表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/76

21話:触手道




翌日。

カティが王都に帰っていった。


僕が誘拐された事が気掛かりだったようで、学園に帰ったら魔法を頑張ると言っていた。特に回復魔法を覚えたいらしい。

まぁ、勇者ってどんなゲームでもだいたい万能だよな。

カティなら何でも出来るだろう。


それに、今やカティにはチートがついている。

・・・何か恐ろしくヤバい事をした気がするなぁ。

どうしよう。手が付けられなくなったとか言って、あっちの教師から苦情がきたりしないかな?

学園の生徒とかも大丈夫だろうか?

何も起きないよね?起きても僕のせいじゃ無いよ?知らないよ、遠く離れた王都で起きる事なんか。


別れる際には、案の定泣き付かれた。

涙と鼻水を撒き散らし、僕を連れて行くとしがみ付いてきた。

ゲバルド氏の物理的な説得で引き剥がしに掛かったが、上昇値3倍がついた勇者様の握力は凄まじく、僕の服が耐えられずにビリビリに破けてしまった。

いきなり朝っぱらから、公衆の面前でセクシーになってしまい、僕は最高に悲しい顔をする事になった。

申し訳なさと、セクシーリョウ君に魅力された勇者様は大人しくなり、ゲバルド氏と共に王都に旅立つ事になった。



アイツは何か問題を起こさないと気が済まないのだろうか?

