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16話:棍棒を捨て、棍棒のような物で襲い掛かってくる




どうも。リョウ君です。おはようございます。


明日はカティが王都に帰る予定なので、今日が終わると暫く会えなくなる。

なので、今日はさっさと孤児院の仕事を済ませて、外に行こうという話になった。


今日はエリオ、リタ、マルタも一緒に行く事になった。

と言うのも、ディーノ氏が今朝早くに通行許可書を持って来てくれたからだ。

僕達の正式な許可書と一緒に、エリオ達の許可書も発行してくれた。

良い仕事するやんけ。ディーノ氏。

仕方ねぇから、ここぞという時に取っておいた、実兄の娘JS老舗の銭湯編を先に読む権利をやろう。



外に行く前に、昨日言っていたセリスとカティの武器を買いに、武器屋に寄って行く事になった。

王都の方が品揃えが良いだろうから、カティは無理に買わなくていいが、セリスは買わなければならない。


武器屋でセリスとカティが選んでいる間、昨日の出来事を知らない奴等に話してやった。


「ええっ!!黒い三戦士に会ったんですか!!」

「なんだ有名人なのか?・・・って、なんだマルタか。お前は知ってるんだろうな。」

「何でですか?でも、いいですねぇ。黒いさんれ・・・黒い三戦士に会ったんですか。私もお会いしたかったです!」


おい、お前。絶対間違うなよ!そこ大事なところだからな!絶対間違うなよ!



「誰それ〜?」

「僕もそんなに詳しくないしなぁ。でも、Bランクの冒険者って凄い人達だよ。」

「ふ〜ん〜。まぁ〜、ボクはおじさん達には興味無いかな〜。」


エリオとリタも知らない様子だ。

一応、Bランクパーティーだ!とか言ってたけど、昨日はあっさり負けてたしなぁ。

絡み方もチンピラ同然だったし。



「知らないんですかお二人共!?凄く格好いいんですよ!特に、三位一体の必殺フォーメーションのジェットストリー・・・。」

「分かった分かった。凄いよな。黒いさんれん・・・黒い三戦士は。」

「ンムーー!」


マルタの口を塞いでやる。それ以上はいけない。



「ファッ!!なんでリョウがマルタに抱きついてるの!?」


やかましい奴が帰って来た。

手には何も持っていない。


「これはマルタが悪ノリするから、身体を張って止めてたんだ。それより、カティは何も買わなかったのか?」

「なんだそうか・・・。あたしは王都で買うことにしたの。セリスは買ったよ。」

「私、何か悪いことしましたっけ・・・。」


自覚が無いとは危険な奴だ。

この物語を終わらせる程の事だと言うのに。

・・・ハッ!もしや、ラスボスはマルタであったか!


「マルタってさ〜。たまに変な格言っていうか〜。名言みたいなこと言うじゃん〜。あれって何なの〜?」


ナイスだ!リタ!

僕の知りたかった事を、あっさりと聞いてくれる!


「変なって・・・。あれは、お母さんが残してくれた本の中にあった戦術書に書いてあるんです。私は戦術も学びたかったので、一生懸命それを読みました!!・・・ただ、意味はよく分からないんですよね。言葉自体は覚えたのですが・・・。」


マルタの母ちゃん・・・何て物残してるのよ・・・。

つーか、何処から調達したのよ?

これもあっちの世界から来た物なんだろうか?

はたまた偶然か?

いや・・・関わりたくねぇ・・・。



「それより!カティナちゃん!!黒い三戦士に会ったのは本当ですか!?」

「え?誰それ?」

「もうっ(*`Д´)ノ!!何でみんな知らないんですか!?他にもAランク冒険者の、“真っ赤な水星”のキャンベルさんとか、“青白い巨星”のルンバさんとか!いっぱい格好いい人達が居るんですよ!!」


いや、誰だよ。無意味にキャラを増やすんじゃない。

ただ青白い巨星のルンバは凄く気になるな。ロボット掃除機かよ。



「すみません。お待たせしました。」


セリスがやっと武器屋から出て来る。

待ったよキミ。凄く待った。

おかげで、出演予定も無い脇役が二人も増えたじゃないか。


セリスは何も持っていないが・・・?


