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37話:異世界において欠かせないもの




街に出て、服屋に向かう。

ルシルとピノには魔物形態に戻ってもらった。

服屋に着いたら、モン娘形態に戻ってもらって、服を決めてもらう。

これは義務だ。うちの子になるんなら、モン娘形態を維持してもらう。異論は認めたくない!



「リョウさん、ルシルさんに厳しくし過ぎではないですか?」

「そうか?・・・うん、まぁそうだな。でも別に僕は怒ってはないぞ。苛めてるだけだ。」

「・・・・・・私もうかうかしてられませんね。」

「は?」

「いえ、なんでもありませんよ。あっ!?リョウさん!あの食べ物は何ですか?」

「ああん?あの白いのか?ヨーグルトとかじゃねぇか・・・って聞いてねぇし。」


すぐ買いに行くなら聞くなよ。

相変わらずセリスは街を歩く度に屋台につられるな。もうあの白いのを顔中にぶち撒けてもらえばいいのに。



『何をしているのですかあの天使は?』

「ん?屋台で買い食いだろ?」

『なんと・・・我が主を放っておいて、食べ物にうつつを抜かすとは!女神に似て卑しゅうございますね!』


一体ルナ様はルシルに何をしたっていうんだ?

いや、ルシルというより魔王にかな?

ルナ様が魔王を全力で煽っている姿が目に浮かぶが・・・相手は魔王だしなぁ。どうだろう。


「ちょっと気になるな。僕も買ってみるか。」

『!!? わ、私も気になっておりました!すぐに我が主の分を買って参ります!』


手のひらクルックルやな。


(みんな食べるならわたしも食べたい。美味しいんでしょ?)


待て待て。ピノもルシルも魔物形態でどうやって物を買うんだよ。

ここは先輩であるイムに任せて・・・って、もうセリスの隣に居たわ・・・。


それにそんなに派手に動かれても困る。

3メートル級の狼の魔物と色違いのハーピーは目立ち過ぎる。

現にここまで歩いて来るだけで、どれだけの人に振り向かれたか。



「おーおーボウズ。随分派手になったなー。」


ほらな、話しかけてくる奴も出てきただろ。

ただこの声は知っている声だ。現れたのはラークと、パーラさん・・・じゃない。勿論グラサンノースリーブでもない。


モジャ毛のおじさんだ。初めて見る人だな。

無精髭を生やしてタバコを吸っている。・・・めちゃくちゃ紫煙の風に相応しい人じゃん。てか、この世界ってタバコあるんだな。

髪の色が黒い、そしてもじゃもじゃ癖っ毛の上にピョコっと出ているケモ耳。どうやら獣人らしい。

更に驚く事に、着物のような物を着ている。時代劇なんかの侍に近い格好だ。

個人的に一番気になったのが、腰に差した武器・・・刀だ。

タバコはマジでどうでもいいが、この世界には刀があるのか。素晴らしい。ねんがんの カタナをみつけたぞ。ゆずってくれ たのむ!!



「また従魔が増えてるじゃねーか。ちょっと前まで変なスライム連れてただけだったのによ。」

「へぇ・・・この子がラークが言っていた魔物使いかい?」

「そうそう。このボウズがそうだぜフィリップさん。」


フィリップと呼ばれた侍のおっさんが、顎をさすりながら僕達を観察してくる。

僕も負けじと刀を観察してやろう。



「ったくよー。こっちはハーピーの殲滅で大変だったってのによー。ちゃっかりボウズはハーピーを従魔にしちゃったのか?って・・・・・・また変わったハーピーだなぁ、おい。」


ピノを見たラークが訝しむ。

そこに気付くとは、やはり天才か?・・・いや、誰でも気付くか。


「・・・・・・このハーピーって、レア種かな?」

「えっ!?それ本当かフィリップさん?・・・レア種って従魔になんのか?」

「聞いた事ないなぁ・・・。それに、そっちの狼の魔物も見た事無いけど・・・。」

「そーいえばそうだなぁ。この辺にこんな魔物居たか?フォレストウルフにしちゃデカいし・・・コイツももしかして・・・。」


なんか二人で勝手に盛り上がっちゃってるけど、これってマズイ流れなんじゃないか?

