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☆15☆騎士に奪われる


 赤字、でてましたね……。

 がんばらねば!

 HP作成で、ちょっと疲労ぎみですが、がんばります!

 ――そして、魔法はとけて、お姫様と王子様は幸せになりました。



 魔法がとけて、すべてが上手くいくのは、絵本の中だけのこと。

 現実は、そんなに簡単にはいかない。

 あたしが取り戻せたものは、長い間、忘れかけていた、幼い頃の曖昧で残酷な約束。


  チョコちゃんとユキは、ずっと一緒なんだよね。

  ユキは、チョコちゃんが一緒なら、いいの。


  チョコちゃんは、ユキの事、好き?


  ずっと、ずっと、一緒ね。約束だよ。


 断片的な記憶が、溢れ出す。

 まるで、もう止める事ができなくなった水の氾濫の様に。


 「最低……なのは、あたし……か」


 あたしは、椅子に座ったまま、クラスメイトもまばらになった教室から動かないでいた。


 あたしだけ、ずっと忘れて、ユキから逃げてきた。

 ユキが離れてしまった理由も、何も考えなかった。

 あたしは、眠るように目を閉じて、何も見なかった。


 そして、忘れた。

 ユキを大好きだったことも、好きだと言われたことも。

 そうやって、あたしは自分を守って、ユキをひとりぼっちにさせた。


 その間、ユキは、きっとあたしを恨んだ。

 ううん、ユキは恨んだりしない。

 ユキは、きっと泣いてたんだ……。


 それなのに、あたしは……。


 「おーい。どした?」


 「……アラシ」


 聞きなれた声の方を見ると、笑顔のアラシが立っていた。


 「元気ねーなー」


 「そ、そんなこと、ないよ」


 「麻衣は? ケンカでもした?」


 「麻衣」という名前に、あたしの身体が、一瞬だけ、小刻みに震えた。

 

 「麻衣は……」


 そういえば、麻衣がいなかった。

 いつもは、忘れ物はないかとか、用事はないかとか、細かくチェックしてくるのに、今日は、いなかった。


 「帰ったの、かな?」


 たぶん、ユキのところ。

 

 そう言いたかったけど、胸が痛んだ。


 「へ〜、めずらしい事もあるんだな〜」


 「そうだよね……。あ、でも。麻衣にもいろいろあるみたいだから」


 あたしが、少しだけ笑うと、アラシは不思議そうに首をかしげた。


 「なーに? そういう風に、人の気持ちを覗いてるみたいな目で見ないで。ほら、今のうちに、帰るんでしょ?」


 椅子から立ち上がると、カバンを持ち、アラシを見上げた。


 「アラシ?」


 まだ、じっと、あたしを見つめるアラシに、問いかける。


 「お? おう。帰る、帰る」


 何?

 変な間があったような……。


 いつものアラシなら、ふざけて強引に手でも握ってきそうなのに。

 

 「あ! もしかして緊張してるとか?」


 あたしは、鼻を鳴らして、横目でアラシをからかう。


 「ばっ! そんなんじゃねーよ!」


 「やだ、図星? らしくないっての」


 あたしはケラケラと笑った。

 アラシの緊張がおかしくて、胸の痛みが少しだけ和らいだような感じがした。


 「なんだよ、ソレ。オレだって男子なわけだよ?」


 「わかってるっての。だって、アラシって、結構、人気あるっぽいよ」


 あたしは、小さく笑うと、アラシの横をすり抜けた。


 「なんだ〜? 今頃、気づいたのかよ。なんか、スッゲー悲しいんですけど」


 「あたし、今まで、何も見てなかったしね。本当、バカでしょ」


 振り向きながら、アラシに言う。

 アラシは優しく微笑むと、あたしに近づく。


 「そんな泣きそうな顔すんなって……そっちこそ、らしくねーよ」


 「や、やだな。泣きそう? あたしが? 気のせいでしょ? そんな顔してないって」


 そう言って笑ったつもりだった。

 それなのに、なんでかな、上手く笑えない。

 目が熱くなる。


 「チョコ?」


 優しい声が、あたしの目の前へおりてくる。

 いつの間にか、アラシは前かがみになって、あたしの顔をのぞきこんでいた。


 「あ! あたし、ちょっとトイレ! 玄関で待っててよ。すぐ行くから!」


 今にも涙が溢れそうな目を、ぎゅっと閉じる。


 「ばっ!」


 逃げ出そうとする、あたしの腕を、強い力が引きとめる。


 「か!」


 強い口調のアラシの声と一緒に、あたしの身体は振り回されるように、くるりと半回転。

 そして、すっぽりと、アラシの腕の中に納まる。


 「や、やだ……離し、て。ジョ、ジョーダンでしょ……」


 アラシの胸の感触。

 初めての胸の高鳴り。


 誰もいない教室で、アラシに抱きしめられるように、向かい合う。

 遠くから聞こえる、小さな声でさえも、耳がひろってしまう。

 規則正しく動く時計の音と、あたしの心臓の音が強く響いていた。


 「オレ、本気だから。受験、終わったら、ちゃんと言うつもりだったから」


 「ちゃんとって」


 「アイツの事、気になってるだろ? ただのお隣さんじゃないことなんて、わかってるんだよ」


 それって……ユキのこと?


 「いきなり出てきて、何なんだよ……」


 「それは!」


 顔を上げると、アラシがあたしを切なく見つめる。

 そんなアラシを見るのは初めてだった。


 「アラシ……」

 

 「オレ……アイツになんかわたさない」


 その顔が、その声が、胸に突き刺さる。


 この展開を期待していた。

 告白されて、彼氏ができるのを、どこかで夢みてた。

 アラシならって、どこかで待ってた。

 期待させて、離さなかった。

 それなのに……。

 あたし、今、この腕から逃げたい。

 今さら、怖いなんて……。


 このまま、流されて、あたしはどこへ行くの?

