶつかり合っていくのであった。
なんとなく書けたので投稿です。こんな感じでペースアップしていきたい。ネタが思いつけばですが。