「あぁ、アイテムボックスを持っているんだったな。」

「ええ。もう仕舞ってしまいました。鉄のハルバードと銅の剣を買わせて貰いました。お釣りは・・・。」

「昨日も言ったろ。セリスが持っていてくれ。それに、アイテムボックスが有るんなら、そっちの方が安全だろ。」

「そうですか・・・。分かりました。預かっておきます。」


セリスの金だって言ってるのに・・・。まぁ、いいか。






買い物も終わったらしいので、街の外に向かう・・・のだが。


「綺麗ですねぇ。これが全部手作りなんですか?」

「そうだね〜。セリスさんは〜、コレなんか似合うんじゃない〜?」

「素敵ですよ。セリスさん。」

「あたしも何か買おっかな!」


うちの女の子共と男の娘が、アクセサリーの露店に引っ掛かって動かないです。

関わりたくないので、エリオと遠くで見守ることにする。



「う〜ん。女の子ってどうしてあんなに買い物が好きなんだろうね?」

「知らんよ。まぁ、カティは今日が最後だし、いいんじゃねぇか?」

「そうだね。・・・リョウ。昨日の狩りで、クラスの事は分かった?」


エリオもなんだかんだ心配してくれていたか。



「いや、何も分からんかった。昨日は“魔物誑し”の誑しを調べる為にハーピーを中心に色々試したが、全く手応えが無かったよ。」

「そうかぁ・・・。うん、まぁ、気長に行こうよ。今日から僕も外に出れるから、協力するよ。修業にもなるし。」

「ありがとうな。・・・なぁ、エリオは魔物誑し、何だと思う?」

「そうだねぇ。魔物が関係してるのは間違いないかな。でも、昨日は“誑し”の部分を試してみたんでしょ?・・・なんだろ?経験が足りないとか?ほら、僕達ってクラス貰ったばっかりだし。まだ僕も戦士って実感がわかないしさ。」



クラスを貰ったばっかり・・・?

経験・・・・・・そうか!経験・・・経験値か!!


RPGでよくある経験値だ!

僕には、レベルが足らねぇんだ!

もしくは、クラスの熟練度が足らないのか。

そうだよ。RPGでスキルとか必殺技を習得するには、レベルとか熟練度を上げないと駄目なんだ。


僕はまだ、“魔物誑し”のスキルを何も習得していない状態なんだ。

レベルや熟練度を上げるには、勿論・・・魔物を倒せばいいんだ。



「エリオット君。君はいつかヤル男だと思っていたよ。最近、影薄いなとか思っててごめんな。」

「・・・まぁ、役に立てたなら嬉しいよ。」


何でこんな事気がつかなかったんだろう。

そうと決まれば、さっさと外でレベル上げだ。

カティ達にどんどん魔物を狩ってもらったら・・・あれ?自分で狩らなくても経験値って貰えるよね?


今までも僕は、満足に魔物を倒した事はない。

いやまぁ、攻撃には参加している。

それで経験値が入っているのだろうか?

普通、パーティー組んで魔物を倒したら、経験値は入るよね。

ただ、パーティーを組んでって言っても、口約束だけだ。正式に組んだ訳ではない。


そもそも、パーティーを正式に組むってどうやるんだ?

昨日会った黒い三戦士。あいつらは、冒険者ギルドのB級パーティーだと言っていたな。

冒険者ギルドで正式にパーティーを組めるんだろうか?



「リョウ〜!コレどうかな?似合ってる?」


カティがこっちに駆け寄って来る。

まだ選んでたのか。つーか、商品を勝手に持ってくるんじゃないよ。

後、女心を考えなくて悪いが、ひじょーにどうでもいいのです。さっさと終わらせてしまおう。


「馬鹿。買ってもないのに持ってくるな。」

「むー!・・・だって・・・。」

「ほらっ、一緒に見てやるから戻るぞ。」

「うんっ!」


やれやれ。本当にコイツが、世界を救うようなクラスを持っている奴なんだろうか。

馬鹿過ぎる。




結局、4人分買わされてしまった・・・。

露天商のおねいさんが安くしてくれたらしいが、銀貨5枚が消えていった。

本当に安くしてくれたんだろうか?相場が分からん。

それにお前、僕ってまだ働いてないぞ?孤児だぞ?

