14.受付嬢による特訓
菜々乃と那奈耶は、作者の別作品のキャラの子供です。
……が、読まなくても何かフワッと分かる程度に描写しているつもりです。
(武巌原 軍破視点)
オレ達が神魔タウルスを倒してから丸7日が経過し、元の平穏が戻って来た今日この頃。
……な~んて、ほのぼのとしたモノローグを思い浮かべれたらどれだけ良かった事かァ。
「ハァ……んで、最近の天魔出現率の大幅な上昇は何がどうなってんだァ?」
「う~ん……やっぱり、こないだの神魔タウルス討伐がもたらした影響が大きいやろな~」
長年に渡って討伐出来なかった〈災厄〉の一角、神魔タウルスを倒した影響は何も良い事ばっかじゃなかったんだなァ~、これがァ。
「……つまり、本格的に人類は奴等の"敵"と認定されちまった訳かァ」
「これまでの"粛清対象"から倒すべき"敵"に認識が改まったんは痛いわ~。……今後は向こうも本気で来るっちゅう事やんか……」
「あァ~、頭が痛ェ……」
「同じくや……」
神魔タウルス戦に駆り出さなかった魔法少女共を動員して何とか対処してるが、如何せん敵の数が多過ぎるなァ……
あの3人が単体でもう少し使えりゃ良いんだが、あいつ等そんなに強くねぇし……
特に時子とレベッカに至っては、昨日ようやく退院した病み上がりだァ。
……あの未知の力、医者の言葉を聞く限りでは相当肉体への負担がデカかったみてぇだしなァ……
「となると、もう手は残されてねぇかァ……あいつの特訓でどんだけ変わるか、だなァ……」
「せやけど、あっちもあっちで色々と未知数なんやよな~。……そもそもあの2人、ラビィリンはんの推薦で入れたから戸籍なんかも確認出来とらんし……」
「ま、それでもここは任せるのが得策かもなァ」
「うぅ……後で後悔しそうやわ……」
さてさて、鬼が出るか蛇が出るか……
あの3人がもうちょっとだけでも強くなってくれりゃ良いんだがなァ……
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(天草 時子視点)
あの神魔タウルスとの決戦から丸7日。
昨日、私とレベッカちゃんは未知の力を使った影響による入院生活とようやくおさらばする事が出来た訳ですが……
入院中は王魅ちゃんすらもお見舞いに来てくれませんでしたし、病院食は昔ながらの質素かつ薄味なものばかりでしたしで、もう嫌になる生活でした。
……そして、今日になって王魅ちゃんと話そうとしたら何故か逃げられるしで……
もう踏んだり蹴ったりです。
が、不運?はそれで終わりませんでした。
「時子、王魅、レベッカ……私が直々に特訓を担当してやるニャンから感謝しろニャン!」
……何故か菜々乃ちゃんが私達の特訓を担当する事になったのです。
というか菜々乃ちゃん、もう完全に私達相手には素を見せてる上に呼び捨てですか……
あ、今私達はそこそこ広い屋内運動場に4人だけでポツンと居る訳ですが……
え、本当に菜々乃ちゃんで大丈夫ですか?
「あの、菜々乃ちゃ……」
「特訓中はコーチと呼べニャン!」
「は、はい!……コーチ、私達はいったい何をさせられるんでしょうか?」
「ニャン?……ただの実戦訓練だニャンが?」
へ?
じ、実戦訓練!?
菜々乃ちゃんって魔法少女でもなければ戦闘要員ですらありませんでしたよね!?
本当に大丈夫ですか!?
「えっと、コーチって戦えたんですか?」
「当たり前だニャン!……少なくとも、お前達3人に負ける程ヤワじゃねぇニャン!」
ほ、本当ですか?
……まあ、これ以上は何も言いませんが。
それはそうと……
「な、何で私まで……なのだわ!」
「ま~ま~、良いじゃないデスか~」
「……私もレベッカちゃんも病み上がりだった筈なんですけどね~?」
王魅ちゃんは無理矢理ここに連れて来られて絶賛不機嫌ですし、私とレベッカちゃんは病み上がりで本調子ではありませんし……
「ま、そのリハビリも兼ねて……魔法少女に変身した上で私の肉体に1度でも攻撃を当てたら終わりにしてやるニャン。……ただし、そっちも3人全員が私から肉体に一撃貰っちまえば特訓継続だニャン!」
「……速攻で終わらせるのだわ!」
「やってやりマショ~!」
「や、やり過ぎない様にしましょうね!?」
この時、私達は3人とも勝つ気満々でした。
いくら私とレベッカちゃんが退院したての病み上がりだからって、魔法少女でもない相手に負けるとは思えなかったのもありますが……
心の何処かで、魔法少女ではない菜々乃ちゃんを見下していたのでしょうか?
