第十二章:団体訓練と仲間の力
ギルドの訓練場は、朝からざわめいていた。今日の訓練は「団体戦」。
三人一組で行われる模擬戦形式で、仮登録者同士がパーティーを組み、互いに連携や実戦力を試す内容だ。
「いよいよか……団体戦」
リクトが腰の剣を調整しながら呟いた。
その隣では、セナが魔道具の準備をしており、ファナは静かに深呼吸をしていた。
「……少し、緊張してる?」
セナが声をかけると、ファナは小さく頷いた。
「うん。でも、大丈夫。二人が一緒なら、怖くない」
「へっ、頼もしいじゃねえか。俺が盾になるから、お前は安心して飛び込んでこい」
「うん、カイルおにーさんに教えてもらった技、使ってみるね」
ファナは腰の短剣をそっと握った。今日は、初めて「戦うこと」を正面から問われる日でもある。
模擬戦は三つのグループが順に当たり合うトーナメント方式で進められた。ファナたちは「第二区画」で、先に試合を終えた他のチームがその様子を見守っている。
「いくぞ、始め!」
審判の号令と同時に、戦いが始まった。
相手チームは、長槍を扱う少年を中心に、後衛に回復役、そして敏捷型の双剣使いの三人。バランスの良い編成だった。
「ファナ、右にくるぞ!」
リクトが叫び、ファナが飛び退く。間一髪、双剣の一撃が空を切った。
「リクト、相手の前衛は僕が止める。ファナ、右を!」
セナが防御魔法を展開し、敵の前衛の槍を受け止める。すかさずファナが機動力を生かして回り込み、敵の後衛へプレッシャーをかける。
「ごめんね……!」
迷いなく動いた一撃が、後衛の肩口に軽く触れた。
「後衛、戦闘不能!」
審判の声が響く。
「──よし!」
リクトが正面から槍を弾き、相手の体勢を崩したところへ、セナが小さな魔弾を放つ。
続いてファナが背後から駆けつけ、三人で敵の前衛を包囲する。
「三対一は分が悪いぜ!」
最後の敵が降参の意思を示し、戦いは終了した。
「……勝ったんだよね、私たち」
「勝ったな。作戦通り……ってわけでもなかったが」
「ううん、リクトのおかげ。最初の指示、助かった」
「……ああ、そっか。ま、まあな! 当たり前だろ!」
リクトは照れ隠しにそっぽを向いたが、その耳は赤く染まっていた。
セナはそんなふたりを見て、微笑を浮かべた。
「君たち、いいコンビだよ。少しだけ、嫉妬しちゃうかも」
「え……?」
ファナが戸惑ったように首を傾げるが、セナはそれ以上何も言わなかった。
その日の訓練後、ギルドの一角で職員が評価をまとめていた。
「──ファナ・ラムゼリア、リクト・アレン、セナ・ヴィレイ。三人の連携は良好。個々の役割も明確」
「課題はありますか?」
「ファナはまだ防御面に不安があるな。もう少し前衛との連携に慣れれば、十分にFランク相当」
その評価は、次に控える仮登録最終試験へと繋がっていく──