静かになってせいせいする・・・って事はないな。

やっぱ寂しいものがある。

あっちの世界で、実の兄貴達が居なくなったってこんな気持ちにはならんだろう。

僕も一緒に連れて行く!ねぇ・・・。出来る事なら行きたいよそりゃ。


次に会うのは5年後か。

・・・なんかそんなに経たずに会いそうだな。いや、気のせいだ。

やっぱ暫くカティはいいわ。




カティが帰った翌日。

僕は、セリスとイムと一緒に街の外に行く事にした。勿論、レベル上げと魔法誑しの為である。


本当はエリオ達も一緒に行く筈だったのだが、ある人物が邪魔をしてきた。

まぁ・・・邪魔をしてきたって言っても、エリオは僕の物だ!って訳では無いんだが。



その人物はアンドニって奴だ。

孤児院の先輩で、年齢は16。こっちの世界では去年、成人になっている。

クラスはエリオと同じ“戦士”を授かっていて、身長も16歳にしてはかなりデカい男だ。


そのアンドニと他の先輩方2名がエリオとリタ、マルタを引き連れて冒険に行ってしまった。

僕はいらないとの事だ。

まぁ、頼まれたって行かんがな。



アンドニは勿論、冒険者ギルドの冒険者になっている。

持ち前の体格を活かし、期待の新人として注目の的なんだ。と、本人はいつも自慢している。

まぁ、嘘だとは思わん。

実際にいい身体もっていると思うし、戦士のクラスも授かっている。あんなのが目の前に現れたら魔物だってビビるだろう。


だがまぁ、いちいち自慢を聞くこっちの身にもなって欲しい。鬱陶しい事この上ない。

成人してんだから、さっさと孤児院から出て自立しろってんだ。


更に鬱陶しい事に、よく僕をからかって遊んでくるのだ。

勿論、アンドニも僕がへなちょこなのは知っている。

だからこそ馬鹿にしてくるし、修行と称してかわいがってくる。

イジメとも言う。

僕をからかってくるのは年上のおねいさんモン娘って決まってんだよ。調子に乗るなよ。



そんなマルスルナのジャ○アンこと、アンドニ君が目を付けたのが、エリオ・・・では無く、“賢者”のマルタだ。

将来、絶対大物になるであろうマルタに今から唾を付けておいて、パーティーメンバーにしたいのではないだろうか。


そもそも、レアクラスとまではいかないが、珍しいクラスの“魔法使い”や“僧侶”。

魔法に長けたクラスは、冒険者ギルドでも引っ張りだこなのだ。

そんな二つのクラスを併せ持つレアクラスで、伝説の勇者パーティーの一人

、デッカーと同じクラスである“賢者”を引き当てたマルタ。


今は火属性魔法とガ○ダムだけしか能がなく、他は素人に毛が生えた程度だが、将来魔法のエキスパートになること間違い無しだ。

アンドニじゃなくても、今から友好的になっておきたいもんだろう。



カティも学園じゃ引っ張りだこかもしれんな。

なんたって勇者様だ。

前に勇者が出たのが200年前でしょ?学園だけじゃなく、王都中で大騒ぎかも知れんな。

そりゃ〜どいつもこいつも仲間にしときたいだろう。勇者がパーティーに居たら、名が上がるどころか、伝説になって歴史に残っちゃうかも知れないもんな。


でも残念だったね、アンドニ君、冒険者のならず者達、学園の色気づいたDQN共。

どっちも僕にゾッコンなんだよね。

いや〜モテる男はつらいよね。僕が何もしてなくても、僕の溢れ出るフェロモンに女性達が引き寄せられるからな。


そして、私には女神ルナ様が与えたもうたレアクラス“魔物誑し”があるのですよ。

アンドニも馬鹿だよね。この私の素晴らしいクラスに気付かないなんてな。



確かにね。戦士であるエリオ、何かと便利な盗賊のリタ、賢者のマルタと、アンドニと他の先輩2名。

6人パーティーで冒険に出れれば十分ですよ。


リタとマルタは知らんが、エリオは修行とかで多少アンドニに世話になっているんじゃないかな?

いちおうあれでも先輩だし、冒険に誘われたら、そりゃ行くしかないでしょう。


・・・別にこれは一緒に行きたかった!悔しい!とかそんなんじゃないぞ?

誰が好きこのんで、人を馬鹿にする奴と冒険するやつがいるんだよ。あんなのと冒険するくらいなら、一人で行った方がマシだね。


それに僕にはセリスとイムが居るんだよ。

この二人よりアンドニと冒険するのを選ぶとか、どんな罰ゲームよ?

これからどんどんモン娘が増えるんだぜ?

アンドニが性転換して美少女になったって僕のパーティーには入れな・・・・・・いや・・・ありか?


・・・・・・い、いやいや。ないない!!どんな性癖を発揮させてんのよ僕は!

あー、危なかったー。アンドニに萌えを感じたら、もう僕おしまいだよ。




もうあんな木偶の坊とかどうでもいいよ。これからの明るい未来を考えようや。

僕には“魔物誑し”がある。そして、もっこりなモン娘が仲間になる事は確定的に明らか。


では、これからどんなモン娘が私の嫁になるか、予想してみようではないか。

無気力系巨乳美少女のイムちゃんの次ですよ。

次はそうだねぇ・・・ツンデレかな!?のじゃロリかな!?

あぁ!!のじゃロリ!のじゃロリがたまらん!!のじゃロリ欲しい!のじゃロリとか人間じゃ絶対無理だからな!それが!それがモン娘なら実現するかもしれんのですよ!!

よーし。次。次は絶対のじゃロリ。

もう決めたもん。

狐のモン娘を探そう。

絶対捕まえやる。逃がさん・・・のじゃロリだけは・・・。



「・・・・・・リョウ。セリス、また何処か行った。」

「・・・ん?そうかイム!お前も次は狐のモン娘がいいよな!?」

「・・・・・・どうでもいい。」


相変わらずクールな子だ。

いいよいいよ、隠さなくても。イムと僕は一心同体だから。次のモン娘はのじゃロリ狐っ娘だって思ってるよね。

思 っ て る よ ね。


「・・・・・・リョウの、好きにすればいい。・・・・・・でも、魔物は、イムだけで十分。」


そう言ってイムは、屋台に捕まっているセリスの方にプヨプヨと向かって行ってしまった。



・・・ん〜?

イムって他の魔物を仲間にするのは反対なのかな?

もしかしてモン娘がダメなのか?それは困る。ハーレム作れないじゃん。

・・・まぁ、もっこりに任せてモン娘モン娘って言ってるけど、まだ確信なんて無いのだが。


次は普通の魔物かもしれんしなぁ。それでも仲間にはするつもりなんだが。


・・・いや、普通の魔物かぁ・・・欲しいか?

1匹2匹とかならいいけどさ。


そういえばさぁ、イムはクラスを得てから2日で仲間になったんだよな?

こんなペースで魔物が仲間になったらどうするよ?

もし魔物誑しが、魔物使いより仲間になる確率が上がるクラスだったらどうする?収拾つかなくなるぞ?

これはもう魔物のサファリパークでも開いて余生を過ごすか?すっごーい!