そんなやつから銀貨5枚も払わせます?


・・・まぁ、みんな喜んでいるので良いでしょう。

変態おやぢ達から小遣い稼いでてよかった。えらい出費だぞ?


街の門を抜けて、外に出る。

今日の門番は、普通の人だった。

よかった。変態門番はこの街にはいなかったんだね。

まぁ、反対側の門なので当たり前だが。



外に出てすぐにネットワームの団体を見つけたので、うちの特攻隊の二人が突っ込んで行った。


「ぬお〜〜!私の糧になれ〜!!」

「よーし、行くよ!カティナ!」

「あっ・・・。まぁ、大丈夫ですね。」


遂にマルタも諦めたらしい。

諦めたら試合終了だぞ?


「あの突っ込み癖は直さないといけないな。」

「そうだね〜。ついて行けないもん〜。」


リタは面倒くさいだけだろ?


カティは学園でもあんなのだったのかな?

クラスメイトが可哀想だな。


「ふふっ。皆さんと冒険に出れて、楽しいのではないですか?」

「ん〜。まぁ、それもあるだろうな。」


昨日、セリスと冒険してた時は、まだ自重してたもんな。

ゲバルド氏から、勇者としてセリスを守れって言われてたからなのかな?

だとしたら今もそうだと思うんだけど?

テンションが振り切れてるのか?メンドクサ。



「おっとそうだ。マルタ、パーティーについて何か知ってるか?」

「パーティーですか?冒険者ギルドで登録すればいいのでは?」

「それって、冒険者ギルドに入ってからだろ?」

「そうですね。でも、別にパーティー登録しなくても、一緒に冒険には行けますよ?パーティー登録する人達は、チームで名を上げたい人達だけです。」

「その時々でパーティーを組む人も多いらしいよ〜。それに、ず〜っと長い間パーティー組んでる人達でも〜、パーティー登録なんてしない人も多いらしいし〜。」


リタは捕捉を入れてくる。リタも結構詳しいんだな。


そうか。パーティー登録する奴は変わり者ってことか?

黒い三戦士を見てればそう思えるな。

孤児院のコニーさんもたしか、6人組のおねいさんだらけのパーティーだった筈だ。

結構美人揃いなんだが、僕のもっこりが反応しないんですよ。すみません。


「んふふ〜〜。なぁに〜、リョウ。ボクとのパーティーそんなに早く登録したかったの〜?別にパーティー登録なんてしなくても〜、逃げたりしないって〜♡」

「あ、はい。そっすね。」


クネクネすんな。

そんな事より、もう1つ気になる事がある。



「もう1つ気になる事があるんだが。経験値はどうやって稼ぐんだ?」

「経験値?・・・経験値ですか?・・・練習をすればいいのではないでしょうか?」

「経験値〜?腕を磨けばいいんでしょ〜?」


マルタもリタも分かってないようだ。


「いや、そういう経験値ではなくてだな・・・。」


いや、ゲーム的な経験値ってどう説明するんだ?

敵を倒したら貰えて、一定数集まるとレベルが上がりますって?

この世界の人間に伝わる訳ねぇだろ!



「セリスは分かるか?・・・って、居ねぇ。さっきまで居たのに。」

「セリスさんもあっちに行きましたよ。」


今は3人でウマシカを追いかけていた。

・・・まぁ、二人が分からねぇとなると、経験値って概念は無いのかもな。

それとも、知らないだけで在るのかもしれないが。


経験値の存在が分からねぇとなると、パーティーの存在もどうでもよくなるな。

理想としては、一緒に戦っていれば経験値が貰えて、レベルがどんどん上がっていく。って感じなんだが。



「セリスさんってアグレッシブな方なんですね。」

「そうかな・・・そうかもしれん。」

「ねぇ〜?セリスさん〜、なんで三角帽子被ってるの〜?」


本当だ。また被ってるよ・・・。

いつも着けてる兜まで外して被ってる。

なんなの?気に入ったの?何の効果があるの?