僕が普通の魔物使いじゃない事かバレたら面倒なことになりそうだ。まぁ、パーラさんにはバレちゃってるんだけど。


『我が主、この二人は何者ですか?・・・私が(だま)らせましょうか?』


ルシルが僕にだけ声を送ってくる。

凄い物騒な事言ってるぞ。その漢字そうやって読まないから。

まぁ侍のおっさんの強さは未知数だが、ルシルなら問題無く二人に勝てるだろう。でもお尋ね者になるつもりもないので、止めておこう。つーか、普通はしない。



「えーっと・・・お二人共、そんな細かい事いいじゃないですか。この子らはもう僕の従魔なんですから。」

「ん?・・・・・・そうだな!はっはっは!」


なにわろとんねん。

まったく細かい事ではないと思うんだが・・・適当に言ってみたが、どうやら僕の予想は当たっていたな。


今までイムと過ごしていても、レア種が従魔になった事を周りで騒がれた事はない。今回のように多少つつかれる事はあったが、それだけで終わる。

今までに例の無い事だと大騒ぎしているのは、ルナ様とセリスくらいのもので、この世界の住人には変わった魔物だ言われるだけだもんな。

やっぱり僕の従魔になった途端、僕のモン娘達は、レア種ではなく、変わった魔物として認識されるらしい。


・・・自分で言っててなんだが、何が違うんだ?



「・・・いやぁ~、増えたなぁ。やっぱボウズはきびしいかぁ・・・。」


ボソッと独り言いってるが、多分僕を紫煙の風に入れようって話だろう。本当にレア種の事はどうでもいいらしい。

あれだけレア種に煩かったラークが、目の前のレア種をスルーしちゃうなんてな。


この現象、前はルナ様の仕業だと思っていたが・・・もしかしたら僕のクラスの仕業かも・・・。

まぁどちらでもいいか。

レア種だレア種だと騒がれなくてよかったよ。



「んで、ラークさん。そちらの方は?」


また僕の従魔の話になっても面倒なので、さっさと話題を変えよう。


「おお、そうだったな。この人はフィリップさんだ。 実はトントロさんが抜けたんだよ。で、その代わりに、ちょくちょく世話になってるフィリップさんと今は組んでんだよ。」


な、なんだと・・・。

あのグラサンノースリーブが紫煙の風を抜けるだって!?

うちのガンオタが居なくなった途端に、トントロさんも居なくなってくれるとは!

朗報じゃーねか!!もう二度と出て来るんじゃねーぞ!



「フィリップだ。ラークと同じCランクの冒険者だよ。同胞に会えて嬉しいよ。」


フィリップさんが手を差し出してくる。

握手するのはまぁいいとして、同胞ってなんだ?


・・・あぁ、黒髪黒目の事か。


「初めましてフィリップさん。僕はリョウです。因みに、獣人ではないですよ。」

「えっ?そうなのかい。これは失礼。」


やれやれ。獣人はうっかりさんばかりなのか?



「ラークから噂は聞いてるよ。クラス、魔物使いなんだってね。まだ若いのに3匹も従魔が居るなんて、凄いじゃないか。」


はたしてそれは凄いのか?

