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ボルカノ物語  作者: winger86
第2章 繋がりの地 プレール地方
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第32話 工業の町――デントロン

少し道なりを歩いていると、左側に湖が現れた。この湖はエミリー湖と言い、この前のウォンタリー湖と同じくらいの面積の湖だ。ウォンタリー湖とはトゥーロンのほうで川でつながっている。


「よし、今はだれも見ていないからヴァルキーが泳いで移動できそうだね」

「よし!来たまた我の口の中に入ってもらうがいいか?」

「前回のあれで結構慣れたから平気だよ、じゃあさっそくデントロンまで向かおう!」

「はいなのだ!」


通り道から少し離れたところで変身し、口の中に入ってエミリー湖の中を移動した。もちろん、口に入っている間はしゃべることができないので割と暇になる。というわけで、龍の状態での歯の本数を数えて暇をつぶした。そして1時間もしないうちに、口が開き、デントロンにたどり着いた。


「ここまでありがとう、ヴァルキーおかげで楽だったよ」

「これくらいお安い御用なのだ!で、これからどこに行くのだ?」

「今日の高速移動もあって結構時間に余裕があるから、前に言ってた薬草採取クエストでもやるか~」

「前言ってたやつか?どんな感じなのか楽しみなのだ~」

「とはいってもこの間のバトルみたいな感じではなくて結構地味だけどね」

「それでもいいのだ、今はなるべくリオと一緒にいたいのだ」

「いいよ、じゃ行こう」


こうして、デントロンのギルドに向かった。


「こんにちは、本日はどのようなご用件で?」

「何か薬草採取クエストはありますか?」

「今なら、トリリー草とヤンマボウのクエストがありますね、どうします?」

「じゃあトリリー草のクエストをやります」

「分かりました、では冒険者証をご提示ください」

「はい、これです」


いつも通りのクエスト受注風景が流れる。


「確認できました。こちらが依頼書になります。それでは気を付けてください」


こうしていつも通り受注を終えたときだった、クエストの依頼書が貼られている掲示板にひときわ目立つものがあった。


”難易度:最高 報酬:1000ゴールド 内容:トムゾル(イレギュラー個体)の討伐”


昨日討伐したあのトムゾルである。まさかクエストが存在するとは思いもしなかった。今僕はその肉片の一部を持っている。昨日食べるように調理したものの一部を保存食として持っているのだ。しかし、これを見せたところで信用してもらえないだろう。それに、ヴァルキーに機能のことを思い出させるのは酷だ。だから、今回はそのクエストを無視し、薬草採取に向かった。


「今回はどんなことをするのだ?ちょっと小耳に挟んだ限りではトリリー草?とかを取るって聞いたのだ。」

「そうそう、デントロンの北の方にある湿地に生えている草なんだけど、これを2kgほど採取するんだって、それが今回の依頼の内容、これをこなしてギルドに持って帰ると報酬が手に入るってわけ、感嘆でしょ?」

「確かに、我でもできそうなのだ~」

「おそらく、冒険者証を作るときに偽名をやるととんでもないペナルティーがかかるから多分無理だね。少なくともトゥーロンでは有名だし。すぐにゴルドナ中に名前が広がると思うよ」

「ぶーケチ、我も一緒に冒険者やりたいのだ!」

「実は冒険者には別の仕組みがあって、上限2匹まで動物なり、モンスターなりを連れていくことができるんだ。中には人間に友好的なモンスターもいるしそれを連れて冒険するって人も少なくないよ。で、実は前にトゥーロンでそれでヴァルキーを登録してるんだ。水龍として、さすがに嘘は書けないよ」

「ということは我も冒険者の仲間ってことなのか!?」

「そう!僕の同伴者として一緒に冒険できるってこと!」

「なら、先にそう言って欲しいのだ~心配したのだ。もしかしたらリオと冒険できないかもって思ったのだ」

「あれ?前々から”パートナー”って言ってなかったっけ?」

「それそういう意味だったのか?分かりずらいのだ!これからはちゃんと説明するのだ!」

「言葉足らずですみません。気を付けます。」

「ちゃんと行動に移すのだ」

「はい、仰せのままに」


僕はヴァルキーに注意されながらも、冒険者の色々とを話した。喜んでくれたようで何より。今はとりあえず彼女の不安を取り除く必要があるからね。こうして、デントロンの町から北の湿地に向かう途中でデントロンの街並みを見ていった。ここ、デントロンはゴルドナでは珍しい工業の町だ。とはいっても、現実の工業の町のように重工業や戦艦化学工業を生業としているわけではなく、産業革命初期のような繊維工業を中心としてる。もちろん、石炭を用いた蒸気機関によるものではなく、工場制手工業に近い。しかし、デントロン自体の規模がニュークやフィランデルに匹敵するものであるため、プレールとアパランティアはこの町一つで事足りていたりする。