気が済んだ様子の3人を連れて、今度は森の方に行く。

カティとセリスが物足りないと言うので行く事になった。

なんなの?戦闘民族なの?スーパー戦闘民族?

他の3人は不安そうだが、昨日は森で狩りをしていたと言うと、安心したようだ。


「・・・前方に〜、フォレストウルフが4匹〜。発見だよ〜。」


一番前を歩いていたリタが、手で皆に止まるように合図を出し、小声で囁く。


マジかよ。全然分かんねぇけど・・・リタが言うならそうなんだろうな。

あっちの世界で、狼より先に人間が見付けるなんて事あるか?

まぁ、狼なんか会った事ないけど。


リタの役割はクラス貰っても変わらないな。

むしろ、こんな役割だったから“盗賊”のクラスを貰ったんだろうな。


しかし、フォレストウルフかぁ。

嫌な記憶が蘇るぜ。

彼奴等には脚を噛まれたからな。リベンジだな。

“魔物誑し”の真髄を見せてやろう。



「あとね〜・・・」

「リタ!あっちにクッコロオークが居るじゃないっ!」

「いや〜、声大きい〜・・・あ〜、見つかっちゃったよ〜。」


ハァァーッ!!?何やっとんじゃぁぁ!!この馬鹿(カティ)はぁぁぁぁ!!


「おぃぃ!!余計な事してんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

「どうせまとめて倒すんだから良いじゃない!」

「良くねーわ!!なんの為に先に見付けたんだよッ!!」

「二人共、そこまでです!リタちゃん!敵は何匹ですか?」


マルタの喝が入り、作戦を練り始める。


「正面からウルフ4匹〜、右からオーク3匹〜!」

「では、クッコロオークをエリオ君とリョウ君で足止めを!私が援護します!残りの方はフォレストウルフを素早く片付けてください!」

「分かった!行くよリョウ!!」

「え?ぼ、僕?」

「来ますよッ!!」


セリスの声が響いた時には、敵は僕でも目視出来るとこまで来ていた。

嘘だろ!スライムすら倒せないんだぞ!クッコロオークとか無理だって!




クッコロオークは皆も知ってる、女騎士が大好物な、お肉ぶよぶよの竿役の方である!

コイツらとは良い酒が飲めそうだが、今は殺し合いだ。油断なんて出来ない。

名前がヤバいが、これは普通のオークも居るからだ。


・・・だからってクッコロってどーよ?

僕が勝手に名付けた訳じゃないよ?こっちの世界の人が付けたんだからな?


オークの方は筋骨隆々のマッチョで、戦闘狂の方らしい。

あっちの世界のファンタジーでのオークは、この二種類をよく見たりするが、こっちの世界では両方居るらしい。


当然、オークよりクッコロオークの方が弱いが、身長2メートル以上あって凄い横幅の巨漢が、棍棒持って襲って来るのだ。

ヤベェって。足止めとか無理だよ。

2秒でぺしゃんこだよ。



遂に僕の目の前にクッコロオークが現れる。

涎を垂らしながら、醜悪な顔でこちらを見下げてくる。


エリオの方に2匹行ってしまったが、エリオは上手く捌いているようだ。

マジかよ。アイツ凄いんだな。

出来れば、もう1匹も・・・無理っすよね・・・。



クッコロオークはニヤニヤしながら、棍棒を振り上げる。

舐められているのか?

クソッ!!ふざけやがって!


クッコロオークが棍棒を振り下ろす!

そんな大振り当たる方が難しいわっ!

僕は素早く右にステップして避ける。

棍棒が地面に叩きつけられ、地面が揺れた。

なんとか踏ん張り、持っていた銅の剣でぶよぶよの腹を斬る!

馬鹿め!舐めてるからだっ!


クッコロオークの腹から血が出て・・・出て・・・出てない!!

ダメージを受けている様子は全く無い。

今度は棍棒を横薙ぎに振るってくる!


「ひっ・・・。」


間一髪でしゃがむ事ができた。

髪の毛数本もっていかれた。

この野郎!貴重な髪の毛を!!この世界でも禿げたらどうする気だ!!