従魔の数が多いからって、自身が強くなった訳でもないしなぁ。


「いえ、僕なんてまだまだですよ。それに、この子達は僕がクラスを授かる前から会った事があるんです。それですぐに仲間になってくれたんですよ。」

「へぇ。聞いた事があるよ。魔物使いはそういうのがあるんだってね。」


知ってんのか。

確かに人生経験は豊富そうだよな、年齢的に。


でもこの見た目で、ラーク達と同じCランクの冒険者なんだよな。ラークが20代中盤って感じで、フィリップさんが40代って感じだろうか。

ラーク達が優秀なのか、冒険者のランクがあまりアテにならないのか。


・・・いや、嘗めてたらいかんな。

この魔物の居る世界で、冒険者として今まで生き残ってきている人なんだ。勉強するべきところは沢山あるだろう。


「なんだって?クラスを貰う前から会った魔物が従魔になるのか?へぇー、レアクラスってのは変わってんだなぁ。そりゃ変な魔物も仲間になるってもんだな!なっはっは!」


・・・コイツ(ラーク)からは勉強すべきとこはねぇかもな。





◆◆◆





「ルシルさん、この服はどうですか?スタイルがいいですから、何でも似合いますね。」

「ルシル・・・・・・これも、着る。」

「な、何ですか貴方達は!?服くらい自分で決めます!」

「これカワイイ~。ねぇルシル、お揃いにしよ。」

「な、何故私がハーピーなどと・・・むっ?これは・・・いいですね。」


やれやれ。天使だろうが魔物だろうが魔族だろうが、結局は女の子だって事だな。

さっさと決めてくれよ。何時までかかるんだ?




ラーク達に簡単な挨拶を済ませ、別れた後は、屋台に張り付く人達をなんとか引き剥がして服屋に着いた。

人数が多くなって引き剥がすのが面倒になったんだが。言う事聞くのルシルだけだし。


服屋に入ると、従業員に止められた。

まぁそれは魔物形態のルシルとピノが居たからだが、ここでちょっと実験をしてみた。

従業員の目の前でルシルとピノをモン娘形態に変化させたのだ。

従業員は急に現れたモン娘に少しびっくりしていたようだったが、その後の対応は予想通り普通だった。


まぁ予想通り・・・予想通りなのだが。

魔物だからと一旦出口で止めたにもかかわらず、モン娘の姿になった途端、普通に対応するって、一体どんな神経しとるんだ?


因みに二人とも裸で現れた訳じゃないぜ。さっきの外套にしっかり包まっている。

どうも変化は万能みたいで、魔物形態になると服は何処かに消えるが、モン娘形態か人間形態になると、どこからともなく服が現れるんだよね。

だからイムなんかは今まで何回も変化しているが、変化する度に裸体を惜しげもなく晒している訳ではない。

まるで変身ヒロインだな。嬉しいやら悲しいやら・・・。


レア種が従魔になっている事も気にならない。魔物が目の前で人間っぽい姿になっても気にならない。

ついでにここで人間形態にもさせてみるか?

・・・まぁ何も変わらないんだろうな。エリオ達だって、イムの全部の形態を見ても何も言わないんだから。


まぁどっちにしろもういいや。

考えても分からんし、都合もいい。心配事が無くなって結構じゃないか。前にも思った筈だ。




さて、服選びにはまだ時間が掛かりそうだ。

しかも、今の僕には多少のお金がある。レア種のミノタウロスのお金だ。

服屋に居る。金はある。する事は何か?当然コスチュームの調達である。


カティ達の居る学園の制服を作って、モン娘達にコスプレさせるのだ。こんなに素晴らしい事はない。

しかも、おあつらえ向きに従魔のモン娘が3人になった訳じゃん。

なんて事だ!学園の制服に身を包んだ美少女が3人もできちまう!!うっ・・・ふぅ。タマランチ山脈。



・・・・・・むっ!?も、勿論セリスの分も作るさ!除け者にしてたわけじゃねーし!何言ってんだよ!


・・・こえーよ!何で服選ぶのに夢中だった筈なのに、こっちを笑顔で見てんだよ!



