#35 一学期 期末テスト 一日目
夏の日差しが眩しくなってきた七月上旬のこと――
先日、合唱コンクールを終えたばかりなのに、あっという間に期末テストの時期に突入。
今日はテスト一日目の朝。自転車置き場や昇降口の人通りは疎らであるが、すでに教室にはちらほらと生徒の姿があった。
各クラスの黒板には本日実施される試験教科や試験時間が書かれている。
「今日からテストだけど……勉強してきた?」
「あー……勉強してきてない……」
「前回の中間テストと今回の期末テストは重要って言ってたのに。赤点取っちゃいそうだな……」
「確かにそれは言えてる」
「春原先生曰く、「赤点を取ったら承知しない」って言ってたから頑張らなきゃね」
「なんか最近、かなりシビアなことを言うよね。春原先生は」
「仕方ないじゃん。三年生の一学期までの成績が進学や就職に関わるらしいしさ」
「地獄の三日間、早く終わらないかな……」
クラスメイトの女子生徒の数人が気怠そうに会話していた。
紫苑は本日からの期末テストの勉強をするため、いつもより早めに登校したが、いつも通りの時間にすればよかったと後悔している。
彼女は集中したい時に周囲で会話をしている者がいると集中力が途切れてしまうタイプらしく、珍しく少し苛々していた。
ノートや教科書、問題集、授業で使用したプリントを必死に見返す者がいれば、友人同士でクイズ式で問題を出し合う者もいる。
単語帳を片手に重要用語を間違わずに空中書きをしている者もいるので、テスト勉強の方法も様々だ。
疎らだった教室に少しずつ生徒が集まり、テストの最終確認を行う――
*
校内にチャイムが鳴り始めた途端、白衣を着用した女性が教室に入ってきた。
彼女は先ほどの生徒達の会話に出てきていた春原。
彼女らが在籍している3年5組の担任である。
「起立!」
紫苑が号令をかけ、生徒達は椅子から立ち上がり、「礼!」と言おうとしたタイミングで「はい」と春原によって遮られた。
「みんな、座って!」
彼女はそのように言うと彼女らは一斉にポカンとした表情をし、着席する。
春原は一度咳払いをし、「みんなー!」と呼びかけた。
「今日から期末テストだよ! ちゃんと勉強してきたかな? 四月から言ってるけど、今回のテストで赤点を取ったら承知しないからね! 今日から三日間、今まで勉強してきたことをしっかりと出し切ってね! というわけで、今日の朝のショートホームルームはおしまい!」
彼女は一気に話し、教室から姿を消すかと思いきや、再びひょっこり現れる。
「あっ、一つ言い忘れたことがあった。今日の三限目に担任の教科である生物で赤点を取ったら退学処分だから覚悟しておいてね! じゃあ、みんな、頑張ってねー!」
春原は生徒達を脅迫するかのように告げ、彼女らは「はーい」と嫌々ながら返事をした。
そのあと、ようやく彼女は教室から出る。
生徒達は再度、ノートやプリントなどを見直し、テスト本番に挑んだ。
*
この日の試験教科は一限目に世界史、二限目の自習を挟んで、三限目に春原が担当している生物のテストが行われる。
一日目のテストは何事も問題なく終了した。
2026/05/20 本投稿