「ブフゥッ、ブヒーーー!!」


2発も避けられて、気が立ったようだ。

棍棒を振り回してくる。

僕はなんとか地面を転がって逃げる。

体勢を立て直して、剣を構え直す。

駄目だ。防戦一方だし、こちらの攻撃は通る気がしない。



「くっ・・・殺せっ!!」


何を言っているんだ僕は。

それ全然助かるセリフじゃないから!


「ブヒッ、ブヒッ!」


何か喜んでるぞコイツ。

さっきのセリフか?いや僕全然、女騎士とかじゃないし。

うわっ!おっ立ってるじゃん。

コイツ男でもいいのかよ。壊れるなぁ。


あれ?もしかしてこれって、“魔物誑し”の効果か?

い、いや。そんな訳ない。

クッコロオークに好かれてどうするんだよ。絶対認めないからな!

大体クッコロオークは、名前の通り女を拐って苗床するのは有名だ。

男に発情するって話も聞く。・・・やっぱ聞くんじゃないか!(絶望)

見境ないんだよ。魔物誑しのせいじゃないって!



クッコロオークが棍棒を捨て、僕に掴みかかろうとする。

マジでお持ち帰りする気か!

ウゲェ!良い酒が飲めそうだと言ったが、そんな趣味はねぇ!


