感染源
感染源
久信は霰の横に立ち、思い付く情報を全て伝えてゆく。そして霰のパソコンを打つ手が止まった時には、霰の表情は驚きに染まっていたが久信は冷静に話し出す。
「これで決定ですね。容疑者といいますか今回の感染源が分かりました。名前は寺塚 見雪17歳、特技は【黄泉の友】です。一昨日、交通事故で死亡届が提出されていて、そして同じく一昨日家族から捜索願いも出されたようですが、それは当たり前ですが受理されていませんね。」
皆にパソコンの画面で顔写真を見せると、雄山が驚いた表情のまま画面に近付いてくる。
「この人はたしか警官襲ってた人っすよ。そしてたしか手錠かけたまま置いてきたはずっす。」
「我々が一番最初に見た、人を襲っていた人物がその寺塚です。一番最初に見たせいでその違いに気付く事が出来なかったのが悔やまれます、目の違いという大きな違いに。あの時寺塚だけは白く濁った目はしておらず、普通と変わらない目のまま警官に噛み付いていました。気付くまでに時間はかかりましたが、まだ遅くはないはずです。」
久信の言葉に元が頷く。そして次々と霰のおやつを貰って今は酢昆布とクッキーを同時に頬張りながら渋い表情をしている要を見た。
「んっ?なんでしょ?」
「要、ちょっとしばらく手伝ってもらうぞ。」
「いいっすよー。おやつの恩もあるしこれ解決しないと警察に財布が遺失物で届いてないか調べに行けないですし、サッサと片付けなきゃ警察閉まっちまいますよ。」
要は残っていた酢昆布とクッキーを一気に口に放り込み、新しいペットボトルを空け水で流し込んだ。
「さて、ここからは時間との勝負だな。勇司、久信、要に掴まって空からなんとかしてその寺塚を探し出せ、一緒に飛ぶとなると二人が限界だろうしな。メンバー的に捜索となると悪くないメンバーだ。しかし、噛まれたらアウトとなるとすこし防御面で多少心配ではあるな。」
元は少し考えると、手をポンッと叩き何かを閃く。そして拓実を呼ぶと耳元で何かを囁くと、拓実はやる気満々に頷いた。
「久信先輩っ、ちょっとこっちに来てください。」
少し嫌な予感がするが久信は大人しく拓実の前に立つと、全身が粘土に包まれていく。
そこには二足歩行の粘土で出来た犬の口から顔を出す久信の姿がある。ご丁寧にもその犬はロングコートを着ており、全身粘土のおかげで普段より三回りほど体格がよくなっていた。
しかし勇司の予想とは異なり久信は全身を姿見にうつし、少し上機嫌そうである。
「拓実さん、これはもしかしてモデルは私が以前飼っていたシベリアンのラリですか?」
「はいっ!前写真見せてもらったんで参考にしてみました。」
「それはそれは、ありがとうございます。何かラリと一緒となると不思議な気持ちになりますね。」
「とっても久信先輩似合ってますっ。今度はカメのコウちゃんも造りますね。」
そして特局の窓が開き、茶色の羽を広げた要が片足ずつに甲冑とロングコートの犬をぶら下げ、飛び立つのであった。




