63話襲撃
あの女の暗殺者が全て話したのは自分の足の指10本を切ってからだった。闇ギルドにしては結構な忠誠心だ。おれは、ナイフを影にしまい暗殺者を見る。女の目に生気はなく死にたくない助けての言葉を何度も繰り返し言っているだけとなっている。少々、やりすぎたと思うがこいつも何人か殺しているはずだから自業自得と言えるだろう。おかげでいろいろと詳しい情報が手に入った。まず、こいつは、鴉の贄というギルドに所属しており構成員は自分を含めて160人ほどと闇ギルドにしては多く。その上にマーチ、ガンマ、アイン、テーレ、ナサイという5人の幹部がおり順に肩に番号が彫られているらしい。そして鴉の贄リーダーレシダ。レシダは病に侵されており奥の部屋から出てこないらしい。顔を見ることを許されているのは幹部たちのみで自分たちは顔を見たことはないとのことだ。拠点はペンドラゴンの端にある昔、使われていた貴族の別荘に構えている。幹部のうち3人が依頼で別の国に行っているらしくここにはいない。
次に、依頼主についてだが、こちらは予想どおりでどうやら決闘で負けた子供の父親が依頼したらしい。子供がクズなら父親もクズだったのだろう。子供は殺して母親は屋敷に連れてくるという依頼らしくこれでステロの母親は生きている可能性が高くなった。嘘かと勘ぐったがこの状態で嘘つく気力はないと判断した。後は、どちらを先に対処するべきか考える。
(先に、鴉の贄を潰すか。)
先に、闇ギルドを潰すことにして道案内として暗殺者を使うことして『リジョイン』で指を再生させておく。これなら、道案内も可能だろう。
「きさまには、拠点までの道案内をしてもらう。もし、不信な行動をすれば命が無いと思え。」
暗殺者に脅しをかけると青い顔がさらに悪化して白い色になり涙を溜めながらすごい勢いで首を縦に振る。足の鎖を解除して暗殺者を立たせる。手の鎖を解除しない状態で倉庫から出る。扉の前にはキリーと怒りの形相を浮かべているステロがいた。
「まず、こいつらの拠点を襲う。キリーはどうする?」
「私も行くわ。もう、こんな所に居たくないし。」
キリーがついてくるのを確認するとステロが一歩、前に出る。
「先生!僕も・・・」
「だめだ。」
ステロが全て言い終わる前に断る。
「お願いします!!」
しかし、断ってもステロは諦める気はなく今度は頭を下げてお願いしてくる。
「僕も、何かしたいんです!!」
その心意気は素晴らしいものだ。優しい心を持つ奴なら許可するかもしれない。だが、
「足手まといはいらん。」
いくら、心意気は素晴らしくても実力が無ければ簡単に死んでしまう。ステロは魔法を使えるが使えるのは未だ一つ『スカーレット・ソード』のみ。いくら魔法が強いとしても対処ができずあっさり死ぬだろう。そんなことをわざわざするつもりはおれにはない。目を大きく開き地面に座り込むステロを横切り敵の拠点へと向かう。キリーもステロが若干、心配そうだったがおれの後についてきた。鴉の贄の拠点は倉庫から結構離れており着いたころには月が真上に来ていた。屋敷は広く一階には明かりが点いていて二階は一室だけ明かりが点いていた。おそらく、あそこが、ボスの部屋なのだろう。
「さっさと失せろ。」
鎖を解除して暗殺者を自由にする。自由になった暗殺者はすごい勢いで走って闇に消える。これで、懲りたら二度としないだろう。
「それで?どうやって侵入するの?」
「いや、そんなことしない。」
おれの答えに疑問を持ったのか首を傾げるキリーに答えを教えるために詠唱する。
「我は望む。我の望まぬ物を否定し拒絶せよ。我が認めぬものを潰し、土へと返せ。」
『ダスト・スマッシャー』
屋敷の中心を魔法陣が囲む。そして、屋敷の上に圧力が生じ屋敷は徐々に凹んでいく。ヒトがたくさんいたであろう一階が最初に潰れて崩れ二階建の屋敷が一階建に変わる。次に残った二階を潰しにかかり一階よりも早く潰れていく。残ったのは瓦礫と木片のやまだけだった。
「外から壊す方が手っ取り早い。」
こうして、鴉の贄の構成員の多くが瞬く間に潰れた。残りはあのクズ親子のみだ。
「次だ。さっさと行くぞ。」
口を開けぱっなしのキリーの服の襟を掴んで引きずって運んでいく。
薄暗い廊下をヘンゲルは進んでいた。ここは屋敷の地下の通路だ。本来は、屋敷に侵入した賊を一時的に入れておく牢屋があるが今、向かっている牢屋には賊ではない人物が入っている。地下の通路の奥に着く鍵が何個も付いてその扉は鋼で作られており一際、厳重になっている牢屋があった。扉には中が見れる穴が開いておりそこからヘンゲルは牢屋の中を覗く。牢屋には、一人の魅麗な女性が手にロープを巻かれて椅子に座っいる。その美貌は崩れずに未だに二十歳前後と言われても納得するほどだ。
「久しぶりだな。」
ヘンゲルは牢屋の中にいる女性に話しかける。話しかけられた女性は扉を睨みつける。
「あなた、だったのね。」
冷静に話しているがその声音には怒気があり怒りを露わにしている。
「あぁ。」
ヘンゲルはその問いに言い訳する素振りも見せずただ肯定した。彼にとってこれは手段としての一つの方法でしかないからだ。
「どうだ?最後に会ったのは確かに学園にいた頃かな?」
「えぇ。あなたが、無様に負けた時よ。」
女性の嫌味を含んだ一言にヘンゲルの額にシワがよる。ヘンゲルはここで、殺そうと考えたがグッと堪えて牢屋を後にする。
(・・・コイツにはもっと苦しんで死んで貰わなくてな。)
大貴族である自分を振るばかりか平民如きと付き合った。これに怒ったヘンゲルは様々な嫌がらせをおこない。そして、平民と決闘し負けた。平民に負けた雑魚として貴族の子供たちから嘲笑の目を向けられ父親と母親からも見捨てられた。その時の屈辱を彼は忘れてなかった。
(息子の首を目の前に置いたらどのような姿で泣くだろう。)
いくつか、残虐なやり方を模索していると大きな音が庭から響く。ヘンゲルは急いで地 地下室から抜けだし窓から景色を見て驚愕した。屋敷の前に取り付けていた丈夫な門が砲弾が撃ち込まれたように曲がり庭に倒れていたのだから。
「ごっご主人様!!ここにおられましたか!!」
「何だ!一体、何が起きている!!」
「しっ襲撃でごさいます!」
「襲撃だと・・・・!?」
ここは、幹部の一人が住む屋敷ここを、襲撃するということがどれだけ愚かなことか知らないものはいないだろう。しかし、現に起きている。