「リオ!この町なんか長くて大きい建物ばかりなのだ!みんなここに住んでいるのか?どこもかなり大きい家に思えるのだ!お金持ちが多いのか?」

「多分これ工場なんだよね、工場っていうのはみんなで集まって何か一つの物を作る場所のことをいうんだ。デントロンなら服じゃない?」

「へ~ここで服が作られていたのだな、工場でそのまま買うことはできるのか?」

「直売所みたいなのがあれば買えるけど、無いならお店に行く必要があるね。今度この町の衣服を見てみる?ヴァルキー僕に会って以来ずっとその服だし」

「つまりデートってことなのか?それがいいのだ!リオの好みも知りたいしの~」

「はは、分かった。これ終わったら町に含みに出かけようか」


僕はこのクエスト帰りに洋服を買いに行くことになった。前にシラキで買おうとしたときは作るのに時間がかかると言われたしちょうどいいだろう。その後も湿地までの間に他愛のない話をして群生地まで向かった。

 目的地に到着し、早速発見したトリリー草を採取し始めた。


「結構いっぱい生えているからすぐに集まりそうなのだ。さっさと終わらせてデートに行くのだ!」

「あんまり急いでとったあまり草が傷ついたらクエストやり直しだから気を付けてね」

「ええ?そうだったのか?なら丁寧にとるのだ」

「そうそう、その調子」

「意外と大したことないのだ!」


ヴァルキーの今までの性格から考えるとこういう地味な作業は苦手とばかり思っていたが、以外にも楽しそうに採取をしていた。これならあっという間に2kgも集まりそうである。と、広い範囲からたくさんの草を採取しているときこのことであった。なんと、森にとても不自然な黄土色の入り口があったのだ。何とも迷宮のようなダンジョンのような…一旦これは見なかったことにしよう。あとでギルドの方に報告と確認だな~と僕の所へやってきたヴァルキーがこの扉を見てワクワクし始めた。


「!これって遺跡の入り口か!?リオ!早速行くのだ!我もううずうずして待ちきれないのだ!」

「先にこのクエストとこの入口の報告が先!また今度!」

「えええーーー??? リオのケチ!」

「そんなこと言ったって行かないものは行かない!行ったら今日のデート無くなるよ?」

「ううっ…それは嫌なのだ…」

「でしょ?だから今日は我慢ね」

「分かったのだ」


やっぱり行きたがったよね。ちょっと前まであんなに怖がっている様子を見せていたのに、まあそれがヴァルキーのいいところなのかもしれない。そんなこんなで、あっという間に採取を終わらせ、クエストを完了させた。その後、先ほど発見した謎の入り口について報告、確認を行ったところ、まさかの事実が浮かび上がってきた。

どうも、winger86です。いつも、本作品をありがとうございます。さて今回は、デントロンの町でいろいろなことをする回でしたがいかがだったでしょうか?前回のヴァルキーの様子とは打って変わって、いつも通りに振る舞っていました。力が大きくても思わぬところに弱点があるものですね。理鳳とヴァルキーの関係はやはり駄々をこねる子供とその親という感じで続いていますね。彼女は戦う気あるのでしょうか?そうはいっても正妻戦争の時間は一刻一刻と迫っています。さすがに、準備をしては?と思いますが、彼女自身の考えがあるので尊重しましょう。次回以降はデントロンでの厄介ごとを片付けるお話を書く予定です。一体『オートマ―遺跡』には何が書かれているのかお楽しみに。それでは、また次のエピソードでお会いしましょう。


メモ

トリリー草:

デントロン周辺の沼地や沢に生える低い背丈の草。デントロンのソウルフードによく用いられる。効用は特にないが、サラダや野菜炒めに入れるとさわやかな味になるのが特徴。この町の人はこの味が好きなため、デントロンでの消費量はゴルドナの約3割を占める。

ヤンマボウ:

デントロンとその北のモーレン地方で自生する植物。秋になると赤黒い小さなブドウのような身を着ける。その実の味から、調味料に加工されて使われることが多い。多年草で、1年に何度も実をつけることから、この地域からゴルドナ中へ加工されて輸出される。デントロンでやっている工業には繊維の他にこの調味料もある。味の特徴はウスターソースに近い。

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