「あら?イムさんも食べますか?パンにお野菜とお肉を挟んだ物ですよ。」

「・・・・・・たべる。」

「分かりました。店主さん、もう1つください。」


セリスが食べているのはサンドイッチ?みたいな物のようだ。イムの分まで買ってくれている。


固そうな丸いぱんを半分に切って、食材を挟んでいる。サンドイッチってよりはハンバーガーだろうか?


・・・随分ボリュームがあるもの食うなぁ。

うちは女性陣の方がよく食うよな。僕もあっちの世界に居た時はよく食う奴だったんだけどな。

こっちの世界に来てからは、あんまり食えなくなったんだよ。まぁ、全体的に飯のレベルが低いのもあるだろう。


・・・日本の飯が食いたいなぁ。

まぁ、無理なんですが・・・実は1つ期待している事がある。

オシリ王国の北に女神教の総本山がある国があるのだが、そこは食のレベルが凄いらしい。


・・・もしかして、ルナ様の影響なのだろうか?

あの神、日本中の甘いもんだーとか、パンケーキだーとか言ってたけど、こっちの世界であっちの世界の料理を持って来てるんじゃないよな?

ちょくちょく降臨してるって聞いたけど・・・あっ(察し)


って、なんで僕がこんな心配しなきゃいかんのだ?セリスがやれよ。他にも天使いるんだろ?

誰か止めろよ。あの神多分、無茶苦茶やってんぞ?



「あいよ。この子が食べるのかい?・・・変わった魔物だな。」

「・・・・・・。」

「はい。店主さん、銅貨3枚でしたね?ではイムさん、リョウさんのところに戻りましょう。今日は街の外に行きますからね。」

「ああ、毎度あり。気を付けてな。」


セリスが金を払って、イムを連れて戻って来る。

二人共、おニューの服を着ている。さっき服屋に行ってもらって買ったやつだ。


セリスは相変わらず布面積より肌面積の方が多い。何なんあのスリットから見える太股?ヘソもばっちり見せびらかしてるし。もう着てる方がエロいやん。

もうセリスは破廉恥な奴って事でいいな?大歓迎だ。

セリスが世の男共の視線を集めなくなる日は来るのだろうか?

・・・いや、無理だな。


そして当然のように被っているパーティー用の三角帽子。

なんだろう?僕が知らないだけで、凄く優秀な防具なのだろうか?

僕も被ろうか?・・・駄目だ。傍から見たらヤバい集団だぞ?



イムも今は自分のサイズに合ったワンピースを着ている。昨日のカティのワンピースはパツンパツンだったからな。

ちくしょう。女の子はもれなく身体ラインが浮き彫りになるエロいボディスーツを着ればいいのに(過激派)

だが今の服も肩紐が片方落ちていて素晴らしい。

あの肩を家宝にしたいが、イムはそれが問題ではない。


今のイムは・・・モン娘形態だ。

肌の色がスライム色、膝から下はスライムのまんま、膝から上が形だけの美少女。

だから下が履けないから、ワンピースを着ている訳で・・・


ん?履いてない・・・だと・・・と思ったあなた。

膝から下がスライムなので、パンツは履けます。あしからず。


とにかく、そんな普通だとあり得ない、ワンピースを着ているスライムが、街中を歩き、街の人と喋り、屋台でハンバーガーを買っている。


普通は大騒ぎになると思うじゃん?

僕も止めたよ?孤児院を出る時にさ。

おいおいおい!それで街中歩くのか!ってさ。

でもイムにもセリスにも無視されたんだよね。おじさん悲しい。


んで実際に街中を歩いてみると、何も無いんだよね。

確かに、魔物使いが居たら従魔を連れて歩いているだろうから、街中に魔物が居てもおかしく無いのだろう。

でも、イムみたいなモン娘形態になったスライムなんて居たらおかしいだろ?


しかし、街の人の反応はこうだ。さっきも屋台のにいちゃんが言った「変わった魔物だな。」だ。

その程度なのだ。

服屋の店員もそうだった。

モン娘形態のイムに、これが似合いますねとか言って服を合わせてるんだぞ?


いったい、どんな風に見られてるんだ?

魔物が喋ってるのはなんとも思わんのか?

昨日、カティもセリスもイムの変化にはビックリしていたと思うのだが・・・。


・・・まぁ、心配事が無くなったのはいい事なんだろう・・・か?

