携帯
携帯
勇司と久信は朝から二人で黒いセダンに乗り、転々と様々な場所を回っていた。廃工場から出てきた二人は車に取り付けられている情報端末を見詰めながら、次の場所への道を確認していく。
「どこにもいねえな。いったいどこにいるんだろうな?」
「簡単に見つかるようなら我々に出番はないですよ。しかし手がかりすら見つけられないとは確かに少々想定外ですね。」
二人が追う容疑者とは今〔現代の弁慶〕として様々なニュースに取り上げられている容疑者であり、二人は潜伏先を探っている最中であった。
「それにしてもこの犯人何が目的なんだ?そして携帯を奪うとはなかなかにたまったもんじゃないぞ。不便だな。」
「勇司さんは連絡取り合う人なんていないのですから気にしないで大丈夫ですよ。そしてそれが現代の弁慶の由来ですから、それをなくしたら只の強盗ですよ。すでに強盗致死の容疑者ではありますが。確認できているだけで、被害者の数はすでに五百はくだらないようですしね。」
「二人くらいはいるわっ!朝霰からメールきたぞ。球団のシーズンチケットのお誘いだったが・・・。それにしてもそれだけやっといて、よく今まで捕まらかったな。逆に凄いわ。」
「たしかにそうですね。ですが特局の20班が発見し取り逃すと携帯も奪われたようです。油断せずにいきますよ。」
二人は車に乗り込むと久信が運転し、勇司は助手席で資料を見つめていた。すでに容疑者の資料は揃っており、容疑者の写真を眺めている。
「なんかそんな感じには見えないけどな。まあ、そんなのはよくある話か。」
写真に写る男は華奢な体躯で資料によると、30歳と書いてあるがそれより大分若く見える。そして昴との血の滲むような特訓により、走行中の車内で資料を読んでいても酔いとは無縁の体を手に入れていた。
「私も一通り資料には目を通しましたが、潜伏先のヒントも少ないですね。これはもしや潜伏していないという事でしょうか?」
「どうゆう事だ?隠れてないって事か?」
ハンドルを握りながら、久信は考えをまとめて話し出す。
「この事件なんですが最初に発覚したのが
確かほぼ一ヶ月前。そこから分かっているだけでも被害は500件ともなると、それこそ寝る暇もないほどに犯行を重ねている事になります。」
「つうことは、予想だと隠れることなく犯行を続けているってわけか。そりゃあ元気な容疑者で。っても探すのは相当に大変だな。」
二人は容疑者の行動を予想し、最近通報があった近辺を中心に捜索するが空振りに終わり、さらなる被害者がでてしまうのであった。




