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50話:根本的な解決にはなりませんよね?




・・・いやぁ、オヤマノモンキーは強敵でしたね。

特にあの・・・う○ことか・・・糞とか。あと排泄物なんかも厄介だったかなぁ。

幽霊の能力を持ったオヤマノモンキーって魔物。まぁレア種だったんだけど、う○こしか印象に残んなかったなぁ。


あの後、僕の中途半端な印はしっかり効いてたみたいでね。オヤマノモンキーは苦しみだした訳さ。

そこをセリスのう○こ付き大鎌でバッサリと・・・。オヤマノモンキーのレア種は成仏しちゃったよ。

今までレア種相手には苦戦続きだったんだけど、今回はあっさり終わっちゃったかな。まぁ、セリスの大鎌は幽霊にすこぶる相性がいいんだろうね。

それにルナ様から貰った数珠もあったしな。

まぁ今回はかなり楽させてもらったな。他人事みたいになるのも仕方がない。


今はボス部屋で休憩中だ。

ボス部屋は、ボスが居なければ安全地帯らしい。倒したボスがすぐに復活する事は無いらしいし、実質ボス部屋はセーブポイントって訳だ。

でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。


だってね、この車両にはアレがあったでしょ?

そうだよ。セリスがルナ様から貰った、大事なだーいじな大鎌で斬っちゃったu・・・


「うっ・・・ううぅ〜〜・・・。ルナ様ぁ、も、申し訳ございません〜〜。貴方様から授かった武器に・・・う、う○ちが・・・・・・。」


・・・・・・オヤマノモンキーがやりやがったう○こがあったじゃないですか、この車両には。幽霊のくせに何故か実体も臭いもあったう○こね。

でもね、安心してください。そのう○こなんですが、綺麗サッパリ消えちゃったんですよね。オヤマノモンキーが成仏したと同時にね。

フィリップさんの推測だとこの現象は、魔物が扱ってる武器はその魔物を倒すと消えるっていうやつらしい。

レア種のミノタウロスの時と同じだな。あの時は斧が霧散した訳だが、今度はう○こが霧散したって事だ。

つまりう○こは、オヤマノモンキーが魔法で生成した武器だった訳だな。


・・・・・・いやいや、そんな対策されなくっても、誰も持って帰らねーんだよ。誰が武器として再利用すんだよ、あんな綺麗に切れた猿のう○こを。

こんなに俺とルナ様で意識の差があるとは思わなかった!




・・・さて、おふざけはこのくらいにして、そろそろこれからどうするか考えないとな。

この場所が悪霊の迷宮の最深部・・・ではなかったらしい。

そこの台座にあったコアは、またしてもダミーダンジョンコアだったようだ。

つまりは、さっきのう○こ猿はラスボスじゃないし、この悪霊の屋敷にもまだ奥があるって事だ。


勿論、個人的には更に攻略していきたい。

まだ誰も踏み込んで居なかった未踏のエリア。そこに現れる、新種の魔物・・・幽霊を倒す術を僕達は持っている。

こんなチャンスを逃し、タイムリミットが迫っているからと撤退して、他の冒険者達に漁夫の利を取られるなんて事はゴメンだ。


欲に駆られて、リスクを見てない。それは分かる。

フィリップさんからも、収穫は十分、ここが潮時。と言われている。

確かに収穫は十分だ。魔力の内包量次第ではあるが、1個で数年食っていけると言われているダミーダンジョンコアが2個。この辺じゃ滅多に見ないカタナが一振りに、レア種オヤマノモンキーのドロップアイテム。ポイズンギガゾンビ含む、魔物の剥ぎ取り素材の数々。

初めてのダンジョン探索でこれだけやれば十分だろう。十分過ぎる程だ。


・・・・・・いやまあ、そうなんだけどさ。

もうちょと・・・もうちょっとだと思うんだよね、最深部。

地上ではさ、かなり焦ってたじゃん?ダンジョンの主さんさぁ。それって、地下に来られたらマズいーとか、俺の命が危険ーとかそういう事だよね?