まぁまぁ、そんなわけでございましてね。仕立てを頼もうと、従業員を捕まえて話しをした訳でございます。

ですが結果的には断念する事になりましたわ。


学園の制服は戦闘でも使われる事を想定してあって、魔法が付与されているらしい。まさか魔導具を学園の生徒全員に配っているとは。オシリ王国は太っ腹やなぁ。

だが僕が欲しいのはコスチュームその物。別に魔法なんて付与されてなくていいのだ。

それでも、制服のデザインが分かる物が、カティから送られてきた写真しかなく、これでは仕立てが出来ないと言われた。

更には、四着分のオーダーメイドの料金が、目玉が飛び出る程の金額だった。ちょっと小金持ちになったくらいでオーダーメイドとは浅はかな。完全に嘗めてましたわ。



一着だけでもなかなかの金額だし、これは諦めるしかないかぁ。

大人しく女の子達が選び終わるのを待とう・・・と思っていたところにある服が目に飛び込んできた。


こ、この服は・・・ま、まさか・・・。

そうかっ・・・!!ここはファンタジーの世界なんだ。なら当然この服がある筈だったんだよ!何で気付かないかなぁ・・・私としたことが!

ここにあるならオーダーメイドなんてしなくていいじゃないか。普通に買えるぞ。


さて・・・問題は誰に着させるのかだが・・・まぁ決まってるな。アイツしかいない。



「ルシル~、こっちおいで~。」

「!!? はいっ!!只今参ります!!」


セリス達が選んだ服を着るために、更衣室のような場所に居たルシルが声を上げる。そして次の瞬間には、僕の隣で片膝をついて待機していた。

コイツ、また魔法を使ったな。ドン引きする忠誠っぷりだ。

もうルシル以外ありえないなこの服は。


「ルシル、命令だ。」

「はいっ!なんなりとお申し付け下さい!!」

「これを着るんだ。もう他の服は着るんじゃないぞ。」

「は?・・・わ、我が主が選んでくださったのですか!ありがたき幸せにございます! ・・・えっと、これは・・・・・・侍女の服ですか?」


僕から服を受け取ったルシルがきょとんとしている。

僕が渡したのはメイド服だ。

紺と白の素晴らしいコントラスト。

そして、定番のロングスカートの方ですよ。ミニではありません。

個人的的にはロングが大好きなので構わんが、ミニも着せてみたいな。この世界の何処かにあるだろうか・・・まぁあるだろうな。



「メイド服だ。」

「え?は、はい。 ・・・あの、何故この服を?」

「萌えるからだ。」

「も・・・萌え?」

「いいか、ルシル。お前は今から僕のメイドだ!」

「は、はい?・・・確かに、今の私には相応しい服でございますね。しかし我が主・・・」

「ちっっがあああああああああうッッッ!!!!」

「っ!!?」

「私は今から我が主ではなぁぁぁい!!ご主人様だ!!!!」

「ご、ご主人・・・さま・・・。」

「メイドだ!メイドだ!お前はメイドになるのだ!!」

「あ、あの・・・我が主・・・?」

「ご主人様だって言ったろおおおォォォ! 来いっ!メイドの素晴らしさ!徹底的に教えてやるッッ!!!」

「あ、主様!まだ服を着てないので引っ張っては!あぁ!や、止めてくださいぃぃ~~!」


ルシルのくるまっている外套を引っ張り、ルシルを店の奥へと引きずっていく。

突然大声を上げだした僕に、セリス達も従業員達もポカーンとしていた。


うむ。突然な事ですまない。

だがとても大事な事なのだ。

これは私の夢・・・いや、世の男達全員の夢だ!

ファンタジーと言ったらメイド。メイドと言ったらファンタジー。

男なら!ファンタジーの世界に舞い降りたなら!メイドと共に過ごすファンタジーを送りたいではないか!!

うおおおおおおおおお!!!

俺のぉ!ありったけのぉ!萌えメイドの知識!全部もっていけエエエエェェェ!!!


「メイドにしてやるっ!世界一のメイドにしてやるぅぅぅぅぅ!!」

「ひ、ひいいぃぃぃ~~!ごめんなさいぃぃぃ~~~~っ!!」




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