「【魔装変身】です!」
「【魔装変身】なのだわ!」
「【魔装変身】デ~ス!」
私達3人は魔法少女としての姿へと変身し、早々に菜々乃ちゃんへと怪我しない程度の攻撃を当てようとしました。
……しかし、この認識が間違いだった事に気付くのにそう時間はかかりませんでした。
「【女王・手加減の鞭】なのだわ!」
ーブンッ!
「【弾丸・ゴム弾4連射】デ~ス!」
ーダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
王魅ちゃんの鞭と、レベッカちゃんの弾丸。
2人とも手加減していますが、あの軌道は間違いなく菜々乃ちゃんに当たる……
そう、確信していたのですが……
「遅ぇニャン……ふん!」
ーバチバチバチバチバチィィィィィィィィン!
「「「……は?」」」
いやその……えっ?
な、菜々乃ちゃんが王魅ちゃんとレベッカちゃんの攻撃を、右手に掲げたハリセンで払い落としてしまいました……
……自分で考えててどういう事か分からなくなって来ました……
「ニャンニャン。……このハリセンを甘く見ちゃ駄目だニャン!……これは"神に匹敵する存在"が私にベタベタ接触して来る度、私がツッコミ兼カウンターとして振るって"神に匹敵する存在"をシバき倒して来た数年来の愛用品なんだニャンが……そうしてる内に、このハリセン自体が割とヤバめの代物に変化しちまったニャン!」
「……何の何で何なのですか!?」
言ってる事が1つも理解出来ません。
どうして叔母さんをハリセンでシバき倒してたら、そのハリセンが魔法すら払い落とす代物になるんですか!?
「ま、これは防御面の話だニャン。……攻撃面に関しては、私が幼い頃から長年ナンドレア大叔父様に教えて貰った武術を見せてやるニャン!……という訳で【獣化】だニャン!」
ーフッ……シュン!シュン!シュン!シュン!
「「「っ!?」」」
ハリセンについて解説?を終えた菜々乃ちゃんは、次の瞬間には目に見えない程の超スピードで私達の周囲を縦横無尽に動き始めました。
……それと、一瞬だけですが菜々乃ちゃんの顔やら手足やらが猫っぽくなってた気がするのは……気のせいですかね?
「ね、狙いが定まらないのだわ!」
「っ!……そこデ~ス!……【弾丸・ゴム弾1発】デ~ス!」
ーダンッ!
「遅ぇニャン!」
ースカッ……
「なっ!?」
菜々乃ちゃんの武器と言えるものは、レベッカちゃんの弾丸ですら捉えられない超スピードに、魔法すら払い落とす不思議なハリセン……
これをどうにかしないと、なんて思っていると……
「隙ありだニャン!」
ーバチィィィィィィィィン!
「……なのだわ!?」
「「っ!?」」
王魅ちゃんがハリセンで叩かれてしまいました。
残り2人、絶対にこれ以上は……
「どこ見てるニャン?」
ーバチィィィィィィィィン!
「デスっ!?」
……ああ、そう考えたそばからレベッカちゃんもハリセンで叩かれてしまいました……
こ、こうなったら……
「【時間・遅延再生】を菜々乃ちゃんに……って、狙いが定まりません!」
「論外だニャァァァァァン!」
ーバチィィィィィィィィン!
「そんな~!」
結局、私達3人は何も出来ないまま、揃ってハリセンで叩かれてしまいました。
……菜々乃ちゃん、本当に何者なんですか?
「私が何者かなんてのは一旦置いとくニャン」
「あれ?……まさか私の心読みました!?」
「んな大層なもんじゃねぇニャン。……時子は単純だから、顔見てりゃ分かるだけニャン」
「む~、何か納得行きません……」
私ってそんなに分かりやすいですか?
「って、ほんとどうでも良い事で私の時間を取らせるなニャン!……ひとまず、戦ってみての改善点を言っておくニャン!」
「は、はい!」
「……仕方ないのだわ……」
「で、どうデシたか?」
「すぅ~……時子は真っ先に他2人を支援するべきだったニャンし、レベッカは攻撃の軌道が直線的過ぎるニャンし、王魅はもう戦い方を根本から構築し直すべきだニャン!」
「えぇ……」
「構築し直しって……無茶なのだわ!」
「そりゃ弾丸は直線的にしか出せないデスし……」
私達が出された改善点は、私以外が無理難題としか思えない内容でした。
……そして、この特訓はここから更に苛烈さを増していくのでした……
ご読了ありがとうございます。
実力は時子達3人<菜々乃です。
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