であればだ、もう相当に追い詰めてんじゃないかと・・・


「・・・リョウ君、もうすぐ最深部なんて保証はないだろう?まだパーティーメンバーを危険に晒すのかい?」


うっ・・・。

・・・・・・そうっすね。完全にフィリップさんの言う通り。そもそも先に進む道が見付かってないから、帰る帰らないって話になっている訳で・・・。


「まだ発見されていなかった階層を見付けたのも、ユーレイを倒せる武器を持っていたのも、全部たまたま・・・行き当たりばったりだろう?稼ぎはもう十分、時間も無い。引き上げよう。」


フィリップさんは正しい事を言っている。

一応これでもこのパーティーのリーダーである僕が、こんな事では駄目だ。

全部僕が悪いんだよ。だからセリス、その後ろからフィリップさんを殴ろうとしている駄犬(ルシル)をそのまま止めといてくれ。



だが、正論を言っていたフィリップさんは、浮かない顔をして顎をさすっている。

暫く沈黙し、長いため息を吐いた後、口を開いた。


「・・・・・・と、まぁ、こう言わなきゃいけないんだろうね。依頼を受けて、未成年の生命を預かってる者としては・・・ね。」

「・・・あの、どういう事で?」

「僕も何度も言ってるだろう?未知のエリアはワクワクするし、他の奴等に先を越されたくない。君と同じさ。」


頭を掻きながら、照れたように言うフィリップさん。


「冒険者は多少、欲深くないとね!・・・リョウ君、君は今日だけで十分だ。リョウ君はもう冒険者として立派にやっていけるよ、僕が保証する。」


・・・ははっ、こんなところで、お墨付き貰っちゃったよ。


「時間なんて気にする必要無いさ。街の騎士に言ってやればいい。あんなもん・・・クソくらえってね。」


・・・う○こだけに、ですか?

いやいや、街の騎士には罪はなくないっすか?ヒドすぎるでしょ?

こんな事言うんだなフィリップさんも。やっぱ冒険者って事か。



「・・・あー、そういえば、リョウ君の保護者って、あのゲバルド=トクレンコだっけ? ・・・・・・・・・リョウ君、トクレンコさんには上手いこと言ってくれよ?まだ死にたくないんだけど・・・。」


・・・それは、まぁ・・・・・・前向きに検討し善処します。

・・・やっぱゲバルド氏って凄い人なんやなぁって。




取り敢えずまだ撤退せず、進むっていう事で。

フィリップさんもやる気だし、セリスとモン娘達もビビり倒してはいるが、進む気はあるようだし。幽霊娘達もよく分からんが付いて来てくれるようだ。


・・・だが、オヤマノモンキーのレア種は付いて来てくれそうにはないな。

こんな呪われそうな部屋に留まっていた1番の理由であったが、成仏したように消えてからは、復活する気配が無い。

所詮はレア種ではあっても、オスだったという事だろう。


残念だがどうしようもない。



・・・・・・って本気で思ってる?

もしも仲間になってみろよ。スゴいキャラクターだぞ?

人前で平気でう○こをして、投げつける幽霊で猿のモン娘だぞ?

前衛的すぎるだろその萌えキャラは。絶対持て余すわ。



・・・後、う○こう○こ言い過ぎだぞ。すみませんでした!





◆◆◆





来た道を戻り、列車を抜け、入口である体育館の前まで来た。



・・・パーティーメンバー全員、進む決意を新たにしたところ迄は良いのだが・・・詰んでますよね?

地下一階は、さっきの列車エリアで全部調べ終わったんですが。


「さて、これからどうするんですか?」


いや、セリスさん。僕を見ないでくれます?

パーティーメンバーだるるぉ?一緒に考えようぜ?


「・・・またあのガッコウって建物を捜索し直すかい?」

「な、なにそれ・・・。わたしやっぱ上で待ってる!もういやっ!疲れた!!」


今、休憩したばっかだろうに・・・。

もうピノはほっとけばいい、どうせ付いて来るから。この娘はそういう娘だ。


・・・まぁ、フィリップさんの言う通り、学校エリアを再捜索。これしかないだろう。

地下一階を虱潰し・・・幽霊なんて厄介な魔物が出る階層でそんな事したくはないが、仕方無い。

何か他に引っ掛かる事でもあるんなら、そっちを調べてもいいんだがな。




何か・・・何かあったかねぇ・・・・・・。


・・・そういえば、地上ではかなり焦っていた様子のダンジョンの主が、今はおとなしいな。魔物を一箇所に固めてみたり、ボス部屋でもないところにボスを配置してみせたりしてたんだけど。

結局は経験値ウマーって感じで終わった訳だが、あんなのがさっぱり無くなった。


もしかして、ダンジョンの主が焦っていたなんてのは、僕の勘違いだった?

