対戦車
対戦車
今にも飛び移ろうとしている昴に対し、思わず車酔いも忘れ勇司は叫ぶ。
「ちょい待ちーっ!なぜ最初にドライバーが車外にでるっ!」
「んっ?それもそうだな。よしっ、あたしは待っといてやるから行ってきなっ。いやっ、まだだっ!」
昴はあっさりと聞き入れると運転席へ戻りハンドルを握ると、白いバンの存在に気付いた戦車が車体を思い切り寄せてくる。
慌てることなくブレーキを掛け一気にバンのスピードを落とし、戦車の体当たりを避けると後ろに回りピタリと車体同士をくっつけていく。
「これで問題ないなっ、二人共行ってきな。」
すぐに久信は動き出しスライドドアを開くが、戦車に取り付けてある重機関銃が動き始め、白いバンは急ハンドルでその場から脱出する。
躱し損ねた数発の銃弾を受けると、フロントガラスは飛び散り車体は穴だらけになるが、昴は頭を下げることなく戦車を見詰めながら笑みを浮かべていた。
すでにバンの上へと登っていた久信は身を低くしてやり過ごし、勇司は後部座席で全身に銀色に輝く甲冑を纏い、狭い座席の下に体を滑り込ませている。
「セーフッ。座席に穴開いてらっしゃる。昴さーん、どうしましょ?」
「決まってるだろっ!あたしの運転してる車に喧嘩売ったらどうなるかを思い知らせてやるよっ、早く上に行きな。」
勇司が甲冑姿のままバンの上へ上がると、蛇行しながら機関銃の掃射を躱しつつスピードを上げ、少し空いた戦車との距離を一気に詰めていく。
そのままスピードを緩めることなく、再び戦車の後方に迫ると、上にいる二人には何の合図もなく白いバンはタイヤから白煙を上げる程の急ブレーキを掛けた。
屋根の上にいた二人は勢いに逆らう事はできず飛ばされ、戦車の上へと着地する。そのまま白いバンは重機関銃の弾を纏めて喰らい、炎をあげながら離れていった。
主砲の後ろに立つ勇司と久信は白いバンの最後を眺めていると、フロントガラスから飛び出して下から登ってきた昴が横に立つ。
「やっちまったなー、池中のおっちゃんにまた怒られるぞ。まあ、とりあえずこれ止めてから考えるか。」
三人は高速道路を走る戦車の上で、白いバンを失いどうやって戦車を止めるかと頭を捻るのであった。
もう少し文章量を増やしたかった。しかし多少お疲れ気味ということで勘弁していただきたいです。
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