第30話 二人野宿
さっそく僕が考えている正妻戦争の詳細についてヴァルキーに語った。
「ヴァルキーに与えるハンデは大きく二つ。一つは戦闘時は人の姿で戦うこと。二つ目は魔法を使わないこと。幻術とかビームとかね。この時代の人は魔法知らないからびっくりさせてしまうってのと、あのビームは出力を間違えると受け止めきれると保証できるのが僕しかいないから他二人だと即死になっちゃう。僕としては犠牲者は出したくないからその技は禁止ということで。」
「人の姿で戦うのは初めてだが、そんなに心配はしていないのだ。でも、魔法が禁止されるときついのだ!我も殺さないように出力を抑えるのではだめなのか?」
「そこなんだよね、ヴァルキーの性格を考えると、何か彼女ら2人から何か言われて激高したときにその制限が取れてしまわないかが心配なんだよ」
「うっ…それを言われたら否定できないのだ…もし『リオは自分の物、他の人には絶対渡さない』とか言われたらこっちも言い返して熱くなる可能性が高いのだ…分かったそのハンデで戦うのだ。」
「ありがとう、もし戦いが激しくなって命の危険が迫るようになったら問答無用で僕が止めに入る。そして僕が止めに入った時点で全員失格ってことにする。それも忘れないでね。僕が相手に欲しいのはどんな状況でも熱くなり過ぎない人だから」
「いいこと聞いたのだ…ふっふ、これで我の価値間違いないのだ。」
「あそうそう、言い忘れてた。この正妻戦争二つ項目があって、1つがこのバトル、2つ目が妻としての素質を判定するものだから。要は家事能力を見るってこと。まあ、そんなこと言いつつ、結婚ってことになったら自分で何でもやるようにするから実際に要らなかったりするけどね~」
「なら測る必要ないではないのか?」
「もし自分ができない事態になった時はやってもらいたいし、助け合いって大事でしょ?」
「なるほど~確かにそれは必要なのだ。でも、かれこれ1000年ほど生きているが人間の家事などやったことないのだ」
「それを確かめるためにも今日の野宿があるんだよ」
「なにをするのだ?」
「野宿で基本人間が欲しいと思う能力を全て伝授するよ」
「やったのだ!これでその部分は心配なのだ~待っての、リオ!」
「まあ僕は誰の見方でもないんで、ちょっと冷たいかもしれないけど頑張って」
そんなこんなでこの話し合いはひと段落ついた。この後、この戦争をやる場所、時間などを確認し、ヴァルキーはそれに向けて奮起している様子だった。本当に僕と一緒にいたいんだなとつくづく感じる。ここまで来ると素直に嬉しい。ということで、討論が終了し、あとはヴァルキーの僕と出会う前の話を色々聞き、夕方に差し掛かる少し前に止まった。
「今そんなに物資がないから今日はこの辺でご飯をゲットしよう。このあたりは食べられる動植物が多いらしいから一緒に探そう」
「我ももうお腹減ったのだ~近くに町は無いのか?」
「それがね~あと1日ほどかかるんだよね。これが、それもこのあたり珍しく村が全くないんだよ。今日はその原因を作ったとされる動物を狩りに行こう。とりあえずこのあたりに野宿用のテントと焚火を用意して、よし!じゃあ狩りに行こう」
「はいなのだ!」
今回実はヴァルキーとの野宿は初めてである。そもそも野宿はまあまあ久々だったりする。この冒険者のイロハを教えてくれたジルさんには感謝しないと、あ!デントロン着いたら次はジルさんが来たと言っていたあの町に向かってみよう。たしかデントロンからまあまあ近かったはず。
そんな形で、デントロン以降の計画にも思いをはせ、狩りの場所まで向かった。
「ここで何をとるのだ?」
「今は若干明るいから薬草を取ろう。それで、夜になったら夜行性の動物を狩ろう。それでいい?」
「分かったのだ!それで、どの薬草を集めるのだ?」
「この図鑑によると…これとこれと…がこのあたりに生えているものでは食べられそう。結構生えているし」
「了解なのだ!さくっと採取して夜ごはんにするのだ!」