いやでもセリスが、ダンジョンの魔物はダンジョンの主が動かしてるって言ってた。特定のパーティーを狙い打ちしたような魔物の動きも、不思議ではないと。


やはり、ダンジョンの主は僕達パーティーを特別に見ていると思っていいだろう。

であれば、何故おとなしくなった?何故、魔物を集めなくなった?

例えば、3階層のモンスターハウスに幽霊を数匹置いておくだけでも、僕等死んでたかもしれないぞ?

・・・あ、いや無理か。魔物は階層間の移動は出来ないんだった。じゃなかったら、下に降りる梯子の周りを陣取ったりしないか。

じゃあ、その階層に居た魔物を必死にかき集めたのがアレだった訳か。

そうなると、ポイズンギガゾンビの存在が意味分かんないけど・・・考えても分からんし、ボスだから例外って事にするか?


取り敢えずボスは置いといて、幽霊は何故一箇所に集めなかったのか?

幽霊が集団で来ると、流石にオシッコちびってたな。

地上での惨状を見て、魔物を集める事が有効と考えなかったのか。幽霊はレア種故に、数が少なかったのか。幽霊の強さに胡座をかいていたのか。僕の失禁を見たくなかったってのもあるな。ねーよ。


・・・う〜ん。強さに胡座をかいてたってのが有力か?

幽霊の強さに、逃げ帰ったのは事実だしなぁ。ダンジョンの主が楽勝じゃんって思ってたところに、幽霊に対抗出来る武器と幽霊を仲間にする能力の登場っと・・・辻褄は合いそうたが?


流石に都合が良過ぎるか?

じゃあ、レア種故にってやつは?

・・・それがねぇ・・・幽霊がレア種だっていうのが危うくなっているんだよね。

その証拠がレア種のオヤマノモンキーが死んだ後に出たドロップアイテムだ。

アイテム自体は、スープの出汁を取るげんこつのような極太の骨・・・つまりは5回連続のがっかりレアアイテムだった訳だが、レア種の証であるレアアイテムはしっかりと落としているのだ。

幽霊って死体も残らないし、ドロップアイテムも無いのかねーって思ってたところにコレだ。


じゃあ結城さん達は何だ?レア種でもないのに何故従魔になった?

これはもう、僕のクラス“魔物誑し”の方を疑わざるを得んだろう。レア種でメスの魔物か魔族を従魔するクラスで確定でしょう、なんてドヤ顔で言っていた女神様を疑わざるを得ない。



・・・兎に角、僕のクラスにはまだ何かある。だが、今それを解明してる暇はない。

確証はないが、幽霊の数はそんなに居ないとみていいだろう。列車エリアでも、ボスであるモンキーしか居なかったしな。

学校エリアは結構隅々まで調べたし、居ても後1〜2匹か・・・・・・・・・




・・・あれ?

そういえば地下に降りた時に見た、赤い着物の幽霊は?


・・・まだ見てないな、そういえば。

あれが最後の幽霊か?それともまだまだ居るんじゃないだろうな?