 この腕から逃げて、あたしは、どこに行くの?


 ユキ、あたし、どこで間違えたのかな?

 どんどん、離れていくような気がするの。

 もう、戻れないって、痛いくらいにわかるよ。


 ユキも同じだった?

 麻衣を選んだとき、ユキも同じように思ってくれた?

 ひどいね。

 そんな、調子のいいこと考えちゃうなんて。

 本当、あたしって、お姫様じゃなくて魔女だね。


 でも……それでもね。

 そう想ってくれたらいいなって、思うの。


 ユキも同じように、あたしを想ってくれたって。


 だって、小さなあたしが、泣いちゃいそうだから。

 お姫様だった頃のあたしが……。


 「チョコ、一緒に高校、行くよな」


 祈るように、強く願う声。


 同じ。

 あの時の幼いユキと、今のアラシは同じに見えた。

 あたしは望まれてる。

 突き放せば、壊れてしまう。

 もう二度と、この優しさはあたしのものじゃなくなっちゃうんだ。

 今ならそれがわかる。

 

 

 それなら……。


 「うん……一緒に」


 あの頃、答えられなかった言葉。

 今なら、言える。


 ごめんね。


 胸の中で、あたしはくりかえす。

 

 ごめんね、小さなあたし。

 

 「アラシと……一緒に」


 ユキを好きなのは、小さな頃のあたし。

 ずっと、王子様を待ってた、幼いあたし。

 

 だから、大丈夫。

 あたしの王子様は、ちゃんとここにいるから。


 今のあたしの好きな人。

 

 「チョコ……」


 「ア、アラ……――――ッ!!」


 声を出すより先に、あたしの口がふさがれる。

 目の前に、アラシの長いまつげが見えて、あたしは目を見開くことしかできない。


 こっ!

 これって!


 そう思った瞬間、大きく、教室のドアが開く音が響く。


 その音に反応して、あたしとアラシは咄嗟に身体を離した。

 

 「やべっ……」


 「ユ、ユキ?」


 ユキの顔が、ゆがむ。


 「お前……」


 「うそでしょ、チョコ……」


 口を押さえて、驚く麻衣と、今にも爆発しそうなユキが、あたしとアラシを睨む。


 うそ……見られた。

 なんで、なんで、二人が。

 

 「クソッ! なんでっ!」


 「ユキ君っ! 待って!」


 「葛城っ! 離せよ! アイツっ!」


 「ユキ君っ! ダメっ! きゃっ!」


 ユキは麻衣を押しのけて、アラシめがけて走る。

 

 「麻衣! 大丈夫!? ちょっ、ちょっと! ユキ?」


 様子のおかしいユキに、あたしも駆け寄る。

 ユキの目には、アラシしか見えていないみたいに、まっすぐに向かっていく。


 まずい。

 ユキ、何も見えてないみたい。

 ユキがケンカなんて、しかもアラシと。

 そんなの絶対、勝てっこないよ。

 だって、アラシは部活はサッカーだけど、空手道場に通ってるんだよ!

 いくらユキでも、絶対にケガしちゃうよ!


 「や、やめて! ケンカはだっ、だめっ!」


 どこをどう入ったのか、あたしはユキとアラシの間にわりこむ。。

 次の瞬間、ユキの振り上げた拳が、あたしに向かってくるのがスローモーションで見えた。


 「ぶひっ!」


 「キャーッ! チョコッ!」


 麻衣の悲鳴と同時に、あたしの身体は真横へ飛ばされ、近くにあった机にぶつかった。


 「チョコッ!」


 「チョ……」


 アラシとユキの声も聞こえた。


 なんで、こんな事になってんの……。

 なんで、あたしが、ユキに殴られて、飛ばされてるわけ?

 

 ああ、もう、本当。

 あたし、呪われてるのかな……。


 遠くなる意識の中で、あたしはユキの声だけを探していた。


 ごめんね、ユキ。

 守ってあげられなかった。


 うっすらと見える視界に、ユキの顔が見える。

 必死で、悲しそうに唇を噛む顔に、胸が痛んだ。


 ほら、泣いちゃダメ。

 ユキは、男の子なんだから……。


 ユキはあたしの王子様なんだから……。


 昔も、今も。

 だから、泣かないで。


 ね、ユキ。


    ※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。


















 ◆†あとがきという名の懺悔†◆


 いつもご来場ありがとうございます。

 しかも、この最後まで。

 なんとか、ここまできました。

 もう終わりますね。

 本当、終わらせてってくらいズルズルです。

 がんばって書きます。


 あとがきも書く時間がないくらい、生活におわれてます。

 それでも、少しでも、誰かと繋がっていたいので

 書いていこうと思ってます。


 変な文章……。

 いろいろと考えるところがあって、少し悩み中です。

 それで、カタコトみたいな文章になってます。

 また次はいつになるかわかりませんが

 続きをかいていきますね。


 HPを新設したので、よろしかったら遊びにきてください。

 まだチョコボンまでは手がつけられていませんが。

 日々、成長しているとは思います!


 

  さて次回♪ ☆16☆ 魔女の願い

 

 そろそろ、意地悪しないで、素直に書きますね。

 王道ラブですので、ベタですが、安心して読んでいただけます。

 


 でわ! 次回でまたお会いしましょう♪

 

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