クッコロオークが僕の剣の間合いに入ろうとしたその時だった。


「させませんっ!!」


セリスがハルバードの先端のニードル部分で、クッコロオークの耳の穴を的確に狙い、脳を突く。


「ブギィィィィィィィィッッ!!」


クッコロオークが痛さに叫ぶが、セリスはハルバードを素早く抜き、次は三日月型の斧部分で、首を目掛けて斬りつける。


あまりセリスには似合わない、大振りの力のこもった攻撃だ。

大型のハルバード故に必要な事なのか、クッコロオークの肉を斬り裂くにはこれぐらいの攻撃が必要なのかは分からない。

だが、クッコロオークの首を斬り飛ばすのには成功した。

頭を無くしたクッコロオークは、血を吹き出しながら地面に倒れた。



「リョウさん!無事ですか!?」

「あ、あぁ・・・すまん。助かったわ・・・。」


僕は気が抜け、その場に座り込んで深く息を吐いた。


あ!落ち着いてる場合じゃない!!他の魔物は・・・。

フォレストウルフは後2匹、カティとリタが相手をしている。

エリオが相手をしていたクッコロオークも、1匹は丸焦げで倒れていて、後1匹だ。

マルタの魔法だろうか?なかなかエグいな。


「そうですか。間に合って良かった・・・。」

「い、いや!セリス!他のところに行ってやってくれ!」

「え?・・・え、ええ。そうですね。フォレストウルフは1匹倒したようですね。エリオットさんを助けます。」

「あぁ。頼む。」


セリスがエリオの方に向かっていった。




・・・・・・はぁ。終わった・・・。

ヤバい。全然戦えない。

足引っ張りまくりだ。


くそっ!クラス貰えたら強くなるんじゃ無いのかよ・・・。

でも、攻撃をそこそこ避けてる気がするな。

・・・少しは強くなってんのか。



魔物はもう全部倒したらしい。

僕とマルタ以外で魔石を取っている。


「リョウ君、どうしたんですかさっきの戦いは?もしかして、戦いの中で戦いを・・・。」

「忘れてねぇよ。・・・もう言いたいだけだろソレ。意味分かんないし。」

「い、いえ。そんな事は・・・。昔から思っていたんですけど、リョウ君って、私のお母さんの戦術書の内容をよく知っていますよね。」

「いや、お前の母ちゃんは知らんが・・・まぁ、この事はもういいだろ。」

「は、はぁ・・・。それよりリョウ君、クッコロオークはどうしましょう。」


クッコロオークかぁ。旨いんだよなぁ。

あっちの世界で言う豚肉みたいな物だ。そりゃ旨いさ。


「そりゃ持って帰れればいいが・・・、こんな巨漢持ってこの後の狩りなんか出来ないだろ。」

「そうですよね。諦めましょうか?」

「そうだな・・・。それはそれとして、マルタ。お前、森の中で火の魔法なんか使うなよ。」

「・・・すみません。打ってから気付きました・・・。」


まぁ、失敗は誰にでもあるさ。

それに、戦闘では役に立ってないし、今も魔物を解体出来ないから他の人にやって貰ってるし。

全然偉そうな事言えないんだよな・・・。



「リョウさん。私のアイテムボックスにクッコロオークを入れましょうか?1匹なら入りますよ。」

「そうなのか?じゃあ頼むわ。」


魔石の回収を終えたセリスがそう言い、先程自分が倒したクッコロオークに触れる。

すると、あら不思議。クッコロオークが消えたではありませんか!


「うわぁ。凄い!一瞬で無くなったよ!」

「さっきも一瞬で武器出してたけど〜、凄い便利だね〜。いいな〜、ボクも欲しいな〜。」


カティとリタが羨ましそうに、セリスの腕輪をみる。

そういえば、まだ見て無かったな。セリスのアイテムボックス。

腕輪型なのか。


「高名な冒険者かお金持ちの方しか持ってないですからね。セリスさん、そのアイテムボックスはどれくらい入るのですか?」

「そうですね・・・。小さな倉庫位でしょうか・・・。さっきウマシカを入れたので、クッコロオークは1匹しか入れれません。」


マルタが気になる容量を聞いてくれた。


そうかぁ。広いと言えば広いが、魔物なんかを入れるとすぐ一杯になるなら、ちょっと不便な広さかもな。

僕も欲しいよアイテムボックス。

普通、異世界転生したらデフォルトで付いてるだろ。

しっかりしろよ、ゲス女神。



「助かりました、セリスさん。・・・しかし、残りのクッコロオークは放置かぁ。勿体ないね。」

「仕方ないよ〜エリオ〜。持って歩けないもん〜。」


狩った魔物を持って帰る前提の冒険者なんかは、荷車や馬車を持ってきて狩りをするらしい。

リタが言うように、当然今日は持ってきて無い。


持って帰らない魔物は、魔石を取ってその場に放置だ。

そんな事を繰り返せば、冒険者の通った後は魔物の死体で不衛生ではないかと思うかもしれないが、実は魔物は、魔石を取り出すと綺麗さっぱり消えてしまうのだ。

個体差はあるが、魔石を取ると10分位で空気中に霧散してしまう。

どんな仕組みなのかさっぱり分からんが、魔力から生まれた存在だからなんだろう。

考えても分からんので、死体の処理をしなくてよくて便利じゃん!って事でいいじゃない。


魔石を取り出さないと、死体はそのまま存在する。

持って帰って食料にする。武器防具の素材にする。などの場合は、魔石を取り出さないようにすればいい。

ただ、普通の動物と同様に腐るので、魔法で凍らせたり、臓器を処理する必要があるらしいが。


しかし、それらの処理が必要無い方法がある。

それがアイテムボックスよ。

アイテムボックスの中は時が止まっているので、何日、何年置いておいても腐る事はない。

素晴らしい。ビバ!アイテムボックス!だから僕にもくれ。



「クッコロオークを捨てるのも勿体無いわ!休憩がてら、焼いて食べましょ!」

「あ〜・・・。いいな、それも。」


たまにはカティも良い事言うじゃないか。

だいたい、コイツのせいで疲れてるんだけどな。


「では、近くに翡翠の湖がありますし、そこで休憩しますか?」

「そうだな、マルタ。魔力スポットなら安全だろう。じゃあ、カティ。クッコロオーク頼むわ。」

「任せて!・・・ヨイショ。」


マジか・・・。冗談で言ったのに・・・1人で背負ったぞ。

どんだけ人間離れした力持ってんのよ。勇者ってスゲェな。

大丈夫かな?あんまり邪険に接っしてたら、プチッと潰されたりしないよね?


「リタさん。クッコロオークは美味しいのですか?」

「ん〜。美味しいよ〜。セリスさん食べた事ないの〜?」

「はい。楽しみです。」


いつの間にかこの天使は腹ペコキャラですね。




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