「あの赤い着物の幽霊って、まだ会ってないですよね?」

「赤いキモノ?・・・あぁ、今朝1番に見たユーレイかい?確かに見てないねぇ。あのユーレイがどうかしたのかい?」


フィリップさんが事も無げに答える。

いやいや、事は有るだろ。確かにもう幽霊なんて敵じゃないにしても。


「そうよ!あの赤いクソ女!!アイツのせいで、今日わたしは調子出ねーんだし!!」


凄い言いがかりですね。どうせピノは、今日は戦う気無いって言ってたやん。



「あそこ!あそこに居たのよアイツ!!リョ〜君早くヤッちゃってよ!!」


女の子がアソコアソコ言うんじゃありません。興奮するだろ。

大体、今居ないものをどうやって退治しろっつーんだよ。出て来たらヤるさ、セリスがな。



・・・・・・・・・・・・。



・・・そう、あそこに居たんだよな。

あの渡り廊下の、丁度90度曲がっているところに。

学校側から赤い着物の幽霊を見た時には、渡り廊下が曲がっているなんて見えなかったんだよな。

赤い着物の幽霊も、曲がった先にある体育館を見ていなかった。後ろ姿だけ・・・だからその時は、渡り廊下は真っ直ぐ延びていると思っていたんだ。


・・・・・・何かあるのか?いや、まさか。

幽霊がヒントを教えてくれる?・・・確かによくある設定だが。

いやでも、ここの幽霊達は魔物みたいなもんだろ?ダンジョンの主の命令で動いてる筈だろ?そんな奴が何故、僕達にヒントを与える?ここまで散々邪魔してきた相手だぞ?




・・・確かめりゃいい。そんなに時間のかかる事じゃない。


更に来た道を戻り、例の場所・・・赤い着物の幽霊が佇んでいた、渡り廊下の曲がり角へ。

そこで止まり、手摺りにもたれ、身を乗り出す。


「ご主人様、危のうございます。」

「ルシル・・・いや、みんな。ちょっと周りを警戒しといてくれ。」


・・・ここで後ろ姿で立っていた。だからこの方向を見ていた筈だ。

目の前に見えるのは、赤みがかった不吉な月と夜空。当然、建物のようなものは見えない。

そして、一歩踏み出せば地面は無い。・・・そう、今朝も言ったが、マップでは無いのだ。

いくら外観と内観が違う不思議な空間だとしても、限界はあるだろう。オープンワールドゲームだって、世界の果てはあるのだから。


「リョウ君、どうしたんだい?そんなところ調べたって、ただの壁を調べているようなものだよ。」


フィリップさんが呆れたような声で言ってくる。


確かにそうだ。

でも、そういう固定概念を覆した結果が、地下への道を開いた訳で・・・。


・・・大体何で壁を調べているようなものなんだよ。

地面が無いからか?何故無い?

フィリップさんが言ったからだ。ダンジョン内の知識は殆ど、ベテラン冒険者のフィリップさんから教わった知識だ。



・・・覆せ、それを。

この世界の冒険者達が誰もクリア出来なかったダンジョンを・・・やってやるよ、僕が。




・・・何かないかな?そうだ、イムの指輪は?


・・・・・・・・・シャツの中に居るイムから凄いプレッシャーを感じる。

そうだな、指輪は止めておこう。一応レアアイテムだから。


鉄貨でいいか・・・ああっ!?銅貨しかない!!

おおおおおっ!100円・・・違った、100イェンが!!!

ええぃ、くそ!もっていきやがれ!!



赤い着物の幽霊が向いていた方向。黒いもやのかかった地面に、銅貨を投げ入れる。






………………………チャリンッ

………………チャリンッ

………チャリンッ………………………………………………






「・・・ちょっと待って。リョウ君、何をした?」


フィリップさんが驚愕の顔をして、僕の横に来る。


「・・・銅貨を投げ入れたんです。」

「銅貨を?・・・いや、何を投げたかなんて関係ない。さっきの音は何だ?・・・本当に、()()()()()()()からしたのか?」


・・・ダンジョンの外?ダンジョンの中で外とはなんだよ、妙な表現をする。


「普通はあんな音はしないんですよね?」

「当たり前じゃないか。こういう場所は底なしの穴だって説明しただろう?この先は無いし、底も無い・・・筈なんだよ。」


・・・この先は無いし、底も無し、か。

ダンジョンの外って言うのも分からんでもないが、またしてもその固着した考えは間違いだった訳だ。


「でもここには底があります。他の場所はどうなのか知りませんが、ここはダンジョンの外・・・ではないって事ですよね?」


フィリップさんは僕の言葉を聞くと、頭を押さえ黙ってしまう。

ちょっとまだ信じられないって感じだな。まぁすぐ立ち直るだろう。



「リョウさん。底はあるのかも知れませんが、先が全く見えませんよ。」

「そうでございます、ご主人様。危険過ぎます。まずはどうなってもいいセリスを投げ入れて・・・」


ルシルの戯言は放っておこう。

100イェン以下かねセリスは。だったらあるだけ買おうじゃないか。店にあるもの全部よこせよ。


・・・まぁ、二人の言う通りだ。危険だなとは思う。

地面があると思って踏み出したら、底なし穴に紐無しバンジーの可能性あるって事でしょ?