そう思うしか無いんじゃないか?都合がいいじゃん?考えても分からんし。

僕もモン娘形態のイムと一緒にいれるのは嬉しいしな。




いつもの脚フェチ門番に見送られて、街の外に出た。

脚フェチはイムの脚を見て、ちょっとがっかりしていた。

膝から下が無いもんね。仕方ないね。

でも、ガッツリ見ていたって事は太ももが良かったのかな?

なんて簡単には転ばない奴なんだ。糞どうでもいいけど。


今日も今日とて冒険に出たのは、レベル上げの為でもあるのだが、イムと一緒に戦うのを経験する為という理由もある。

イムの戦い方は、戦ったのである程度分かるが、対魔物、そして味方として戦うのは初めてであるので、慣れておこうって事だ。



「・・・・・・ぬおお〜〜。」


何故掛け声だけが勇ましいのか。

いやまぁ、勇ましいと言ってもワードだけで、声はやる気がないが。

喋れるようになった途端にこれである。

しかもやっている事は、遠くにいる爪ネズミにその場から動かず触手針で串刺しにしているだけという。

その掛け声は戦場に突っ込む戦士が出す掛け声だから。


「やはりイムさんの戦闘力は問題ありませんね。リョウさん。」

「うん・・・。まぁ、戦闘力はね。」


取り敢えずイムには、3匹ほど魔物を1人で狩ってもらった。

草原の魔物はイムには物足りないみたいだ。

遠距離から触手針でグサーで終わりだもんな。

伊達にそこの森が住処だった訳では無いと言う事か・・・ん?あれ?

スライムの生息地はこの草原だろ?

何で森に居たんだ?


「なぁ、イムは何で森に居たんだ?スライムの生息地はこの草原だろ?」

「リョウさん、別に魔物は生息地から出てはいけないという決まり事はありませんよ?殆んどが生息地で生活しているのは事実ですが。」

「いやセリス、それは知っているんだが、態々草原から離れたんだろ?何か理由があるのかなって・・・。」

「・・・・・・森の方が、ごはん、おいしい。」


・・・凄くどうでもいい理由だった。

いや、結構重要か。ご飯が旨いって。うん。




草原だと相手にならないらしいので、森の方に移動した。

・・・もうちょっと慎重に行きたいんだけどなぁ。

何でうちの女性陣はアグレッシブなのか。

僕は森の魔物どころか、草原の魔物とも満足に戦えないんですけど。


ただレベル上げの事を思うと森の方が圧倒的にいいだろう。

この森の奥、マーラ周辺やオシリ山の麓には、もっと強い魔物が出るらしいが、このメンバーじゃ流石に厳しいだろう。

・・・何でもかんでもオシリって付けるの止めませんか?



「・・・・・・ふんぬっ。」


もういいってソレ。気が抜けるから。

イムの手から伸ばした触手針が怪力ベアーの肩を突くが、その程度で3メートルある巨体は止まらない。

力任せに振り下ろされた怪力ベアーの腕にイムは潰されてしまう。


えええっ!避けないのっ!?

うおおいっ!イム、ぺしゃんこじゃねーか!!

ちょっと!いきなり1日目で従魔を失うとか嫌だぞ!!


「・・・・・・いたい。」


生きてた!!良かった!!

自慢の軟体で、怪力ベアーの腕から這い出て来る。


「この野郎ッ!!」


イムに攻撃して隙だらけな怪力ベアーの腕に、僕も銅の剣を振り下ろす・・・が、当然攻撃は通らない。

あまりの怪力ベアーの硬さに、剣を持つ事が出来ず、落としてしまった。



森に入って早々、厄介な魔物に出会してしまった。

こっちが見付けた頃にはもう遅かった。

怪力ベアーも此方を見ていたのだ。

ここにきて、リタとカティのありがたみが分かるとは。

やっぱ魔物に先制取れるのは強いわ。カティはちょっと怪しいけど。



剣を落とした事で、今度は僕に隙が生まれる。

怪力ベアーが此方を見る。

僕の頭の中に、HP3の文字がよぎる。

いや・・・死ぬじゃん・・・。


「・・・・・・ッッ!!」


僕のピンチに、声にならない気合いを入れたイムが、怪力ベアーに体当たりをぶちかます。

3メートルもある巨体が、イムの小さな体の体当たりでぐらつく。


「リョウさんッ!下がってくださいッ!!撃ちますッ!!」


撃ちます・・・魔法かっ!!

