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特技の使い方 〜吸えない煙草〜  作者: cozy
吸えない煙草 第四章 0班
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一挙両得

一挙両得


壁を背に立つ久信は冷淡な表情で構え、トレーニングウェアの男を真っ直ぐに見つめていた。そしてその視線は合わせてしまう事が躊躇われる程の全てを見透かすような、強い視線であった。


男は被っていたフードをより一層深く被り、大きく息を吸い込むと目の前から感じる圧力に負けずに前に出た。踏み込むと同時にジャブを繰り出し、避けられると同時に特技を使う。


【巻き戻し】


前に出ていた拳が一瞬のうちに放たれる前の状態に戻ると、後出しジャンケンのように避けた姿勢の久信に打ち込んでいく。

しかしその拳も久信は少し態勢を崩しながらも、強引に身体を捻って躱していた。偶然を疑いさらに男は特技を使い、続けざまに拳を

放つが久信は壁の前から動かずその全てを捌ききる。


「おっ、お前なんでだ?」


「なんでと言われましても困りますね。時間もないので終わりにしましょう。」


自らの特技にフェイントを織り交ぜ、高速のコンビネーションで拳を放つとその内から顔面への一発を選び、久信が拳を貰いながらトレーニングウェアの肩口を掴んだ。


そのまま引き寄せ、腕を掴み肘を極めると後方の壁に叩きつける。


「壁が目の前にあると、心理的なブレーキが働きます。攻撃の速度がかなり落ちましたね。」


後頭部に肘を叩き込み、壁と挟むように打撃を加えるとそのままトレーニングウェアの男は崩れ落ちて行くのであった。


上を向き痛みと熱を感じる頬に大粒の

雨を受け、少し傷を冷やすと何か話し込む勇司とレインコート姿の男の元へ向かう。すると二人の間で話し合いは終わり、勇司がレインコートの男の前に立つ。


「戦う意志はないってよ。暴力沙汰は苦手らしいし、自首するってさ。じゃあ行こうか。」


「いいえ、そうゆう訳にはいきません。」


久信は歩き、座り込むレインコートの男の小さな肩に手を置くとより一層雨は強くなるが、気にせず優しい口調で喋りだす。


「あなたの特技はとても有用な物です。よかったら私達の組織でその特技を活かしてみませんか?」


「えっ?」


小柄なレインコートの男は予想外の言葉に思わず顔を上げ、久信を見つめる。


「特局ではないですが、関連会社のようなものです。あなたさえ良ければ明日にでも契約出来ます、お困りであれば契約金もこれぐらいは出しましょう。」


五本の指を立て、久信は笑みを浮かべ男と目を合わせた。


「だけどこんな事をしちゃったし・・・。」


「雨が降ってきただけですよ。被害といえば、煙草が一本くらいですし勇司さん、問題ないですね?」


話を振られた勇司は考えることもなく答えを出す。


「ああ、問題ないな。煙草が湿気ただけだよ。」


「そうゆう事です。では少し急いでますので、明日にでもこちらに連絡を。」


名刺を渡し、久信は手を貸してレインコートの男を立たせるとすぐに走り出していった。雨の中名刺を握りしめる男を残し、慌てて勇司も後に続く。


「あんな約束してよかったのか?」


「全く問題ないですよ。AFCで働いて貰いますので、それくらいの権限はあります。」


「相変わらず訳の分からない組織だな。そこまでの特技なのか?」


「あなたとは違いとても世の中の為になる特技です。戦う事にならず幸いでした。」


気付くと雨を上がり、二人はさらに歩みを早めていく。


「世の中の為にならない特技で悪かったな。それにしても指五本の契約金って幾らなんだ?もしや奮発して五百万とか?」


「いいえ、五億です。なんとか納得していただける金額でしょう。」


金額を聞いた途端、勇司の足が止まり置いてけぼりをくらうがすぐに猛ダッシュで追いついていく。


「マジか?いや、マジなんだな。いいなー、雨男。こうも特技で人生違うか。」


「環境保全に役立つ特技はあまり多くないですからね。それ以上の価値は確実にあると思います。」


一瞬で計算した自らの生涯賃金をあっさりと超えられ、勇司は悲しみを覚えながらもなんとか

走るペースを維持する。


「また変革記念日来ないかな?そしたらなんとかしてでも雨男になってみせよう。」


「頑張ってください。ですがあなたの次の特技はきっと【年下キラー】などでしょうが。」


「ロリコンちゃうわっ!」


二人は会話しながらも全速力に近いスピードで走り続け駐車場に戻ると、すぐにセダンに乗り込み空港への道を急ぎ走らせていくのであった。




あっさりと倒された巻き戻しな男ですが、もう少し頑張ってほしかった。だけど再登場はしないだろうなー。

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