黒いもやのせいで下が見えないってのがな。風属性魔法で吹っ飛ばすとか?・・・そんな簡単なら、冒険者の間で当たり前の知識になってないか。


せめて、空を自由に翔べたらね・・・


・・・ピノの顔をじっと見てみる。


「・・・な、なによ?」

「頼むぞ、タケコプター。」

「・・・絶対、馬鹿にしてるでしょ! 嫌よっ!!ぜったいイヤッ!!!」



何だよもう、どいつもこいつも。

分かった分かった、また僕が行くんだろ?

全く、僕だってホラーは大嫌いなんだからな。しかも今回はバンジーって、違う怖さじゃん。やってらんねーよ。



ワ………ワタシ、タチ………イク………………


ッッ!!!?


き、急に出て来ると心臓キュッてなるから・・・。

まさか、結城さん達が確認しに行ってくれるというのか?

確かに幽霊だから地に足は着いていない。浮いてるって意味で。これはドラ◯もん無しで空を自由に翔びたいなを解決していると言ってもいい。




じゃあ・・・ということで、結城さん達に確認をしてもらう事にした。

黒いもやが広がる地面・・・安全など確認されていない不明瞭な場所にもかかわらず、結城さん達幽霊3人娘は躊躇なく地面に潜って行った。

怖くないのだろうか?・・・いや、ピノにヒドい事を言われて悲しんでいたではないか。恐怖だって感じるに違いない。

・・・結城さん達の方がおっかないなんて、絶対言っちゃいけない。


・・・大丈夫だよな?・・・帰ってくるよな?






皆が固唾を呑んで見守るなか・・・

黒いもやの中から、青白い顔をひょっこりと覗かせ、帰って来た。


・・・神さんだ。・・・他の二人は?


シタ………カイダン………………ヒロイ………ロウカ………………


下に・・・階段!?広い廊下があるって!!?


話を聞いたルシルが、すかさずしゃがんで黒いもやの中を調べ始める。

お、オシリと犬しっぽが・・・いやいや、ただのセクハラだから。止めとこう。


「・・・ご主人様!やはり貴方様の読み通り、ココだけ地面がございます!」

「まさか・・・そんな・・・・・・。」


フィリップさんはかなりショックだったようだ。だが目の前にソレはあるのだ。冒険者達が作ってしまった常識の外にな。


「こんな所に先に進む道が・・・ダンジョンというのは、どれもこれもこんな仕掛けがあるのでしょうかね?」

「さぁ・・・どうだろうな。」


そう言ってセリスが別の場所にも鉄貨を投げ入れる。

黒い煙に吸い込まれた鉄貨は先程とは違い、何の音も響かせない。

赤い着物の幽霊が向いていた方向の場所だけに地面があり、他の場所はフィリップさんの言う通り、底無しの穴なのだろう。



突然、ずっと僕の服の中に隠れていたイムが、服から飛び出した。

そしてイムは、さっさと神さんが顔を出している場所に入っていった。

どうした急にやる気出して?流石にサボり過ぎは悪いと思って先陣切ったっぽいな。


イムに続いて、ルシルも躊躇なく入って行く。

セリスも手摺りをくぐり、黒い煙の中に入って行った。

・・・みんな、度胸があって結構。幽霊が絡まなきゃこんなに頼れる奴等は居ないんだが・・・。


さて、僕も足震わせてる場合じゃないな。

フンッ!!動け!僕の足ッッ!みんなが我先にと安全を確かめてくれているじゃないか!!


手摺りをくぐり、黒い煙の中に一歩踏み出す。

普通の煙なら、足を動かした時に一緒に煙も動くものだが、この黒い煙は全く動かない。寧ろ、纏わり付かれているように思える。

だからこそ、冒険者の間ではダンジョンの外だと言われていたのだろうが、足元が全く見えないのはいただけない。

神さんは階段があると言っていたので、段差がある訳ですよ、ここには。摺り足で慎重に行くしかないね。


「リョ〜君、早く行け!!蹴るわよ!」


お前まだ僕の後ろに居たのかよ。

翔びなさいよピノは。他の奴等は先陣切ってくれたんだぞ!




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