こうしてこのあたりに生える薬草を5種類ほど採取してきた。すると、ちょうど夜の動物狩りの時間になってきた。
「薬草取ってたらちょうどいい時間になったから一旦テントに戻って動物狩りに行こう」
「はいなのだ!今日はどんな奴と戦うのか楽しみなのだ~」
今日これから狩ろうとしている動物は、もうモンスターに近いとても凶暴な動物である。実は、このあたりに全く村がないのは、その動物に村を破壊しつくされることが多々あったからというものらしい。だから、基本的にこのあたりを通る商人や未熟な冒険者はこの前のロンドから南に向かい、海路(湖)を使うのが基本。実力試しなどや時間がないときにはこちらを通るらしい。今回は逃げていて急いでいるのもあるのでこちらを使ったというわけである。
「じゃあ早速その動物のところへ向かうのだ!お腹減ったから早く行きたいのだ!」
「はいはい、焦んなくても行くよ。僕もお腹減ったし速攻倒してご飯にしよう」
そういってさっき薬草と採取した場所からさらに森を進んだ場所へ向かった。すると怪しく光る木々が現れ始めたのだ。この木は、『フォトシスオーク』といい、日中光合成で得た栄養の他に、太陽光を集め、夜にそれを発する植物である。この光に多くの動物なりモンスターなりが引き寄せられる。今回討伐予定のモンスターもここへ現れる。
「リオの言っていた通りどんどん動物たちが集まってきたのだ」
「なんか電灯に集まる蛾みたいだ…でも、こっちの世界ではこうやってこの植物は生き延びたんだもんな~神秘的」
「こっちの世界?何のことなのだ?」
「ああ、気にしないで、こっちの話だから」
「そう言われると余計に気になるのだ!何を隠しているのだ?」
「また今度話すからそん時ね、今は狩りに集中」
「誤魔化されたのだ…約束だぞ!」
「もちろん」
危うく転生者であることを口走りかけたが、何とか誤魔化し狩りに集中した。光る森の中心から少し離れたところで潜伏を続けて1時間もすると、目的のモンスターが現れた。名前は『トムゾル』という。この動物は基本草食で、見た目は角がない鹿の見た目をしている。鹿と違うのはその大きさと特徴である。大きさは何とアフリカゾウと同じか少し小さいくらいの高さ4~5m体長6~8mでかなり圧迫感がある。極めつけは、草食動物なのに赤い色の目をしていることである。この動物は夜にフォトシスオークの実を食べに来るように進化したため、夜でも見やすいように赤色に進化したというものらしい。とても禍々しい見た目だ。そして、その見た目通り、気性も荒く、動きながら光るものを見かけると、形相を変え、時速60kmほどで突進してくる。そのため、一撃で家が破壊されてしまい、村が作れないというものである。しかし、このフォトシスオークはこのあたりにしか自生していないので、他の地域では被害がない。僕とヴァルキーは作戦を立て、トムゾル討伐作戦に移行した。
「この動物の最大の弱点は足、先に足を使えなくしよう。ヴァルキーはそのビームを威力調整してトムゾルの足だけ切り落とすことできる?人戦の練習だと思ってやってみて」
「分かったのだ!やってみる!」
「僕も別の方向から足を切り落とすように動くから自由に動いていいよ」
「了解なのだ!」
こうして二人同時にトムゾルに対して走り出した。
どうも、winger86です。いつも本作品を読んでいただきありがとうございます。今回は、正妻戦争の打ち合わせと野宿のお話でしたがいかがだったでしょうか?この世界はモンスターと人間の能力差が大きいので、それを考慮して理鳳はこのようなルールを設けました。通常ならこうなんですが、別世界では龍並みに強い人間もちらほらなのでね…後半では突進鹿の討伐作戦が始まりました。私はシカ肉を一度だけ食べたことがあるのですが、よく似こまれていた影響で、赤みがホロホロになっており、とてもおいしかったです。次回は、討伐の完了とデントロンでのお話を書く予定です。お楽しみに。それでは、また次のエピソードでお会いしましょう。
追記
本日は3作品目の投稿が遅れてしまい申し訳ございませんでした。




