九話「レッドアイの嘘」
そこにいたのは熊田秋彦だった。彼は四つん這いになりながらも懸命に傘を持っている。そして私たちに気が付いた様子だが、自分たちが誰なのか分かっていないようだった。
「近寄るなっ!!」
「おいおい、俺だよ。あと雪下さんも。二人しかいないぞ」
「嘘だ。あの二人なら修行中に死んだ。レッドアイたちがそれを分かって帰ってきたんだ。あの男の口からそう伝えていた」
「おい、それはホントなのか?」
「ホントも何もお前らが偽物なのは知っている。もしホントなら雪下って名乗るそこの女性の裸を見せろ」
「お前、自分で何言っているのか……」
私がそう言おうとした時、雪下さんは前に出ていく。そして赤いフードを脱ぎ捨てた。さらに中に着ていた服に手をかけたかと思ったら止めた。
「恥ずかしいからそっちに近寄ってから脱ぐね」
「雪下さん?」
「勘違いしないで、バカ」
私に対してバカと言うとは。そう思いつつ、彼女の行動を見つめる。彼女は言葉通り近寄って服を脱ぐかと思ったら右足で秋彦の頭を力強く蹴り上げた。彼はそのまま気を失った。
「あら、ごめん遊ばせ。女の子はそう軽々しく人前で脱ぐなんて出来ないの」
「こぇー」
「何か言ったかしら?もう一回蹴りたいんだけど、あなたで試す?」
「大丈夫です。間に合ってます」
私は睨まれた彼女にそう伝える。私たちは彼に話を聞くために木のそばに行って彼を寝かせる。そして彼が目が覚めるのを待つのだった。