落とした剣を見捨ててイムの手を何とか掴み、怪力ベアーから必死に距離を取る。

怪力ベアーも腕を伸ばしてくるが、僕達に届く事は無く、セリスの風の塊を飛ばす魔法が当たる。

怪力ベアーの体が吹っ飛ぶ。僕とイムはまだ十分に距離は取れてなかった筈だが、風の魔法の余波がこっちにくる事は無かった。

不思議だが、魔法だからこんなものなんだろう。

それよりも、今は逃げるべきだ。多分怪力ベアーはあの程度では死なないだろう。


「セリスッ!逃げるぞ!草原までダッシュだ!!」

「えっ?・・・は、はいっ!!」


イムの腕を掴んだまま草原に向けて逃げて行く。

やっぱまだ早かったんだよ森は。

カティってやっぱ凄かったんだな。

ありがとうカティ。今度会ったらいっぱい可愛がろう。




「はぁ・・・はぁ・・・セリス・・・やっぱ草原でチマチマ頑張ろう。森はまた今度エリオ達が居る時だ。」

「・・・そうですか。リョウさんがそう言うのでしたら・・・。」


ふ、不満なのか?セリス。

嘘でしょ?めっちゃヤバかったと思うぞ?

セリスは余裕があるのかもしれんが、僕とイムは厳しいぞ。

セリスも僕達のカバーしながら戦うのはメンドイだろうに。


「い、イムはどうだった?つーか、さっきの叩きつけられたのは大丈夫なのか?」

「大丈夫。・・・・・・折れない心が、だいじ。」


そ、そうか。

こんなやる気無い顔してるのに、凄い気概がある奴だな。


「さっきの魔物はどうだ?・・・森。いけそうか?」

「・・・・・・むり。あれは勝ったこと、ない。」


ほら。

森に棲んでたイムが言うんだよ?

レア種でもやっぱりスライムなんだよ。熊には勝てないわ。

僕が偉そうに言えた事じゃないけど。


「そうですね。リョウさんのれべると言う物が積まれるまでは草原で頑張りましょう。」

「イムも、やる・・・・・・キリッ。」


セリスも分かってくれたようだ。

経験値の効率は落ちるだろうが、仕方ないだろう。

少数のフォレストウルフやクッコロオークなら問題ないんだろうけどな。

一昨日のような数で来られると絶対無理だし、怪力ベアーはもっと無理だ。


何より僕が足を引っ張りまくりだ。

ホントにさっさと戦えるようにしないと・・・。

もう5年同じ事言ってんだけどな。まるで成長せんぞ・・・。



「それより、イム。さっきは助かったよ。イムが体当たりしてくれなかったら危なかった。」

「どや顔。」


かわいい。

それ言うものじゃなくて、するものだから。


「しかし、イムの体当たりの威力は凄かったな。触手よりつよいんじゃないか?怪力ベアーが結構ダメージ食らってたぞ。」

「・・・・・・困ったら、たいあたり。・・・・・・これ、豆。」

「そうなのですか?・・・ふむ。私も試してみましょう。」


いや、セリスはしなくていいんじゃないかな。


・・・体当たりか。

僕の知ってるスライムってそんな戦い方だよな。

だいたい、体当たりするか、ブーメラン投げるか、毒針持ってるか、火を吹くよね?

・・・まぁ、あくまで僕のイメージですよ。イメージ。


そりゃ触手を出すスライムさんも居ますよ?

主にローパーさんとか、スキュラさんと触手界の覇権を争ってるんじゃないんですか?

あっちの世界では、僕の息子が随分世話になったもんですよ。ええ。


「うむ、仕方ない。私が触手の本当の使い方を教えてやろう。」

「ほんと?リョウ、凄い。・・・・・・イム、がんばる。」

「安心したまえ。私がもっこり界一の触手女王にしてあげよう。まずは粘液だ。触手をヌルヌルにさせないとな。できれば白色がいい。」

「ねんえき・・・・・・がんばって、覚える。」

「そして触手の形が重要だ。マーラ特産のポッチン茸というものがあってだな、それの形を真似するといい。そしてその触手の先からドピュッと粘液を・・・。」

「ポッチン茸・・・・・・ってなに?」

「ん?イム、今何て言った?もう一回言ってみなさい。出来れば茸を省いて繰り返し・・・。」

「・・・リョウさん、いい加減にしてください。」


何だよ。いいとこだったのに。

顔を真っ赤にしやがって、このムッツリ天使め。



「まぁ、冗談はこれくらいにしておこう。イム・・・火とか口から出せないのか?」

「・・・・・・??」

「リョウさん?冗談は止めたのでは無いのですか?」


くっ、冗談じゃ無くて本気なのに・・・。

何も口から光線出せって言ってんじゃないんだよ。どっかの宇宙人のハゲじゃあるまいし。


確かに、イムのステータスを見た時のとくぎの欄には、火を吹くのような物は無かった。

じゃあ吹けないのだろう。

あるいは他のレア種のスライムに会う事が出来れば、ソイツが火を吹く事が出来るのかも知れない。

まぁ可能性の話だし、別に火を吹くスライムに会いたい訳でもない。



「じゃあさ、武器とかはどうだ?何か使ってみたい武器とかはないか?」

「武器・・・ですか。リョウさん、それは素晴らしいアイデアですね。イムさんは人型になれるのですから、スライムでも人類の武器が使えるのですね。」


お?・・・お、おう。そうだよ。

膝から上は人間と同じだしな。武器が使えると思ったんだよ。

・・・そうだよな。どうやってまんまるスライム状態で武器なんか使うんだろうな。


「ぶき・・・・・・別に、ない。」

「じゃあ、ブーメランなんかどうだ?イムにぴったりだぞ?」

「・・・・・・リョウが、そういうなら。」

「ブーメランですか?私、さっき買いましたよ!イムさん!是非使ってください!!」


そう言ってセリスはアイテムボックスから、木でできたブーメランを取り出す。

さっきって・・・また屋台か?

この天使すぐ無駄遣いするな。

しかもそれ明らかに子供用の遊ぶやつじゃねーか!

武器じゃねーだろ!そんなもん魔物に投げたら一発で壊れるわ!



「ぶーめらん・・・・・・??」

「投げて使うんですよイムさん。屋台の店主に使い方を教わったので、私がお手本を見せます!!」


意気揚々とブーメランを構えるセリス。

そこに、謀ったようなタイミングでネットワームが現れる。


「丁度いい獲物ですね。いきます!ええぃっ!!」


力いっぱいネットワームに向かってブーメランを投げるセリス。

ブーメランはネットワームに向かって・・・いかず、手前の地面に勢いよく激突した。

そのまま壊れて破片を撒き散らし、あさっての方向にバウンドしていくブーメランだった物。

せっかく買ったブーメランは、わずか1投でバラバラになってしまった。



「あ・・・あぁ・・・。わ、私のブーメラン・・・。」


・・・うん。まぁ、僕は遊んだ事無いから知らんが、コツがいるんだろうね。

初めてなら仕方ないんじゃない?


「ほら、元気出せよセリス。新しいの買ってやるから。」

「・・・・・・どんまい。」


落ち込むのはいいが、こっちを敵視したネットワームをなんとかしてくれませんかね。

あっ・・・イムが串刺しにしたわ。



やっぱ強いな触手。

その場から動かなくていいのが凄い。

いつも眠たそうな目をしているイムには、ぴったりではないだろうか。


・・・その場から動かないなら、ブーメランはぴったりじゃないか?

やはり、スライムにブーメランという組み合わせは、非の打ち所がない完成された組み合わせだったのか!


ブーメランと触手針で、魔物から距離を取って戦う。

ええやんけ。

ただ、さっきの怪力ベアーみたいなパワーで攻めてくる大型の魔物が来たらどうするかな。

触手針だと攻撃力が足りないのだろうか?

ブーメランでなんとか補えればいいんだが。

イムのステータスはこれ以上あがらないらしいし、もうちょっと戦い方を考えなきゃいけないな。


火は吹けないって言うし・・・毒針は?

触手の先に毒針を持たせてさぁ、遠くからチクチクすればいいんだよ。

え?・・・強くね?

イムって触手は何本いけるんだろう?

それ全部、触手針の替わりに毒針持たせればいいんだよ。

おおぅ・・・ナイスアイデア・・・。

これは普通の魔物には真似できませんね。従魔じゃないとできない事だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